脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

大分トリニータ、負ける気がしない

2008年09月20日 | 脚で語るJリーグ
 前半のアディショナルタイムにウェズレイのFKが直接ゴールネットを揺さぶる。力強く蹴られたボールは、東京VのGK土肥をあざ笑うかのようにゴール左上ギリギリの位置に吸い寄せられた。59分には東京V服部のパスミスを金崎がかっさらい、オーバーラップしてきた上本のミドルシュートをアシスト。強烈なシュートで東京Vの戦意を削ぐ。“完勝”と言うに相応しい大分の勝利は完全なバランスを保った堅実な勝利だった。

 25試合でわずか16失点。1試合平均失点が0.64。ここ5試合連続無失点と突出したそのガードの堅さは群を抜く圧巻の数字に現れている。総得点数は27と少し物足りないながらもそれをカバーする鉄壁。リーグ16戦負け知らず。現時点で、今季のリーグ戴冠を狙うチームとしては十分ふさわしい戦績だ。

 中盤から人数をかけたプレス、最終ラインはマーキングをずらさない集中力を見せる大分の守備意識。決して裏を取られることがなかった東京V戦の90分からはチームの充実ぶりと漲る自信を実感できた。49分に東京VのDF那須がセットプレー時に森重を突き飛ばし、ピッチは一時双方共に熱くなった。不用意な退場で狼狽する那須の姿と対照的に決して“熱くなりすぎない”大分イレブンの心の余裕はこの試合の勝利を確信させたと言っても過言ではない。
 攻撃陣も良い突破を再三見せ、3点、4点と奪ってもおかしくない展開だった。前半から鈴木、金崎、森島らが連動、小気味良いワンツーからの崩しを見せる。21分にホベルトのロングフィードに右から走り込んだ高橋のシュートは惜しくもポストに嫌われた。先制点がなかなか生まれないという中でも焦りは見られなかった。

 今夜、名古屋がつまづくことがあれば、一気に首位に勝ち点で追い付く。鹿島、浦和の状況によっても大分の今後は更に明るくなりそうだ。決して勢いだけでなく、ピッチで体現するサッカーとそれをこなす選手たちの心身のバランスが現在の大分の最高の原動力かもしれない。
 
 “負ける気がしない”この言葉が今の大分にはよく似合う。

奈良サッカーグラウンド探訪記<5> ~吉野運動公園陸上競技場~

2008年09月19日 | 脚で語る奈良のサッカー
 都市部在住の方からすれば“僻地”とも表現すべきグラウンドが奈良にも幾つかある。まだ近鉄吉野線大和上市駅を“最寄り駅”などと表現できるだけマシだろうか。それでも直線距離はざっと4キロほど。交通手段はほぼクルマ以外に考えられない。そのグラウンドは関西でも有名な釣りスポットである津風呂湖の北側に位置し、湖上からの水蒸気がグラウンドから見渡す遠方の山々を幻想的な情景に見せてくれる。そのグラウンドの正式名称は、吉野運動公園陸上競技場。通称“吉野総合グラウンド”だ。

 

 陸上競技場とは言え、グラウンドは土。1周400mのセパレートコースを備えるという多目的グラウンドは、サッカー以外のスポーツも行われる。しかし、使用料金の安さがゆえ専ら奈良県社会人リーグの会場を主としてサッカー競技に使用されることが多い。観戦スペースはメイン中央部のわずかな段差。試合運営に使用される部屋の両スペースが唯一の観戦ポイントになる。

 

 グラウンドは殺風景極まりない。隣接する体育館と遠方から鮮やかなグラデーションを織り成す山々が美しく眺められるだけだ。小中学校の校庭をも思わせるその情景は、長閑さとグラウンド上での真剣勝負のギャップを時に感じさせてくれる。

