酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

「生きてることが辛いなら」

2008-09-09 04:58:07 | Weblog
 森山直太朗の話題づくりにNHKが協力する、そう解釈するのが正しいのだろう。一部で論議を呼んでいるという新曲「生きていることが辛いなら」の扱いのことである。 



 《歌手森山直太朗(32)がNHK「MUSIC JAPAN」(11日深夜0時10分放送)で、一部コンビニエンスストアの店内放送の禁止など、賛否両論の論争が起こっている新曲「生きてることが辛いなら」を約4分半フルコーラスする。民放では、編成上の理由から3分程度の披露だが「今回は作品として、すべての歌詞をきちんと聞いてもらいたい」というNHK側の意向から、異例の、初フルコーラスが決まった。

 フルコーラスが放送される直前には、歌詞の意味や騒動についての思いなどを語った森山のインタビューが約3分間流れる。同番組では異例の構成。不特定多数が出入りするコンビニでは歌詞の一部だけを耳にする可能性があり、一部のチェーンが店内放送を禁止にしたことを重く受け止めたようだ》=朝日電子版=


 歌や詩、小説や短歌、絵に写真に映画…。表現手段はさまざまだ。原則そこでは何をやっても許される。時として「わいせつだ」とか「差別を広げる」とかの批判も飛び出すが、それも含めて受け入れましょう、というのが私たちの社会の基本ルールである。


 もちろん、当該の作品に対する好き嫌いはある。でも作るのは自由なのだから、発表する場も自由であるべきだ。と、考えてくると、この歌を特別な形で紹介すること自体、ちょっと変だ。普通の歌として扱えばいい。どうってことのない歌なのだから。

 

 ただ、作者の次のようなコメントを聞くとアーティストとしてのセンスを疑いたくなる。この子は癒し系で、みんなに受け入れられるのが大切だと考えているんですね。だとしたら、新曲の狙いは外れたかもしれない。奇をてらい過ぎているからだ。


 《「メッセージは詞の全体に込められています。全体を聞いてほしい」とコメントしてきた森山だが、同番組でコンビニの措置について聞かれ「すごくいい判断なんじゃないかとは思いました。誰かをむげに傷付けてしまうっていう、それだけはやっぱ嫌だ。100人聞いて99人がいいと言ってくれても、1人がネガティブな受け取り方をしてしまうのは、望んでいない」》=朝日電子版=


 100人が100人とも「いい」とほめる歌なんかにいいものがあるわけがない。もう少し気の利いた言い回しをないと「表現者」としては失格だ。


 表現者としての未熟ぶりは歌詞にはっきり示されている。「全体に込めた」メッセージとは何か。善意に解釈すれば、自殺なんかやめて、くたばるまで生きようということか。でも、あの歌い出しと2番以下の論理は完全に矛盾している。メロディーラインもつまらない。


 早い話が話題性以外何もない。この歌を一言で評せばそうなる。どんどんテレビやラジオで流せばいい。すぐに消費され、忘れられてしまう。メディアが妙に規制すると、「神秘のベール」がかかって生き残る。本人の意向とは別に? 販売戦略的には後者を選ぶのではないか。やれやれ。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 北の湖をいじめてもねえ | トップ | 総裁選祭りの始まりだ~い »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事