酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

テロというより自暴自棄の殺人では

2008-11-23 15:39:00 | Weblog
 元厚生次官ら連続殺傷事件の「容疑者」が自首してきた。血の付いたナイフ、宅配便用の段ボール、血痕が付着したスニーカーを揃えてだ。一連の事件となんらかの関係があるのは間違いないだろう。


 《警視庁麹町署は23日午前2時半すぎ、22日夜、東京都千代田区霞が関2の警視庁本部庁舎玄関に、「元事務次官を殺した」と出頭してきた自称小泉毅容疑者(46)を銃刀法違反容疑で逮捕した。元厚生事務次官宅連続襲撃事件と関連があるとみて追及する》=毎日web=。


 小泉某は「ペットの犬を保健所に殺された」と供述しているらしい。これが殺人の動機とは不可解千万だ。


 19日の当ブログで「何でもテロで片付けるな」と指摘しておいた。次官経験者が連続して襲われたことで、端からテロと決め付ける風潮を危険と感じたからだ。小泉某が真犯人だったとすると、テロの線はかなり薄れる。背後関係などなお慎重な捜査は必要だが…。


 麹町署から警視庁に移送される容疑者の表情は硬かったが、動揺しているふうはない。一点を見据えた目は頑なな心の現われだろう。深い絶望と自棄が見て取れた。殺す相手は誰でもよかったのでないか。社会的な反響を巻き起こせればなおいい。心情において秋葉原の事件と大差がないように感じる。


 父親がテレビに出てきて、ここ10年以上音信不通だったと語っている。実家を出て上京してから何をしていたのか。アルバイトを転々としながら、屈辱と絶望を深めていったと想像できる。


 こういう感情を持つ人物は世の中にごまんといる。引き金さえあれば爆発し、ナイフを握る。これを予見したり抑止するのは不可能だろう。


 政治的テロではない可能性が高いし、そういう意味づけはしない方がいい。だが、「生きている意味がない」と感じ、社会への憎悪をたぎらせている層が徐々に増えつつあることにはきちんと目を向けなければならない。


 「人を殺すのは絶対悪だ」などと何べん説いても意味がない。理不尽な死や人間の使い捨てがあまりに多いからだ。


 事件の解明はこれからだが、ここから何を学ぶかが問われている。
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