奇想庵@goo

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感想:『とある飛空士の追憶』

2009年10月07日 21時48分31秒 | 本と雑誌
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『2009年度版このライトノベルがすごい!』10位。シリーズもの主体の中で、単発作品で上位にランキングされるのは珍しい。

異世界ファンタジーだが、科学はそれなりに発達し戦闘機が飛び交う世界である。敵対する二つの大国。その両国の混血であり、所属する国の中で身分的に最底辺に位置する主人公。混血であるがゆえに、腕は一流だが軍ではなく傭兵のパイロットである。彼に与えられた大役は、次期皇妃を入植地から本国へ送ること。
新型戦闘機の性能の差がそれまでの国力の差を覆し、戦況は大きく変わろうとしていた。制空権は敵に渡り、この作戦も既に敵に知れらていた。危険の中、主人公と次期皇妃の過ごす短い、忘れがたい日々。

ライトノベルレーベル、ライトノベル作家の手によるものではあるが、ライトノベルというよりもSFの空気が強い。ハードSFではなく、日本のファンタジー色の強いSFだけれど。
設定が特に優れているとは思わない。それなりに考えられてはいるが、独創的なものではない。身分違いの恋というストーリーはそれこそ数多く作られた物語だ。空戦部分は悪くないが、それだけを売りにするほどでもない。キャラクターもありがちだと言っていいだろう。
それでも物語として十分に楽しめる出来である。ライトノベルとしては評価されないかもしれないが、その世界で生きる人の思いが描けているからだ。

安直さが目立つところも少なくはない。特に作戦が敵に知られている可能性が高いと判断した時点で引き返さなかったことは、明らかに物語の展開のためであって合理性は全く無い。
会話ももう少し面白みが欲しかったし、ストーリーにももう少しひねりが欲しかった。ラストの描写は悪くはないがもう少し上手さが欲しかった。終章は蛇足だろう。
これら欠点をいくら並べても作品の評価は落ちない。主人公の飛空士シャルルと次期皇妃ファナ、二人の想いがちゃんと伝わるから。作者が描こうとしたものが読み手にきちんと伝わるならば十分だ。もちろん他の欠点が無くなれば、更なる傑作足りえたかもしれないが。その意味では、「佳作」と呼ぶに相応しい作品だろう。


アニメ感想:乃木坂春香の秘密 ぴゅあれっつぁ♪ 第1話「一緒に、いきたいです……」

2009年10月07日 21時20分24秒 | 2009秋アニメ
1期は途中まで見て放置していたが、2期放送開始に合わせて残りを鑑賞。その上での2期第1話の感想となる。

ラブコメで、数多くの美少女は登場するが、ハーレム系ではなく、1対1で付き合う二人の純情さがむしろ見せ場となっている。それが却って新鮮ではあるが、ストーリーはこれ以上なくベタ。二人を盛り立てるキャラクターの個性でなんとか演出しているものの、ひねりがなく見栄えもしない。

2期となってもそれに変わりはない。新キャラとしてメイド少女(CV:釘宮理恵)が加わったが、変わり映えはしない。改めての第1話ということで二人の関係を中心に人間関係を分かりやすく描いているが、1期で進展しかけた分がリセットしてまたもどかしい関係が続いている印象だ。
見るに堪えないほどひどいわけではないが、見たいと思うほど面白いわけでもない。1期から変わらぬその評価は2期に対する期待の無さでもある。

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アニメ感想:そらのおとしもの 第1話「全裸王(ユウシャ)世界に起つ!」

2009年10月07日 21時03分31秒 | 2009秋アニメ
Aパートで挫折しかけて、Bパートで二度と見ないと堅く誓ったわけだが……。

主人公は、「平和が一番」とか言うゼロ年代系男性主人公の典型。毎朝起こしてくれる幼馴染の美少女がいて、変態マッドサイエンティストの先輩がいて、美人の生徒会長がいる。これだけでTVのスイッチを切りたくなる。そこに主人公と契約したなんでもできる女性アンドロイド(?)が登場する。昔あった岬兄悟らの願望充足小説を髣髴とさせる。