 
 グラウンド中央から南側を望む 体育館が隣接

 
 グラウンド中央から津風呂湖方面を望む

 
 隣接する球場 照明設備を持ち、たまに少年野球が行われている

 
 球場のスコアボードはボロボロ・・・

 
 津風呂湖からの水蒸気が山の風景を彩る

 
 営業しているところを見たことのないレストハウスが隣接する

 雨天にはめっぽう厳しく、今季も奈良県内の公式戦が中止になった。山間部のせいかここを会場として使用する際は雨天が多いようにも思われる。雨にまみれれば、瞬時にグラウンドは泥田状態だ。しかし、このグラウンドで戦うのも奈良県リーグというカテゴリーだけだろう。奈良クラブは今季ここで3試合を戦ったが、来季是が非でも関西リーグ昇格を目標に掲げるクラブとしては、このグラウンドには早くおさらばしたいのは本音だが。

シリアの地でアタッキングサッカー結実

2008年09月18日 | 脚で語るガンバ大阪
 日本から9,000キロ離れたシリアで掴んだ何物にも代え難い久々の1勝。AFCアジアチャンピオンズリーグノックアウトステージ1stlegアル・カラマ戦を2-1で勝利し、グループリーグからの無敗を守ったG大阪。アウェイゴール2発だけでなく、7月の終盤から全く勝てなかった悪しき流れを払拭する意味でも本当に大きな勝利になった。

 選手たちの気持ちが全面に現れたサッカーを90分貫徹できたのもそうだが、やはりそれによってアル・カラマのゲームクロージングの拙さを突くことができた。8月にクワイド前監督が辞任し、新監督のアルヤブルディが就任したものの、グループリーグ6試合で3失点という強固なDF陣の前評判はあてにならず、最後まで集中力を保てなかった。69分の山口が決めたCKからのヘディングシュートはマークのミス。そして78分に途中出場した山崎がルーカスからのパスを受けて決めたゴールも、果敢にゴールに向かって突破を試みた際に相手DFの油断が導いてくれたと言える。MFアルフサイン、FWアルハムウィの抜けたアル・カラマは攻撃に確固たる起点を見出せず、鋭さを失っていたはずだ。受け身に回ってしまった相手に対してG大阪が本来のサッカーをできたことがこの結果をもたらしたのではないだろうか。

 完全にサッカーで相手を凌駕できたのは経験値として非常に重要だ。アル・カラマのアブドルダイム、アルフジャ、テアラを軸にした守備陣は、中盤の選手も巻き込んで分厚い壁を作ってはG大阪の攻撃をシャットアウトし続けた。この人数のかけ方は逆に攻撃に不安を残す証、そしてG大阪の攻撃陣を非常に警戒していた証でもある。その分厚い守備網に負けじと前半から二川の積極性にチームが導かれ、G大阪は少なからずも決定機を作った。立ち上がりの失点を同点にしてしまえる余力が、後半もこのアタックを続ければG大阪にはあると確信できた。

 アル・カラマのカウンター攻撃が前半から警戒すべきポイントだったが、後半彼らの運動量が減ったことはG大阪にも3バックにして播戸、山崎の投入のチャンスを与えた。ここしかない時間帯で西野監督は同時に2トップをリファイン。前半から掌握してたボールポゼッションをスコアに結びつける最善策を施した。同点弾こそ久々に見られた遠藤→山口のホットラインだが、チームのムードに拍車をかけるには十分なゴールだったろう。守備にリスクを冒しながらも前へアタックする姿勢が間違いなく2得点を生み出した。

 こうなると、俄然24日のホーム万博で迎える2ndlegは盛り上がる。もう勝しかない。結果最優先で言えば勝たなくても良いのだが、90分ハーフで考えればここは勝てるはずだ。ポジティブな意味でJリーグとは勝手が違ったACL。もう一度めげずに本気でこのタイトルに挑んでいこうではないか。結果が芳しくない国内の戦績とは別に、気持ちを切り替える心の余裕を与えられたようである。

 現地へ行かれた皆さん、お疲れ様でした。裏の試合では浦和が1stlegを落とす展開。これは2ヶ月連続で中東を堪能する羽目になるのでは。
 とにかく、ここで勝てて良かったとまずは一時の安堵感に浸るのは許されて良いはず。過酷な日程はまだまだ続くのだから。もちろん油断はできないが。

