酔眼独語 

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ビンラディン殺害

2011-05-04 16:41:30 | Weblog
 国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディンが1日、米軍に急襲され死亡した。作戦を命じたオバマは「正義が成し遂げられた」と宣言した。

 《オバマ米大統領は1日夜(日本時間2日)、ホワイトハウスで演説し、2001年の米同時多発テロを首謀したとされる国際テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディン容疑者を米軍などがパキスタン国内で殺害し、遺体を確保したと発表した。同容疑者の死亡によって、約10年に及ぶ米国のテロとの戦いは大きな節目を迎えた。

 オバマ大統領は演説の冒頭で、ビンラディン容疑者が「数千人の無実の男女や子どもを殺害した責任を負う」とし、「米国の作戦によって死亡したと、米国民と世界に報告する」と語った。ビンラディン容疑者を拘束または殺害することが就任以来の最優先課題だったとし、「アルカイダ打倒の戦いの中で、最も大きな成果」と強調した。

 米政府高官によると、米中央情報局(CIA)が昨夏、ビンラディン容疑者がパキスタンに潜伏しているとの情報を入手。その後、同国北部アボタバードの潜伏先を特定した。オバマ大統領は4月29日、身柄を確保するための作戦を許可した。

 作戦は現地時間の2日未明に実施され、小規模の実行部隊がヘリコプターを使って潜伏先を襲撃。ビンラディン容疑者は銃撃戦の末に死亡し、遺体は米側が確保した。この際、同容疑者の側近2人や息子らも死亡した。

 米メディアによると、実行部隊は米海軍特殊部隊(SEALS)とCIAの軍事部門。ビンラディン容疑者は襲撃に抵抗し、頭部に銃弾を受けた。米当局は身元の確認のため、遺体のDNA型鑑定を実施しているという》=朝日com=。

 ホワイトハウスの前はお祭り騒ぎだったらしい。「正義」が大好きな国民性丸出しである。米国民がはしゃぐのは仕方ないとしても、日本のメディアまでが一緒になって「やったぜ」と叫んでいるのは解せない。ビンラディン殺害は果たして法と正義に照らして正当だったのかどうか。もう少し冷静な論議ができないものか。

 その後の報道によると、ビンラディンは武器を持っていなかった。丸腰の相手を精強なSEALSが蜂の巣にした格好だ。しかも遺体はさっさと海に沈めてしまったという。あとで墓を掘り返されたりしたら困るからだろうか。

 米国の行動は国際法に違反している疑いが濃い。朝日は3日付けの2面で「国際法上疑問の声も」の見出しで《国家による個人を狙った「暗殺」と解釈することもでき、米国の行為には疑問の声もある》と控えめに指摘、早大の最上敏樹の同趣旨インタビューも掲載している。だが、圧倒的な「正義の実現」報道に埋没してしまっているのは明らかだ。

 ビンラディンは拘束できた。でも、米国はそうしなかった。はじめから「抹殺」で臨んでいたとしか考えられない。捕まえて裁判、などということになればアルカイダと米国とのかつてのつながりなども明るみに出る。それはしたくない、ということだろう。

 米国は自分の考える「正義」を実現するためなら、どこへだって乗り込んでいってやっつける。こういう独りよがりの「正義感」を国際社会はたしなめることができない。それどころか、むしろ賛美している。危うい限りだ。
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