脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

第88回天皇杯1回戦 ~佐川印刷SC VS 愛知学院大学~

2008年09月14日 | 脚で語る天皇杯
第88回天皇杯全日本サッカー選手権大会1回戦

○佐川印刷SC(京都) 7-1 愛知学院大学(愛知)●

得点
12分 山下(愛知学院大)
26分 大坪(佐川印刷)
52分 金井(佐川印刷)
54分 遊佐(佐川印刷)
56分 大槻(佐川印刷)
66分 猪狩(佐川印刷)
83分 奈良崎(佐川印刷)
89分 奈良崎(佐川印刷)

13:00キックオフ
@京都府立山城総合運動公園太陽が丘陸上競技場

 

 

<佐川印刷SCメンバー>
GK21川本
DF15野澤、22高橋、13金井、20松岡(75分=19片野)
MF27吉木、8大槻、6中井、14遊佐(60分=25猪狩)
FW18大坪(69分=26奈良崎)、11町中

 

<愛知学院大学メンバー>
GK21奥田
DF5菅藤、4西嶋、24小川、18松村(63分=2池田)
MF15高崎(54分=17遠藤)、6上原、10平間、25神野
FW8ダン、9山下

 東海学生リーグ1部では現在6位に位置するものの、8月30日に行われた愛知県大会決勝ではJFLのFC刈谷(現在6位)を下して8回目の全国大会出場を果たした愛知学院大学。緒戦の相手は同じJFLの佐川印刷SC。JFLではFC刈谷より下の12位という位置にいる相手にジャイアントキリングを起こせるか非常に興味深い対戦となった。

 東海学生リーグの得点ランク3位に名を連ねるFW山下が先制して、12分に愛知学院大がリードを得る。中盤でシンプルに前を向いてボールを繋げる佐川印刷に押され気味ではあったが、この1点は佐川印刷を覚醒させた。26分に佐川印刷が町中の折り返しに再三DFラインの裏に飛び出しを図っていたFW大坪が勢いよくシュートを決め同点にする。

 
 リベリアの血を引く愛知学院大FWハウバート・ダン

 
 佐川の攻撃を牽引し続けたMF中井(6)とFW大坪(18)
 
 徐々にボールが回せなくなってきた愛知学院大。前半こそ1-1で折り返したが、後半の立ち上がりに守備が崩壊。わずか4分間で3失点を喫すると、66分には途中出場の猪狩に決められて5失点目。74分にはDF小川が2枚目の警告を受け退場処分に。その2分後にはFWダンも2枚目の警告でピッチを去り、9人での戦いを強いられる展開に。司令塔のMF平間を中心に奮闘するが、その後終了間際のダメ押しを含めた2失点で合計7失点の大敗。残念ながら格上チームの洗礼を食らい、1回戦限りで天皇杯を去ることになった。

 
 52分に佐川印刷DF金井が鮮やかなFKを決めて逆転 ここから火がついた

 
 何度も右サイドをアップダウンし、攻守に持ち味を見せたDF野澤

 
 元京都のMF大槻 狙い澄ましたシュートでチームの4点目をゲット

 佐川印刷はJFLのプライドを見せつけた。12分の失点で尻に火がついたか、ホーム寄りの主審の笛も味方にセットプレーから、サイドの展開からシュートを打ちまくった。特に52分の金井の直接FKは実に鮮やかでチームの士気を揚げると共に、4分間で3ゴールの立役者になった。次戦2回戦の会場もここ太陽が丘。ホームでの試合は譲ってなるものかと奮起したプリントダイナマイト。あと2回勝って、4回戦の浦和との決戦まで持ち込みたいところだ。

 
 判定に疑問もこれが結果 2人を退場しながらも愛知学院大は良く戦った

 
 2回戦は愛媛大、3回戦は愛媛FC この2戦に勝てば4回戦の相手は浦和だ!

