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日本の国会で内閣総理大臣が本会議場で行う演説には「施政方針演説」と「所信表明演説」があります。フリー百科事典「ウィキペディア」によれば、両者の相違は次のように定義されています。
施政方針演説は、政府の長(内閣総理大臣つまり首相)が年初における政府の方針を述べる演説で、通常国会での冒頭で衆議院と参議院の本会議場で行われる。
所信表明演説は、政府の長(内閣総理大臣つまり首相)が自分の考え(所信)を述べる演説で、以下の場合に衆議院と参議院の本会議で行われる。
●臨時国会の冒頭
●特別国会で内閣総理大臣が指名・任命された後
●国会の会期途中で内閣総理大臣が交代した場合
つまり、通常国会の冒頭において、内閣総理大臣が内閣全体での方針や重点課題を説明する演説を「施政方針演説」と呼ぶのに対して、その他の機会に、内閣総理大臣の所信(個人としての自分の考え)として、国政についての方針や重点課題を説明する演説を「所信表明演説」とよぶのです。
★安倍首相の施政方針演説(2007年1月26日)
昨日の安倍首相の施政方針演説をテレビで視聴し、朝日新聞夕刊で演説の全文を確認しました。そして、およそ一面を覆う1万字弱の施政方針演説で、21世紀のキーワードであるはずの「持続可能な開発/社会」や「環境問題」がどの程度触れられているか検証しました。
図をご覧下さい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/df/43975f6aaf203d7c76ef5610c22bc980.jpg)
驚いたことに、「持続可能な開発/社会」はゼロ、環境問題についての記述は、「健全で安心できる社会の実現」と題する項126行中23行(全文906行中23行)でした。図では、環境問題の部分を赤で示してあります。“持続可能な”という言葉は「成長力強化」という項で、「アジアなど、海外の成長や活力を日本に取り入れることは21世紀における持続的な成長に不可欠です」という文脈で、1回出てくるだけです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/7b/5d37387236443578cb233073b21d53a2.jpg)
環境問題に関する赤の部分を拡大します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/b0/dc8dbc993045577210471a063854dbe2.jpg)
安倍首相の施政方針演説に添えられている「麻生外相の外交演説」(要旨)にも、「尾身財務大臣の財政演説」(要旨)にも21世紀のキーワードである「持続可能な開発/社会」 や「環境問題」はゼロです。このことはこれらの演説の趣旨からして、日本の政治の指導者としての首相、外相、財務相に21世紀のビジョンが「持続的な経済成長」しか頭にないことを意味するのでしょう。
6月に策定されるという 「21世紀環境立国戦略」 とはどのようなものになるのでしょうか。
1月29日(月)から安倍首相の施政方針演説に対する各党の代表質問が衆議院で、30日には参議院でスタートします。質問する側も「環境問題に対する認識」が薄いと思われますので、あまり期待は持てません。
★安倍首相の所信表明演説(2006年9月29日)
小泉政権を引き継いだ安倍新内閣が2006年9月26日に発足し、安倍首相が9月29日に所信表明演説を行いました。「所信表明演説」というのは、先にも述べたように、首相個人の理念を端的に語るもので、同日の朝日新聞夕刊にその全文が掲載されています。この所信表明演説に示された安倍首相の「環境認識」はすでに、1月7日のブログで紹介しましたので、そちらを参照してください。
それにしても、何とか早く「持続可能」がちゃんと胆に収まった指導者を生み出したいものですね。
このブログを通じて「持続可能性」に対して共通の認識がこの国で共有され、首相や、外務大臣、財務大臣などの発言にも反映されるような状況がこれから始まる国会で出てこなければ日本は「公害」ついては語れても、「環境問題」について語れないのではないでしょうか?