BLUESが奏でる甘美な旋律

2008年09月17日 | 脚で語る欧州・海外
 今季のUEFAチャンピオンズリーググループステージの戦いが始まった。ホームのスタンフォードブリッジでフランスのボルドーを迎えたチェルシーは格の違いを見せつける4点差で勝利。これ以上ないスタートを切ることができた。

 14分、ランパードから自陣でサイドチェンジのボールを受けたカルバーリョが引いて来たデコにパスを出すと、デコはワンタッチで反転してPA前に走り込んだJ.コールへ。J.コールからダイレクトで叩かれたパスを右SBのボシングワがダイレクトでクロスを送り込む。落ちるようにそして十分なスピードを有したそのクロスは吸い寄せられるようにゴール前に顔を出したランパードの頭にピッタリと合った。先制点は実に鮮やかな流れで、今季のチェルシーのコンビネーションを具現化した。

 31分には、マルダが高い位置よりクロスを試みたことで得た左CKからJ.コールが自分よりに遙かに上背のあるDFを出し抜いて技巧なバックヘッドで追加点を奪う。先日のクロアチア戦で負傷した頭部の傷をものともせず小さなアタッカーは今季も健在ぶりをアピールした。74分に交代を告げられた際に「なんでオレが?」といった素振りを見せたが、それは本音だっただろう。何しろ、昨年の今頃はローゼンボリにホームで0-0と引き分け、モウリーニョ監督解任という事態に陥った。それを考えれば、昨季あと一歩で逃したビッグイヤー獲得へ向けて、今季はブルーズの誰もが楽しんでサッカーをこなしている。

 名将スコラーリ監督の就任もさることながら、何よりも監督の指示を厭わない従順な2ピースが今季のチェルシーの大きな鍵になっている。それはDFボシングワとMFデコだ。

 ボシングワは昨季まで不安定だったチェルシーの右SB事情を払拭してくれた。その鋭い攻め上がりと的確なクロスは左サイドへの極端な負担をかき消し、攻撃のバランスをもたらした。さっきまで高い位置でプレーしていたかと思えば、数秒後には自陣でシビアな守備を厭わないその運動量も大きな武器になっている。そして、そのライトサイダーを中央から糸引きコントロールしているのがデコだ。開幕から2戦連続でゴールを奪い、即座にチームはおろかプレミアリーグの水にも慣れた。ランパードと比較すると、プレーエリアが広く、DFラインの前まで下がって、しっかりと相手にプレスをかける姿も見受けられる。自身のシュートの技術やフィニッシュのアシスト役としては申し分なし。バルセロナ時代とは打って変わった“新生デコ”が今季のブルーズの心臓をランパードと分け合っているのは大きい。エッシェンが負傷で離脱し、マケレレも出てしまった今季は、若いミケルがワンボランチの先発を務めることも多くなるだけにこのデコの存在は非常に大きい。

 このソリッドな右サイドの進化は、左サイドのA.コールとマルダのコンビにも非常に良い影響がもたらされている。ボルドー戦では、躍起に再三ゴール前へ仕掛けるマルダの姿があった。フィニッシュへのプロセスはどうであれ、2点目のきっかけにもなり、82分にはそのマルダがお役ご免の1発を奪っている。カルーとの定位置争いは熾烈を極めるだけにこのような好循環がもたらされるのは今のチェルシーには良いことだ。

 ほとんど何もできなかったボルドー。それだけチェルシーの強固さは光った。しかし、これがプレミアも含めたメガクラブであれば、また違った展開にはなっただろう。早く今季のチェルシーがガチンコで戦う試合が見てみたいものだ。その意味では、20日のマンチェスター・U戦(日本時間21日の22時)がまず最初の試金石になる。彼らの旋律がどこまで赤い悪魔を苦しめるのか、非常に楽しみでしょうがない。

