酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

裁判員はお断りします

2008-11-30 11:05:09 | Weblog
 来年五月から裁判員裁判が始まる。

 裁判員候補者への通知発送が本格化し、ようやく制度についての現実的な反応が出てきた。


 《裁判員候補者29万5027人への通知が28日に発送されたことを受け、最高裁は29日、候補者からの質問に答える専用コールセンターを東京都内に設置した。初日は約870件の問い合わせがあり、このうち「裁判員になりたくないので候補者名簿から消してくれないか」などの訴えは約40件だった。

 この日は約50人のオペレーターが対応。最初の電話は午前10時20分ごろに北九州市の女性からあり、制度の内容を尋ねた。都内や神奈川、埼玉県からの電話が多かったが、北海道からもあった。

 内容は▽どのような場合に辞退できるか▽病気やけががどの程度なら辞退できるのか--など辞退についての質問が半数を占めた。制度の趣旨や裁判員を選ぶ方法に関する質問も目立った》=毎日web=


 「名簿から消してくれ」という要望が初日だけで40件前後あったという。それ以外でも、辞退できる条件などを問い合わせる内容が多かったようだ。


 今春、最高裁が行ったアンケートでは4割近くの人が「義務であっても裁判員にはなりたくない」と答えている。後半年という時点でも、この数字は大きく動いていないのではないか。


 各地で裁判員制度に反対するデモや集会も行われている。新潟県弁護士会などは昨年度のうちに早々と制度実施の延期を決議している。国民への周知が不足し、問題点も多すぎる-というのがその理由だ。


 いまの状態で制度が始まれば、大混乱が起きるに違いない。秋葉原の事件は、公判前整理手続きの準備中で、現行制度で裁かれることになりそうだ。では、元次官宅連続襲撃事件はどうか。動機のあいまいさから、精神鑑定に進む事態も考えられる。起訴の時期がずれ込めば、裁判員裁判の対象になるのではないか。


 世間の耳目を集める事件が裁判員裁判に係ると何が起きても不思議ではない。べらべらしゃべる奴、廷内の写真を撮ろうとする奴、罪を覚悟でメディアに体験記を寄せるような人物も現れるだろう。混乱が目に見えるようだ。


 弁護人や検察官は裁判員を忌避できる。朝日新聞の連載で、某弁護士は「若い女性やキャリアを積んだ女性の量刑は重くなりがちで、こういう人は忌避したい」と語っている。検察官はこの逆だろう。


 弁護士が厳しい態度に出そうな裁判員を忌避し、検事は甘そうな人を外そうとする。互いに4人の忌避枠を使うことになる。まるでポーカーなどのカードゲームみたいだ。こんなことで公平な審理ができるのだろうか。


 当ブログは死刑制度に反対の立場だ。だから最高量刑が死刑以上の犯罪については裁判員に選ばれても外されるだろう。でも、それ以外でもお断りだ。


 もともと刑事裁判は、国家権力が法の枠組みをはみ出した人物を強制的に裁くシステムだ。「国家意思」が最高の正義である。裁判員制度はこの装置に国民を巻き込もうというものにほかならない。


 自分に人を裁く資格があるかどうかという問題もある。


 裁判員裁判をやりたいなら、刑の軽い事件や贈収賄や談合など官に絡む事件にこそ導入すべきだ。


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