歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

ダ・コル『ゴンベール_ミサ・スュル・トゥ・ルグレ』

2009年12月31日 | CD 中世・ルネサンス
Nicolas Gombert
A la incoronation
Musiche per l'incoronazione imperiale di Carlo V - Bologna 1530
Odhecation ・ Paolo Da Col
Cornetti e Tromboni ・ Bruce Dickey
Ensemble Pian & Forte ・ Gabriele Cassone
GB 5083-2

1998年録音。71分54秒。Bongiovanni。1530年にボローニャで行われた、神聖ローマ帝国皇帝カール5世の戴冠式のための音楽。こういう再現音楽はポール・マクリーシュがよくやってましたけど、あれほど忠実に再現て雰囲気ではなく、史実にこと寄せて、めづらしいゴンベールのミサをゆっくり楽しみましょって感じかな。歌うのはPaolo Da Col指揮のOdhecation。そして2つの管楽アンサンブルが花を添える。

カール5世の宮廷に仕えたニコラ・ゴンベールの《Missa Sur tous regretsミサ・スュル・トゥ・ルグレ》がメイン・メニューで、そのほか、ゴンベールのモテット2曲。あとジョスカン、リシャフォールのモテットなど。なお録音場所もボローニャの教会。

Odhecationというのはアルト以下男声ばかりの声楽アンサンブルで、ミサは基本的に各声部2人で歌っているもよう。ミサは5声ですが、ところどころ声部が増えたり減ったりします。メンバーのリストを見るとイタリアふうの名前の人がほとんど。リーダーのパオロ・ダ・コルはテナーも歌います。教会の中で残響がもわんもわんしていて、マイクが遠いのですが、なかなか巧いです。破綻なく歌いきっている。声はよくブレンドされて耳に心地よく、いかにもイタリアの人たちらしく程よく快楽的な響きがする。

ゴンベールの曲って、モテットをすこし聴いたことがあっただけでミサ全曲ははじめてだったんですが、ジョスカン・クラスの、聴きごたえのあるミサだなと思いました。Agnus Deiがかっこよかった。そのほか、のちにモンテベルディが借用したことで有名なモテット"In illo tempore"(6声)とか、"Regina caeli" (12声)とか。モテットは各声部1人。カウンターテナーがよく歌ってる。ジョスカンのモテット"O bone et dulcissime Jesu"はおよそ8分半のわりと大きな曲。イギリス勢の歌うジョスカンとはまったく異なるうっとりする美演で、楽しませてもらいました。

おしまいまで聴きとおすと、あ、いいコンサート聴いたなと思えた。けっこうなCDでした。

ア・セイ・ボーチ『ジャヌカン_シャンソン集』

2009年12月30日 | CD 中世・ルネサンス
Janequin
Le Verger de Musique
Ensemble instrumental Labyrinthes
A Sei Voci
Bernard Fabre-Garrus
E 8571

1995年録音。48分28秒。ASTRÉE。このCDが出たときは、ああやっと、まともなジャヌカンを聴かせてくれる新しいグループが出てきたと思いましたわ。そのころすでにアンサンブル・クレマン・ジャヌカンの演奏が国内盤でも出ていて広く流布していたわけですが、あれはどうも品がなくて好きになれなかった。このア・セイ・ボーチの演奏、いま聴くともう少し元気がいいとよかったなあとも感じるけれど、しかしジャヌカンの演奏スタイルとしてはやはり正しいところを突いていると思いますね。ほんとに聴きたい人だけのために、静かに趣味よく歌われるジャヌカン。押しつけがましさのないのがよい。

"Il estoit une fillette" "Le chant des oyseaux" "Martin menoit son porceau" "L'amour, la mort, la vie"など有名な曲がいろいろ入っています。まあせっかくなんだからもうちょっと曲数多かったらもっとよかったけど。