2008ACLアウェイ道中膝栗毛総集編 ~写真館~

2008年09月16日 | ACLアウェイ道中膝栗毛
 シリアへは行かないので、今夜旅立つ皆さんは道中お気をつけて。

 次に繋げてくれという思いも込めて、グループリーグの思い出を。

<全南ドラゴンズ戦>

 
 スタジアム外に連なる露店 店によってビールの値段が違う摩訶不思議さ

 
 ACLの舞台にも関わらず、グッズショップはお休み・・・

 
 得体の知れないこんな物も食いました・・・

 
 試合前の光陽スタジアム 雰囲気は何となくニッパツ三ツ沢

 
 全南サポーター 右側の集団はおそらくPOSCO関係の警備員

<メルボルン・ビクトリー戦>

 
 成田からブリスベン乗り継ぎでメルボルンへ約14時間の旅

 
 トラムと騎馬警官の混在する街 メルボルン

 
 ここが決戦の場所テルストラドーム

 
 オージーフットボール向けに作られたスタジアムは素晴らしい設備

 
 ゲートの雰囲気も日本とは全く違う 半券を通すことで再入場OK

 
 宿泊は各国からバックパッカーの集まる専用宿

 
 シャワー・トイレ共同 日本円で1泊1,500円也

 
 歴史的な建物と現代の建物も混在する 情緒ある街メルボルン

 
 ACLより遙かに観客の多かったオージーフットボールも堪能

<チョンブリ戦>

 
 バンコク市内ではトゥクトゥクに大変お世話になる

 
 ワット・アルンこと暁の寺

 
 キレイではないが、ヒューマニズムに溢れたバンコクはいつも心を惹かれる

 
 市街地は渋滞が日常茶飯事 排ガスとクラクションにまみれる

 
 スパチャラサイ国王スタジアム

 
 何よりも心に残ったのはチョンブリサポーターの明るさ

 ガンバがこんな状況だからこそ、何かを起こしてくれるかもしれない。旅の思い出と共に、敵地ではしっかりと勝利を手にしてきた彼らの姿が脳裏にフィードバックされた。サッカーは分からない。望みを失わず応援するしかない。
 

チームは生き物 ~県リーグ11節 VSディアブロッサ高田FCガロットス~

2008年09月15日 | 脚で語る奈良クラブ
奈良県リーグ第11節
13:30キックオフ @吉野総合運動公園グラウンド

○奈良クラブ 3-2 ディアブロッサ高田FCガロットス●

得点
10分石田
45分松野正
56分石田

<メンバー>
GK31松石
DF21中村、5杉田、20上林、11松野智
MF3上西、24東、18和阪、13金城(HT=10松野正)
FW9嶋(24分=19土井)(70分=4秋本)、7石田

 

 タイムアップの笛が鳴る頃には土のピッチは泥田と化していた。戦いを終えたイレブンたちの顔にほとんど笑顔はない。誰もが今日の戦いぶりに納得していないようだ。それもそのはず、3点リードしていた試合は、雨が勢いよく降り出したラスト10分には1点差にまで詰められ、どうひっくり返ってもおかしくない試合だった。

 この日もサブに7人の余裕を残すメンバー編成で、スタメンは右SBに中村、CBを杉田と上林のコンビが務め、左には松野智、中盤は東と和阪のダブルボランチにサイドハーフで右に上西、左に金城、2トップは嶋と石田というコンビだった。負傷中の矢部を除き、松野正が前節の警告をもらったチーム内ペナルティとして先発外となった以外はほぼ現状のベスト布陣に近いメンバーだったのだが。

 

 チームは“生き物”だとはよく言ったもので、どうも立ち上がりからパスが繋がらずピリッとしない。全体的に元気が無いと言うべきかいつもの活気が消え失せていたような気がした。前半10分に石田が東のCKからヘディングシュートを決めて早々に先制点を奪うが、ボールは支配するも中盤と前線の連動性を欠き、相手に易々とボールを奪われる場面が目立つ。
 前半24分には嶋が負傷気味の脚に違和感を感じたのか途中交代。代わって土井がピッチに送り込まれる。フィニッシュに持ち込めたとしてもシュートに浮つきが見られる中で追加点は異常に遠く感じられた。MF上西がサイドを何度も攻め上がり、中央に顔を出しては惜しいシュートを放つなどチャンスはゼロではなかったのだが、どうも全社関西大会以降見られていた良いリズムが失われていた。

