代官坂(1)の坂下を右折し、代官通りを南へほんのちょっと歩くと、右手に小路があり、その先に階段坂が見える。
ここがもう一つの代官坂で(山野)、前回の代官坂(1)に対し代官坂(2)とした。ここも標識は立っていない。渋谷区代官山町12番と14番との間を西へ上る(現代地図)。
となりの代官坂(1)は中央にステップのあるタイプであるが、ここは普通の階段坂。ただし、踊り場がたくさんできている。まっすぐではなく、微妙に曲がっている。
家と家との間の小路にあるため、かなり狭く感じる階段であるが、上下するとき、どこかの異次元空間に赴くような錯覚に陥ってしまいそうである。
街の中に独特の景観をつくりだしている。坂下から見たのと、坂上から見たのでは、まったく違う眺めになっているのがおもしろい。
となりの階段坂も含めて、この付近の迂回路になっているように見えるが、このような回り道は、日常の中で非日常を感じさせる貴重な存在のような気がする。
戦前(昭和16年(1941))の昭和地図を見ると、八幡通りと代官通りとを結ぶ道があるが、この坂のある小路と思われる。代官坂(1)の方は、途中で途切れていたが、ここはちゃんとつながっている。
階段を上り、小路を通り抜けて八幡通りに出る。
参考文献
横関英一「江戸の坂 東京の坂(全)」(ちくま学芸文庫)
山野勝「江戸の坂 東京・歴史散歩ガイド」(朝日新聞社)
岡崎清記「今昔 東京の坂」(日本交通公社)
石川悌二「江戸東京坂道辞典」(新人物往来社)
デジタル古地図シリーズ第一集【復刻】江戸切絵図(人文社)
デジタル古地図シリーズ第二集【復刻】三都 江戸・京・大坂(人文社)
「嘉永・慶応 江戸切絵図(尾張屋清七板)」(人文社)
市古夏生 鈴木健一 編「江戸切絵図集 新訂 江戸名所図会 別巻1」(ちくま学芸文庫)
「大江戸地図帳」(人文社)
「東京人 特集 東京は坂の町」④april 2007 no.238(都市出版)
「古地図・現代図で歩く戦前昭和東京散歩」(人文社)
「古地図・現代図で歩く昭和三十年代東京散歩」(人文社)
竹内誠編「東京の地名由来辞典」(東京堂出版)