酔眼独語 

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高速水着禁止の愚

2009-07-25 09:52:49 | Weblog
 国際水泳連盟が総会を開き、いわゆる高速水着問題について「ラバーやポリウレタンはダメ、織物だけ。体を覆う部分も限定する」方向で一致したという。

 《国際水泳連盟(FINA)は24日、当地で総会を開き、来年1月1日から導入する競泳水着の新規定案を固めた。北京五輪後から「高速化」が進む水着の開発競争に歯止めをかけるのが目的で、素材は織物素材に限定し、ラバー製やポリウレタン製の水着は禁止する。体を覆う範囲についても、これまでよりも狭くするという。織物の定義など、細部については28日のFINA理事会で決める。
 今年に入って、ラバー製水着による好記録が続出した。男子200メートル背泳ぎで入江陵介(近大)が世界記録を上回るタイムを出したのが代表例。水を通さず、浮力効果があるとされるラバー系水着は競技力を過剰に上げるとして、各国のコーチから批判が噴出していた。総会では米国が新規定案を出し、大半の加盟国が賛成した。
 FINAのマルクレスク事務局長は記者会見で「基本的に、織物以外の素材は認めない方向になる」と語った。北京五輪で世界新を連発させた英スピード社の「レーザー・レーサー」(LR)は締め付け効果を狙うパネル部分にポリウレタンが使われており、理事会の決定によってはLRも禁止される可能性がある。
 日本代表の平井伯昌ヘッドコーチは「本来の競泳のスタイルに戻る」と歓迎。ただし、今回の世界選手権ではラバー水着が使えるため、「永遠に破られない記録が出るかもしれない」と危惧(きぐ)した》=時事com=

 選手が水着に振り回される状況を改善し、力と技の戦いに戻したいという発想から、こうした方向が打ち出されたのだろう。一見まともな方針に見えるが、「今ごろ何を言ってんだ」である。

 新アイテムが出てきた時点で対応するのが原則だ。いったん革新的な素材や形状を認めてしまえば、それが普及するのは当然だ。記録はどんどん向上する。あらかたの世界記録が更新された後で、「もうこの水着はやめましょう」などというのは無責任だ。平井コーチが言うように「永遠に破られない記録」として残る可能性がある。

 以前にも書いたが、スポーツは記録である。不滅と思えた記録が超人たちによって塗り替えられていくところに、ドラマや夢が生まれる。FINAの方針に従えば、しばらく競泳の記録が低迷するのは避けられない。果たしてそれでいいのか。既に公認されているレーザー・レーサーなどを着用しての記録の扱いをどうするのか。

 水着の改良は浮力を高めることと水の抵抗を小さくすることがすべてだ。水着が直接推進力を生むわけではない。極度に体を締め付けて、血流を阻害するなど障害が懸念されるものは論外だが、それ以外は認めていくべきだ。

 進化した水着が広く行き渡らないことこそ問題なのだ。スポーツ(メーカー)大国の選手だけ、高速水着を着用できるなどというのでは問題にならない。
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