 
 スピードを生かして裏のスペースを狙った嶋だったが無念の途中交代

 
 今日はシュートで持ち味を見せたDF上西 残念ながらゴールは奪えず

 後半、頭から松野正が投入されると、早々の5分にゴール前での折り返しを豪快に決めてチームを盛り上げる。“ゴールを奪うのはオレだ”と言わんばかりのその場面は今思えばこの試合のハイライトだった。後半11分にはPA内でパスの出しどころが無く、中盤に下がった石田が拾うと絶妙の浮き球シュートで3点目となるゴールを奪う。3-0となって、あとは引き続き点を貪欲に奪いに行くかクロージングに入るのかという展開だった。

 
 2得点と活躍FW石田 心底彼の存在を刻みつけた試合だったと言える

 
 DF杉田のヘディングシュートは惜しくも決まらず

 しかし、依然ピリッとしない奈良クラブは3点目を奪った直後に相手FWに空いたスペースに走り込まれ1失点。セカンドボールを相手に奪われる場面は未だに目立ち、あわや失点というシュートを何本か打たれるほど。GK松石の怒号にも近い「動けよ!」という声が響き渡る。65分に前節の勝利の立役者FW澤畑が投入されるとキープ力を活かして前線の起点になったが、雨が勢いよく降り出した後半の終盤は71分にさらに失点を喫するなど守備陣を中心に精彩を欠いた。

 
 いつもと違う緊張感漂ったハーフタイムのミーティング

 守りきったと言うよりも相手のミスに助けられて勝利を掴んだと言っても過言ではないだろう。それだけ今日の試合では、動き出しの遅さ、ゴールへボールを効率よく運ぶプロセスといった点で課題が見えた。連携ミスも目立ち、出しどころが無いためにDFラインで不用意なパス回しなどもかなり多く見られた。

 
 前ここでやった時はGKでした・・・土井がFWで出場 経験を積んだ

 とにかく勝利は勝利。結果最優先で考えれば無敗を守りきって、プレーオフに少しでも良い条件で臨むためには前進したとポジティブに考えたい。そして光明は2得点の石田のポリバレント性。前半のFWと違って、後半は中盤で周囲を生かすことに専念した違うプレーを見せてくれた。3点目のゴールなどはJリーグで活躍した彼の感性が滲み出た1発。豪快に2点目を叩き込んだ松野正と共に今後のチームの得点力には欠かせない選手だ。
 これから県リーグのプレーオフ、そして全社と厳しい戦いは続く。しかし今日の戦いも教訓にし、12月の府県リーグ決勝大会で万全の戦いができるための壁ならば、奈良クラブなら容易く越えてくれるはずだ。

 

第88回天皇杯1回戦 ~佐川印刷SC VS 愛知学院大学~

2008年09月14日 | 脚で語る天皇杯
第88回天皇杯全日本サッカー選手権大会1回戦

○佐川印刷SC(京都) 7-1 愛知学院大学(愛知)●

得点
12分 山下(愛知学院大)
26分 大坪(佐川印刷)
52分 金井(佐川印刷)
54分 遊佐(佐川印刷)
56分 大槻(佐川印刷)
66分 猪狩(佐川印刷)
83分 奈良崎(佐川印刷)
89分 奈良崎(佐川印刷)

13:00キックオフ
@京都府立山城総合運動公園太陽が丘陸上競技場

 

 

<佐川印刷SCメンバー>
GK21川本
DF15野澤、22高橋、13金井、20松岡(75分=19片野)
MF27吉木、8大槻、6中井、14遊佐(60分=25猪狩)
FW18大坪(69分=26奈良崎)、11町中

 

<愛知学院大学メンバー>
GK21奥田
DF5菅藤、4西嶋、24小川、18松村(63分=2池田)
MF15高崎(54分=17遠藤)、6上原、10平間、25神野
FW8ダン、9山下

 東海学生リーグ1部では現在6位に位置するものの、8月30日に行われた愛知県大会決勝ではJFLのFC刈谷(現在6位)を下して8回目の全国大会出場を果たした愛知学院大学。緒戦の相手は同じJFLの佐川印刷SC。JFLではFC刈谷より下の12位という位置にいる相手にジャイアントキリングを起こせるか非常に興味深い対戦となった。

