酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

中国産ギョーザに農薬

2008-01-31 03:25:47 | Weblog
 死者が出なかったのがせめてもの救いだった。

 毒性の強い有機リン系農薬「メタミドホス」が含まれた冷凍ギョーザが生協ルートなどで大量に出回り、食べた10人が食中毒症状を表した。5歳の子どもは、一事意識不明の重体と伝えられた。

 中国製食品の安全問題については、昨年からさまざまな議論が交わされ、一定の再発防止策がまとまったのではなかったか。それが、実害を含む形で噴出する。これでは防止策とは呼べない。

 問題は農薬がどの段階でギョーザに入ったのかである。生産ラインで混入する可能性は低い。誰かが意図的に混ぜた可能性は排除できないが、多くの食品に満遍なくというのは無理筋だ。

 最も有力なのが残留農薬に混入していたとする説だ。メタミドホスなどの有機リン系農薬の多くは、中国でも使用禁止だ。残留性が高く、毒性も強いからだ。ところが、実際には農家はバンバン使っている。中国人でも並以上の暮らしをしている人は、現地生産されている日本の農場製野菜を争って求めていると言う。

 ホウレンソウ、ニンジン、茶葉など中国製の農産物を抜きにしては日本の食卓は成り立たない。ここに今回の事件の恐ろしさがある。食料自給率40%足らずという世界でも例のない国の危うさが一気に露呈した。

 政府やJT、生協など事件にかかわった機関の対応は緩慢だ。昨秋、喜多方市のCOOP会津でJTが輸入した冷凍食品にトルエンやキシレン、ベンゼンなどの有害物質が入っていたとして販売を中止している。この時点で、中国からの食品に対しては農薬検査を強化すべきだった。

 農薬検査は生鮮野菜だけで行われていて、冷凍食品は事実上フリーパスだった。輸入届書と原材料、添加物の有無を調べるだけだ。

 残留農薬となると検査はきわめて難しくなる。わずかなサンプル検査では精度に問題がある。いまのところ自衛策としては「中国産は買わない、食べない」しかないか。中国に安全性を求めても、末端まで浸透するような国ではない。短期的には水際作戦を徹底する。長期的には国内農業を建て直すしかない。

 日本という国の脆弱さが浮き彫りになった事件だ。食料を外国に頼るとこういうことになるという、いい見本だ。ガソリンどころの話ではない。
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