歌い手はS、Ct、T、Bs、Bsの5人。ジャヌカンのシャンソンはほとんど4声ですから、たいてい誰かはお休み。けっして声を荒げることなく、最後に収められている"La guerre"も軽めに楽しく歌ってる感じ。ところどころ器楽アンサンブルで演奏されるジャヌカンもみやびですてき。

しかしその後ア・セイ・ボーチはジャヌカンをちっとも録音してくれなかった。わたしが嫌っていたECJのほうがいい感じに熟してきて、シャンソンのよいCDを出し続けてくれています。

リフキン『バッハ_カンタータ集2』

2009年12月29日 | CD バッハ
J. S. Bach
Kantaten BWV 106, 131, 99, 56, 82, 158
The Bach Ensemble
Joshua Rifkin
458 087-2

1985,88,89年録音。55分45秒/51分10秒。DECCA/L'Oiseau-Lyre。CD1がBWV106、131、99。CD2がBWV56、82、158。CD2はこれ3曲ともバスのためのソロ・カンタータ(歌っているのはJan Opalachという人)だったんですね。それ知らずに買っちゃった。OVPPによるバッハのカンタータ演奏は今ではより成熟して、このリフキンのより密度の濃い演奏がいろいろありそうです。このリフキンのシリーズはその出発点だったもの。今聴くとあまりに素朴でコクに欠けるのは否めない。

リフキンがオワゾリールに録音したバッハのカンタータでは、CD2枚組になったのがもう1組あって、そちらのほうが有名曲がいろいろ入っていて人には薦めやすい。こっちの2枚組はよりマニア向けだと思いますね。いやしかし、それにしてもこの人懐っこさはなんだろう。たしかに、大人の成熟したバッハではないけれど、なんともういういしくて、これはこれでまあ、いいんぢゃなかろうか。古楽器の音色は美しいし、筋は悪くないですよ。

歌い手はすべてアメリカの人たちで、当時の若手実力派をそろえたんだろうと思います。こういう中からバーバラ・ボニーとかシルビア・マクネアーとかも出てきたわけだから、アメリカ人てだけでバカにしちゃいけません。BWV106と131はおなじチーム(4人)が歌っています。ソプラノはAnn Monoyios。この人はいいソプラノ。じつに爽やかでピュアな声で歌います。メンバーは替われど99もほぼ同じ雰囲気。

ヤン・オパラッハはリフキンのこのシリーズに皆勤のバス。いい素質を持ってはいるけど、バッハのソロ・カンタータを歌うにはまだ若すぎました。2枚目の3曲の中ではBWV82がわりとよく歌えていると思います。56はただ譜面をなぞっただけに聞こえた。158はその中間かな。バッハはバス独唱用のカンタータを何曲書いたのか知りませんが、バス歌手のソロのための曲としては貴重なレパートリーですね。

ラモン『パーセル_劇場のための音楽』

2009年12月26日 | CD パーセル
Henry Purcell
Ayres for the Theatre
Dioclesian / King Arthur / The Fairy Queen / The Indian Queen
Tafelmusik
Jeanne Lamon
SK 66 169

1994年録音。70分50秒。Sony Classical。パーセル晩年の劇音楽4作品からの合奏曲集。もともとの器楽曲だけでなく、"Fairest Isle"とか"Come, If you dare"とか(『アーサー王』)歌われる曲も、器楽のみの演奏で出てきます。どこをとっても名旋律。こりゃいいわ。わたしは4作品とも、全曲盤でもよく聴くんですが、『ダイオクリージャン』『アーサー王』『妖精の女王』はそれぞれCD2枚組、『インドの女王』もCD1枚たっぷりかかる大作なので、こういう触りの部分を集めた音源はうれしい。繰返し、ずーっと聴いていたいCDです。パーセルの死後、1697年に出版された楽譜を、そっくりそのまま演奏してるようです。当時の、パーセルの劇音楽の人気のほどが垣間見られて面白い。

高らかにトランペットの鳴り響く爽快な曲もあれば、繊細優美をきわめた弦楽合奏の曲もありで、しかしどの曲もパーセルの劇音楽らしく人なつこさにあふれていて、パーセル好きにはたまりませんな。