 東海学生リーグの得点ランク3位に名を連ねるFW山下が先制して、12分に愛知学院大がリードを得る。中盤でシンプルに前を向いてボールを繋げる佐川印刷に押され気味ではあったが、この1点は佐川印刷を覚醒させた。26分に佐川印刷が町中の折り返しに再三DFラインの裏に飛び出しを図っていたFW大坪が勢いよくシュートを決め同点にする。

 
 リベリアの血を引く愛知学院大FWハウバート・ダン

 
 佐川の攻撃を牽引し続けたMF中井(6)とFW大坪(18)
 
 徐々にボールが回せなくなってきた愛知学院大。前半こそ1-1で折り返したが、後半の立ち上がりに守備が崩壊。わずか4分間で3失点を喫すると、66分には途中出場の猪狩に決められて5失点目。74分にはDF小川が2枚目の警告を受け退場処分に。その2分後にはFWダンも2枚目の警告でピッチを去り、9人での戦いを強いられる展開に。司令塔のMF平間を中心に奮闘するが、その後終了間際のダメ押しを含めた2失点で合計7失点の大敗。残念ながら格上チームの洗礼を食らい、1回戦限りで天皇杯を去ることになった。

 
 52分に佐川印刷DF金井が鮮やかなFKを決めて逆転 ここから火がついた

 
 何度も右サイドをアップダウンし、攻守に持ち味を見せたDF野澤

 
 元京都のMF大槻 狙い澄ましたシュートでチームの4点目をゲット

 佐川印刷はJFLのプライドを見せつけた。12分の失点で尻に火がついたか、ホーム寄りの主審の笛も味方にセットプレーから、サイドの展開からシュートを打ちまくった。特に52分の金井の直接FKは実に鮮やかでチームの士気を揚げると共に、4分間で3ゴールの立役者になった。次戦2回戦の会場もここ太陽が丘。ホームでの試合は譲ってなるものかと奮起したプリントダイナマイト。あと2回勝って、4回戦の浦和との決戦まで持ち込みたいところだ。

 
 判定に疑問もこれが結果 2人を退場しながらも愛知学院大は良く戦った

 
 2回戦は愛媛大、3回戦は愛媛FC この2戦に勝てば4回戦の相手は浦和だ!

堕落 ~24節 VS名古屋~

2008年09月14日 | 脚で語るガンバ大阪
 とうとう10戦連続で白星に恵まれず、最悪の状態を迎えたG大阪。試合後にはホームゴール裏から“J2コール”まで巻き起こり、サポーターによる居残り抗議活動も巻き起こる事態に。0-1という敗戦のスコア以上に無策のまま勝ち星を得られないチームに万博は溜め息に包まれた。

 

 およそ3年に渡って名古屋には負けていないという相性の良さなど全く参考にならなかった。清水に無残な敗退を演じた先週のナビスコ杯準決勝と同じ布陣で臨んだG大阪だったが、開始10分に名古屋MF小川に先制点を許す。左サイドを下平がマギヌンに突破され、フワリと浮かしたクロスに左サイドでフリーだった小川が悠々とダイビングヘッドを流し込んだ。この時、突破されたマギヌンに対して、直前のスローインに対応するべく上がり目の位置にいたCB中澤も追いつけず、結果的に加地が左サイドに流れていく羽目に。ここで本来ならば二川が戻ってマークに付く必要があったのだが、小川の陣取っていたエリアはG大阪の選手が全くフォローできておらず、完全に無人のスペース。先週の清水戦にも通ずる不甲斐ない失点の仕方は、組織的な守備とは程遠いもの。この一連のプレー時には、山口がヨンセンをケアしており、スローインから玉田がヒールでサイドラインギリギリでマギヌンにボールを送ったのだが、下平のコンタクトの甘さ、中澤のポジショニングの拙さ、全ての穴が招いた当然の失点だと言えるだろう。

