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例えば、「生物モニタリング調査により、アザラシの固体数が顕著に減少したことが判明し、その原因としてPCBが疑われた。政策担当者は政策決定に必要な情報を求めるために専門家グループに次のような諮問をした」という場面を設定しましょう。
政策担当者としては、従来の幅の狭い対応を反省して、なるべく総合的な対策を出したいと考え、分野の異なる専門家が多数参加した学際的な専門家グループを組織したとします。
★治療的アプローチ
「治療的なアプローチ」では、おそらく、つぎのようになるでしょう。
★予防的アプローチ
それでは、「予防的アプローチ」では、どうなるでしょうか? 政策担当者の専門家に対する諮問はいくつかのステップを含んでいます。考え方の骨子は次のようになります。
この結果、「予防的アプローチ」をとれば政策担当者は“専門家の一致した見解(科学的知見)に従って”、早急にPCBの使用中止を決定するか、あるいは様々な理由により早急に使用中止を決定しないまでも、将来は中止する方向にあることを意識することができるのです。
ところが、「治療的アプローチ」をとれば、政策担当者は“専門家の様々な見解(科学的知見)に従って”、問題を先送りせざるをえなくなり、再度、問題が起こるまで放置することになります。再度、問題が起こった時には汚染の状況は最初の諮問当時よりさらに悪化し、問題解決には多大の経費がかかるということになります。
この例は二つの異なったアプローチをわかりやすく説明するために、スウェーデンの国際環境保護団体「ナチュラル・ステップ」の考え方に沿って、意図的に場面を設定したものです。
この例に沿って考えれば、スウェーデンのアプローチは「予防的アプローチ」で、日本のアプローチは「治療的アプローチ」と言えるでしょう。皆さんにはスウェーデンが本当に「予防的アプローチ」をとっているのかどうか疑問であったにしても、日本のアプローチがここで言う「治療的アプローチ」であることは実感としてご理解いただけるでしょう。
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