堕落 ~24節 VS名古屋~

2008年09月14日 | 脚で語るガンバ大阪
 とうとう10戦連続で白星に恵まれず、最悪の状態を迎えたG大阪。試合後にはホームゴール裏から“J2コール”まで巻き起こり、サポーターによる居残り抗議活動も巻き起こる事態に。0-1という敗戦のスコア以上に無策のまま勝ち星を得られないチームに万博は溜め息に包まれた。

 

 およそ3年に渡って名古屋には負けていないという相性の良さなど全く参考にならなかった。清水に無残な敗退を演じた先週のナビスコ杯準決勝と同じ布陣で臨んだG大阪だったが、開始10分に名古屋MF小川に先制点を許す。左サイドを下平がマギヌンに突破され、フワリと浮かしたクロスに左サイドでフリーだった小川が悠々とダイビングヘッドを流し込んだ。この時、突破されたマギヌンに対して、直前のスローインに対応するべく上がり目の位置にいたCB中澤も追いつけず、結果的に加地が左サイドに流れていく羽目に。ここで本来ならば二川が戻ってマークに付く必要があったのだが、小川の陣取っていたエリアはG大阪の選手が全くフォローできておらず、完全に無人のスペース。先週の清水戦にも通ずる不甲斐ない失点の仕方は、組織的な守備とは程遠いもの。この一連のプレー時には、山口がヨンセンをケアしており、スローインから玉田がヒールでサイドラインギリギリでマギヌンにボールを送ったのだが、下平のコンタクトの甘さ、中澤のポジショニングの拙さ、全ての穴が招いた当然の失点だと言えるだろう。

 
 名古屋が10分に先制 今のG大阪には1失点でも十分に重い

 G大阪がバタバタした拙攻を見せたならば、終始名古屋は首位チームの風格が漂う余裕のあるプレーぶりだった。前線へのボールをことごとくバヤリッツァがカットすれば、マギヌン、中村といった中盤の選手たちもG大阪ポゼッション時に一斉にチェイシングを敢行する。そのプレーエリアを確実に狭める効果的な中盤のプレスは、G大阪のそれとは対極的なものだった。
 対して攻撃時は、左右にポジションチェンジするマギヌンと小川がシンプルにボールを繋いだ。ヨンセン、玉田もただの点取り屋に徹する訳ではなく、このサイドアタッカーを最大限に引き出す役回りもこなす。好循環でシンプルな名古屋のサッカーはG大阪に逆襲のチャンスを与えなかった。

 
 ルーカスに対してバヤリッツァの守備が牙を剥く

 
 左右でG大阪守備陣を翻弄した名古屋MF小川

 縦のスペースをほぼ完全に消されたG大阪は、ほとんどが足下に繋ぐパスサッカーに終始した。エリア付近では手数と時間がかかり、ほとんど良い形でのフィニッシュは無し。ロニーが何度か惜しいチャンスを迎えたが、ゴールには至らない。14本のCKのチャンスも全てフイにしてしまった。

 
 再三のCKのチャンスも得点には繋がらず・・・

 遠藤→二川、遠藤もしくは二川→ロニーという縦の関係は随所に見えたが、DFラインの裏に出るスルーパスは消えている。そして再三オーバーラップで奮闘した加地があそこまで封じられるとほとんどサイドアタックは機能しない。中央でもサイドでも名古屋の厚い守備に封じられたという印象だ。あとはやはりポゼッション時のラインの押し上げが遅いため、パスコースとスペースが増えない。

 
 加地VSマギヌンの因縁のマッチアップも万博で再現

 泥沼を打開する特効薬はとんと見当が付かない。戦力的なテコ入れに期待できない現状では、セットプレーも含め、得点に繋がる形とその連携を深めていくしかないのか。来週はミッドウィークにACLというハードな日程を控えている。スタジアムの欲求不満は既に最大限。それとは裏腹にチームは日に日に強さを失くしているようだ。

 
 敵地で勝ちどきを挙げる歓喜の名古屋サポーター

 
 容赦ないJ2コールが巻き起こる 形はどうであれ何としてでも勝利を掴みたい