 
 名古屋が10分に先制 今のG大阪には1失点でも十分に重い

 G大阪がバタバタした拙攻を見せたならば、終始名古屋は首位チームの風格が漂う余裕のあるプレーぶりだった。前線へのボールをことごとくバヤリッツァがカットすれば、マギヌン、中村といった中盤の選手たちもG大阪ポゼッション時に一斉にチェイシングを敢行する。そのプレーエリアを確実に狭める効果的な中盤のプレスは、G大阪のそれとは対極的なものだった。
 対して攻撃時は、左右にポジションチェンジするマギヌンと小川がシンプルにボールを繋いだ。ヨンセン、玉田もただの点取り屋に徹する訳ではなく、このサイドアタッカーを最大限に引き出す役回りもこなす。好循環でシンプルな名古屋のサッカーはG大阪に逆襲のチャンスを与えなかった。

 
 ルーカスに対してバヤリッツァの守備が牙を剥く

 
 左右でG大阪守備陣を翻弄した名古屋MF小川

 縦のスペースをほぼ完全に消されたG大阪は、ほとんどが足下に繋ぐパスサッカーに終始した。エリア付近では手数と時間がかかり、ほとんど良い形でのフィニッシュは無し。ロニーが何度か惜しいチャンスを迎えたが、ゴールには至らない。14本のCKのチャンスも全てフイにしてしまった。

 
 再三のCKのチャンスも得点には繋がらず・・・

 遠藤→二川、遠藤もしくは二川→ロニーという縦の関係は随所に見えたが、DFラインの裏に出るスルーパスは消えている。そして再三オーバーラップで奮闘した加地があそこまで封じられるとほとんどサイドアタックは機能しない。中央でもサイドでも名古屋の厚い守備に封じられたという印象だ。あとはやはりポゼッション時のラインの押し上げが遅いため、パスコースとスペースが増えない。

 
 加地VSマギヌンの因縁のマッチアップも万博で再現

 泥沼を打開する特効薬はとんと見当が付かない。戦力的なテコ入れに期待できない現状では、セットプレーも含め、得点に繋がる形とその連携を深めていくしかないのか。来週はミッドウィークにACLというハードな日程を控えている。スタジアムの欲求不満は既に最大限。それとは裏腹にチームは日に日に強さを失くしているようだ。

 
 敵地で勝ちどきを挙げる歓喜の名古屋サポーター

 
 容赦ないJ2コールが巻き起こる 形はどうであれ何としてでも勝利を掴みたい

第88回天皇杯1回戦 ~バンディオンセ加古川VSカターレ富山~

2008年09月13日 | 脚で語る天皇杯
第88回天皇杯全日本サッカー選手権大会1回戦

●バンディオンセ加古川(兵庫) 0-1 カターレ富山(富山)○
得点
27分 濱野 (富山)

13:00キックオフ
@三木総合防災公園陸上競技場

 

<バンディオンセ加古川メンバー>
GK1山口
DF3木村(60分=11角)、2小林、5神崎、24清水
MF15岸田(60分=8下松)、22片原、16西村(80分=20稲田)、7濱岡
FW9河野、17松田

 

<カターレ富山メンバー>
GK1中川
DF26中田、3堤(87分=22小田切)、6濱野、19西野
MF7朝日、8渡辺、16景山(69分=5長山)、10上園
FW13長谷川、15石田(83分=17木本)

 今年も天皇杯が幕を開けた。13日の初日、唯一関西地方で行われたのは来季こそ念願のJFL昇格を狙う兵庫県代表のバンディオンセ加古川と来季のJリーグ入りを目指す富山県代表のカターレ富山の一戦。カテゴリーこそ違えど、そこまで格差の見えない非常に見応えのある試合となった。

 

 落ち着いた立ち上がりとなった前半は、やはり富山が巧みにサイドチェンジを織り交ぜてペースを握る。左サイドで司令塔の上園とSBの中田が効いており、加古川はDF陣が序盤から集中力を強いられることになった。渡辺と景山が冷静な対処で加古川のプレーエリアを狭め、DF陣の負担を軽くしていた。
 加古川も攻撃に関してはシンプルに富山DF陣の裏を狙って、河野、松田のコンビが飛び出しにかかるが、なかなか自由にさせてもらえない。これといったチャンスを迎えられずにジリジリと防戦に引き込まれる加古川。27分に耐え切れずCKから富山DF濱野にルーズボールを押し込まれる。

