酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

子どもの脳死移植

2011-04-13 06:02:29 | Weblog
 交通事故で重篤となっていた15歳未満の子どもに対して、初めての脳死判定が行われ、心臓などの臓器が提供される方向となった。本人の遺志は不明で、家族が判定と移植に同意したという。

 《日本臓器移植ネットワークは12日、関東甲信越地方に入院していた10代前半の男子について、脳死判定と臓器提供を家族が承諾し、法的に脳死と判定されたと発表した。15歳未満の脳死臓器提供は、昨年7月17日に全面施行された改正臓器移植法で可能になり、実施されるのは国内初。

 移植ネットによると、男子は交通事故で頭部に重傷を負い、関東甲信越地方の病院に入院していた。主治医から回復の見込みがないと説明を受けたが、移植ネットの移植コーディネーターから家族が臓器提供について話を聞くことに同意。9日午後0時28分に移植ネットに連絡があった。コーディネーターが同日、家族に面会。男子の父母やきょうだいの計3人の総意で提供を決めたという》=毎日jp=。

 当方は成人未成年に限らず移植医療にはきわめて後ろ向きである。「死を待つ医療」への嫌悪感があるのかもしれない。だが、最も問題だと感じていることは、命が無限であるかのような幻想を与えていることだ。

 石原慎太郎は「我欲を捨てないと」とのたもうたが、「我欲」の根源は生きようとする意志ではないか。古来、命を永らえようと権力者や金持ちが不老不死の薬や秘伝を求め続けてきた。だが、そんなものはどこにもなかった。望んでも得られないものがある。それが命の重さだろう。

 人を助けたいという崇高な使命感に燃えて臓器提供する人は、尊敬に値する。移植ネットは、こういう行為を大いに称揚してしかるべきだ。実名を公表し、顕彰するぐらいのことがあっていい。

 ところがネットは秘密主義を貫いている。「関東甲信越地方の病院」とは何たる言い草か。コーディネーターと家族の「話し合い」は2回、計3時間半に及んだという。何をどう話したのか明らかにしてほしい。何から何まで隠すようでは、後ろ暗いことがあるのではと勘ぐられるだけだ。

 移植医療の多くが保険適用となり、患者負担は減ったとはいえ、こうした高度医療を受けられる人や地域は限られる。数千万円の金を掛けて、異論のある脳死移植に精を出すより、医療過疎の解消などに力を注ぐべきだと思うのだが…。

 
コメント
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