演奏は、清新で風通しがよく、それでいて決してそっけないわけではなくて、若々しい活気に溢れている。パーセルにぴったり。北米のグループは、トリニティ・クワイヤといいアラディア・アンサンブルといいこのターフェルムジークといい、パーセルやらせるとすごくいい。トランペット、ティンパニ、さらに通奏低音の撥弦楽器(テオルボ、アーチリュート、ギター)の音がにぎやかです。

全50トラック。パーリー・オブ・インストゥルメンツがハイペリオンに同様の劇音楽集をCD3枚組で録れていますが、その1枚目が、このターフェルムジーク盤とまったく同じ曲順なんですわ。

ターフェルムジークはもちろん名前は知ってましたがCDははじめて買いました。カナダの古楽オーケストラ。アラディア・アンサンブルの指揮者であるケビン・マロンがこのターフェルムジークのCDでバイオリン弾いてますよ。ターフェルムジークで経験を積んでから自分でも指揮するようになったのね。

『クリスマス、タリス・スコラーズとともに』

2009年12月24日 | CD 中世・ルネサンス
Christmas with the TALLIS SCHOLARS
CDGIM 202

1986,87,88,98年ごろ録音。78分08秒/78分34秒。Gimell。1枚目は、中世以降のキャロル、コラール、「アベ・マリア」などクリスマスにちなむ曲集に、クレメンス・ノン・パパの《Missa Pastores quidnam vidistis》を加えたもの。2枚目はソールズベリー聖歌をたっぷり50分以上と、タリスの《Missa Puer natus est nobis》。最後のタリスのミサのみ、90年代後半。他は80年代の録音。

CD1の前半がこの2枚組の核となるクリスマス曲集。はじめのほうのキャロルはまあまあ。わたしはまちっと繊細な歌い方のほうが好みですが、タリス・スコラーズにしては押しの強さは抑えられています。"Lully, lulla, thou little tiny child"なんて、しみじみ聴かせますよ。そのあと、有名なジョスカンの"Ave Maria"、ビクトリアの"Ave Maria"、いづれも端正な演奏。Verdelotの"Beata es vigro / Ave Maria"って曲、はじめて聴いたけどこの曲好き。それからプレトリウス父子によるコラール編曲、"Es ist ein'Ros'entsprungen""Joseph Lieber, Joseph Mein""In Dulci Jubilo"の3曲がまた親しみのもてる好演。ここまででも、クリスマスのミニ・コンサート1回分のプログラムとしてじゅうぶん聴きごたえのあるもの。そしてこのあとクレメンスのミサがたっぷり30分あるのよ。クレメンス・ノン・パパの曲を聴いたのもはじめてなんですが、このミサは曲・演奏とも充実している。80分弱、しっかり楽しめましたわ。

CD2のさいしょから50何分間はずーっと単声の聖歌がつづくんですが、これがそれほど退屈ぢゃなかった。まあ仕事しながら聞いたからかもしれませんけどね。タリス・スコラーズ男声部の声の美しさと、鍛えられたユニゾンを楽しみましょう。トラック7の冒頭でいきなり鐘の音が入ってきてびっくりした。フィナーレの《Missa Puer natus est nobis》はGloria - Sanctus - Agnus Deiの3章。なんか輝かしいミサですよこりゃ。タリス・スコラーズらしくキンキラキンに歌いまくりますが、CDの前半が墨絵のような世界でしたから、キンキラキンでもいい。許す。

CD2枚とおして聴くと山あり谷ありでなかなかユニークなアルバムになりました。1枚目から2枚目の前半にかけてはむしろ刺激を抑えた地味めの音づくり。で最後のタリスのミサで一気に盛り上がる感じ。紙箱もCDの表紙も、さらにCD面にもフィリッポ・リッピの絵があしらわれていて美しい。センスのよいデザインのCDです。