 
 加古川DF神崎がヘッドでゴールを狙う

 
 富山は27分に主将の濱野が先制点を決め、歓喜の輪が広がる

 しかし、リードは広がらなかった。加古川は失点後に中盤が奮闘。片原、岸田が体を張って富山の攻撃陣を防ぎ続けると、徹底的にサイドをえぐられた右サイドもCB神崎が巧くフォローに回って何とか凌ぐ。これで1点さえ奪えればスコアは振り出しに戻る。何としてでも突破口を見つけたい加古川だった。

 
 2008年度の関西リーグDiv1MVPの加古川MF濱岡 奮闘するも・・・

 42分にチャンスは訪れる。加古川FW河野が富山DFラインの裏に飛び出して決定的なチャンスを迎えるが、GKとの1対1の局面は惜しくもゴール左にシュート逸。その1分後には、粘りのオーバーラップで右SB木村がシュートまで持ち込もうとするも、富山MF上園がかろうじてブロックする。ようやく加古川がリズムを手繰り寄せて前半を1点のビハインドで折り返した。

 後半序盤から加古川のエンジンは唸った。47分にFW松田がヘッドでゴールを狙うが惜しくも左に外れる。51分にGK山口が富山MF渡辺の決定機をファインセーブで凌いでチームに活を注入すれば、59分にはトップ下の濱岡の折り返しを岸田が強襲のシュート。しかしいずれもゴールを割ることができない。79分には濱岡のFKがわずかにゴール右隅に外れ、近いようで果てしなく遠い1点に苦しめられる。富山の落ち着いた守備の前にボールロストが目立つようになるが、“勝ちたい”という気迫が最後まで漲った加古川は、86分に角のポストプレーから濱岡、88分には右サイドを突破した角のシュートがわずかに外れるなど最後はツキに見放された。結局0-1で試合終了のホイッスルを迎え、カターレ富山が辛勝で2回戦進出を果たした。

 
 79分に加古川は濱岡がFKを狙うが、わずかにゴール右上へ

 
 途中出場のFW角が渾身のボレーシュート

 今季11月に4度目の正直でJFL昇格を果たすべく、全国地域リーグ決勝大会に臨む加古川は、昨年の佐川急便滋賀とのマッチアップに続いて良い腕試しの機会になった。加古川のチャンスの数を考えれば、どちらが勝ってもおかしくなかった試合。しかし、そこで1点に泣いた現実こそ、見えないJFLとの力の差かもしれない。先週JFL後期第9節で栃木SCを破った富山に勢いこそ物足りなかったためスコアこそ開かなかったが、ゴール前での決定力はやはり全国レベルに挑む際にはまだまだ上積みすべき余地がある。昨年の熊谷の悲劇を繰り返さないためにも今日のこの試合は修正点を晒す良い機会になったはずだ。全社でライバルの全社枠狙いを潰し、悲願のJFL昇格へ加古川は邁進する。

 
 富山の2トップ石田と長谷川を封じた加古川DF陣

 しかし、この試合で目立ったのは、FKのリスタートの位置に非常に細かく、試合の流れを妨げたレフェリーだった。ジャッジに一貫性も無く、連休の初日ともあって多くの子供が詰めかけていたが、彼らに文句を言われているようでは困ったものだ。終盤の加古川の猛攻もレフェリーがさくさく試合を進めていれば・・・と思うとどうなったか分からないものである。

 
 彼らにとって本番はこれから 11月には全国地域決勝が控えている

奈良転々

2008年09月12日 | 脚で語る奈良クラブ
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 河瀬直美監督の作品が好きな方ならピンと来たはず。「沙羅双樹」の舞台にもなったならまち界隈。

 この奈良にもサッカーは息づいている。

 
 対話を重ねて週末のリーグ戦に備える

 
 まもなくオフィシャルサイトに上西選手&嶋選手のインタビュー掲載予定

 
 懐中電灯で照らしながらボールを追っていた日々がスタート地点

 まだまだこれから! 奈良クラブ!

9月15日(祝・月)
奈良県リーグ第11節

奈良クラブ VS ディアブロッサ高田FCガロットス

13:30キックオフ

吉野総合運動公園グラウンド