確かにある意味では突き抜けてはいるのだけれど、それはおとなしいハーレム系アニメに比べてであって、限界を超えようとするパワーではない。これまであったハーレム系や願望充足タイプの作品の再生産以上のものは感じない。ありがちのキャラクター、ありがちの設定、ありがちの演出、ありがちのストーリー。
いかにもゼロ年代系男性主人公を意識させたAパートから、暴走し始めたBパートだが、世界征服ネタは『ドラえもん』を連想させ、主人公の言動全てが責任を問われずにチャラになってしまう場面を見て、一つの考えに思い至った。

主人公は高校生という設定だが、これはまさに精神年齢が小学生の振舞いだと。

ドラえもんにいつも頼り、助けられるのび太そのままの構図だと。よく「中(厨)二病」なんて言葉がネットで使われるが、「中坊(厨房)」ですらなく、それ以前の小学生の思考。そう思えば、この作品に限らず、”文学少女”や小市民シリーズの主人公などゼロ年代系男性主人公がどれも当てはまると気付く。
子供だから何をしても許されることに憧れているのか、子供であることに思い至らないのかは分からない。思春期以降になれば、生きにくい世の中だし、息苦しさを感じる世の中だろう。そこからの逃避なのか、未熟だからなのか、こんな主人公が受ける理由は定かではないが、「中二」的思考さえ共感できないのにそれよりも子供の思考を肯定されてもどうしていいやら困ってしまう。

ラブコメが一度はかかるはしかのようなものだとしたら、このような願望充足的作品も同様だろう。そして、それらを卒業した者からすれば余程優れていない限り見ていられないのも同様かもしれない。つまり、二重の意味で見たいと思わない作品である。

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アニメ感想:真・恋姫†無双 第1話「馬超、悶々とするのこと」

2009年10月07日 20時35分01秒 | 2009秋アニメ
第2期の第1話のタイトルが何故馬超?と思ったが、関羽、張飛、趙雲、諸葛亮、馬超、黄忠とその娘全員のキャラクターを紹介しつつ、この作品独特の真名について描いた導入的な展開に納得した。

三国志のキャラクターを女性とした18禁PCゲームが最初で、そのアニメ化では「空気系」風にエピソード主体に描くことで楽しめる内容となった。ただ終盤盛り上げるためにストーリー性を導入し却ってつまらなくなってしまった。2期製作に対して、そうした勘違いが出てこないか心配していたが、第1話に関しては問題なかった。

2期では劉備が登場する。もちろん女性キャラクターとして。PCゲームでは劉備ではないがプレイヤーの分身としての男性キャラクターが主人公となっていた。劉備の代役的な位置付けだったが続編のゲームでは独立した形となり、別にキャラクターとしての劉備が作られた。アニメ第1話ではほんの顔見せで終わったが、2話から大きく関わってくるようだ。

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アニメ感想:あにゃまる探偵キルミンずぅ 第1話「キルミン・フォーゼ、しちゃった!?」

2009年10月07日 20時18分25秒 | 2009秋アニメ
河森正治原案ということだが、第1話を見た限りではなんとも微妙な感じの作品。パッと見の印象は『おジャ魔女どれみ』を連想させるが、それは見た目の古さが起因となってもいる。少女向けとすると、『しゅごキャラ!』あたりと比べていつの時代のアニメかと感じてしまうところもあり、一方で、河森正治原案が誰を対象にしたものなのか良く分からなくなる。
OP・EDを見ていると(タイの双子アイドルユニットNeko Jumpによるタイ語の歌詞)、国内市場は端から重視していないのかとまで思うが、とにかくターゲット不明な作品であるというのが正直な感想だ。