酔眼独語 

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「made in japan」の凋落

2018-03-02 10:18:42 | 社会
 JR西の新幹線「のぞみ」の台車が破断寸前だったという衝撃的ニュースが伝えられたのは昨年末のことだ。それから約2か月半、重大な故障をもたらした原因が明らかになった。こちらは、さらに衝撃的である。台車を製作した川崎重工が、鋼材を削りすぎたのだという。設計値の4割近くも削り込んで知らぬ顔とは恐ろしい話だ。この欠陥車両がつい最近まで時速300キロものスピードで走り回っていたと思うとぞっとする。

≪新幹線の台車が破断寸前のまま運行を続けた問題で、製造工程での不備による台車の強度不足を認めた製造元の川崎重工業。28日に神戸市中央区で記者会見した金花芳則社長らは「基本的な教育が欠如していた」と悔やんだ。基準をはるかに上回って鋼材を削るという初歩的なミス。兵庫県を代表する大手企業がものづくりへの信頼を揺るがした。

 問題の台車は、兵庫工場(神戸市兵庫区)で製造された。台車枠の材料となる鋼材に部品を溶接する際、隙間を調節するために鋼材を削ったことが強度不足につながったという。業界基準で最大0・5ミリまで削ることを認められているが、今回は厚さ8ミリの鋼材を、最大で半分の4ミリまで削った例があった。

 これにはJR西日本の平野賀久副社長が「(強度に関わる鋼材を)削ってはいけないのは明白」と不信感を示し、川重の車両部門トップの小河原誠常務も「安全に関わる部材で削ると強度が減るという意識がなかった」と厳しい表情で語った≫=神戸新聞ネット=。

 ことは新幹線の台車にとどまらないのではないか。昨年秋以降、素材メーカーを中心に製品データのねつ造やごまかしが相次いでいる。思いもかけない事故の裏側に、製造ミスや製品の強度不足が潜んでいるかもしれない。恐ろしい世の中になった。

 世界2位(グループで)の出荷台数を誇る日産は無資格の作業員が「合格」させた車を流通させていた。スバルも同様のことをしていたとされる。神戸製鋼、三菱マテリアル、東レ、丸善石化などの素材メーカーでも次々と不正が明らかになっている。自動車や航空機に使われている材料も多い。

 これらの不正が安全性とどうつながっているかははっきりしない。自動車メーカーはリコールの方針を明らかにしているが、その他はどうなったのか。米国では司法省が航空機素材について調査に乗り出したというが、国交省や経産省が強制力を持って調査に入ったという話は聞かない。

 韓国や中国で鉄道事故や建設現場での崩落事故などが相次いだ折「日本では考えられない」の声が上がっていた。今はとてもそんなことは言えない。

 「made in japan」そのものが崩壊しようとしている。史上空前の企業利益の裏側はなんとも寒々しい。

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