ゲーベル『リュリ_王は踊る』

2009年12月23日 | CD バロック
Le Roi Danse
Musica Antiqua Köln
Reinhard Goebel
463 446-2

1999年録音。75分34秒。DG。映画『王は踊る』のサントラ。映画のほうは結局見てないんですよ。(そういや『巡り逢う朝』も見てない…。)で、せめてサントラだけでも聴かねばと思いまして。リュリを中心に、ほかの作曲家の曲もちらほら入っています。ところどころにソプラノの歌うエールもあります。全35トラックでひとつひとつの曲が短いので、リュリの音楽をじっくり楽しもうってCDではないです。あくまでも、ルイ14世のベルサイユの華々しき雰囲気を音楽でのぞいてみよう、ってスタンスで。

クリスティではなくてゲーベル&ムジカ・アンティカ・ケルンなので、優雅さ一辺倒ではなくかなり鋭角的で力強さも感じさせる演奏。でも往時のベルサイユの音楽家たちのスタイルもあんがいこんなざくざくしたもんだったのかもしれない。いやまあ、「ざくざく」というのは言い過ぎですが、とにかくリズムのキレがいいんです。こういうリュリ、わたしは好きです。

『町人貴族』の「トルコ人の儀式の行進」はフランス・バロックでいちばん有名?な曲になってしまったけど、トラック18にちゃんと入ってます。最後でトゥッティでガーッて音が鳴り響いて、イケる演奏ですよ。この曲は『巡り逢う朝』でも出てくるんでしょ。それからわたしの好きな『アルミード』の「パッサカーユ」もトラック27で4分ほど聴けます。いやーオモロイ。じつに荒けづりな体育会系舞曲になってる。

ムキムキのルイ14世が、髪の毛から体から金色に塗って踊り手になったところを撮った表紙写真も派手で、ブルボン朝の剛毅さ典雅さ野蛮さバカバカしさをいろんな面から楽しめる。

デ・ラビリント『ジョスカン_ミサ・パンジェ・リングァ』

2009年12月21日 | CD ジョスカン
Josquin
- Circumdederunt me -
Missa Pange lingua
Stabat Mater
De Labyrintho
Walter Testolin
CD EL 052317

2001年録音。66分16秒。E Lucevan Le Stelle。『ミサ・パンジェ・リングァ』のほか、ジョスカンのモテット〈神がこの世を愛したまいしごとくSic Deus dilexit mundum〉〈御顔を覆われた方Qui velarus facie fuisti〉〈輝ける天が命じたHuc me sydero〉〈めでたし、まことの御体Ave verum〉〈悲しみの聖母Stabat mater〉〈水のニンフNimphes nappés〉を収録。

『ミサ・パンジェ・リングァ』はタリス・スコラーズ、マルセル・ペレス、ア・セイ・ボーチと聴いてきたからこれが4枚目になります。それぞれにいいところがあって、極めて高いレベルで競い合っている。けっこうなことですよ。

デ・ラビリントは上から2・3・3・3。ここのソプラノってこんな声だったかしらん。女の子みたいなあどけない声なんですよ。天使が地声で?歌ってる感じ。いや下手くそって意味ぢゃないです。ちょっと舌足らずなんぢゃないかと思う箇所はあるけど声楽のテクニックは問題ない。その個性的なソプラノと下3声が華やかに釣り合っている。

『ミサ・パンジェ・リングァ』はもちろん全曲、はじめからおしまいまでいいんですが、個人的にはBenedictusでテナーとバスの2声で歌うところがとても好きです。あれを歌ったことのある人なら分かってくれると思う。たった2声であんなに充実した音楽になっちゃう不思議。

〈Stabat mater〉はこの前ヘレベッヘのを聴いたばかりですが、ヘレベッヘのがファン・アイクふうのジョスカンなのに対してこのデ・ラビリントのはボッティチェリふう。終わり近くの変拍子のところも、よりドラマティックに音楽が揺れる。

このCDも買ってすぐ聴いたときは今ひとつな気がしたけど、久しぶりに取り出して聴いたら思いのほかの名演だった。ただ録音は残響多すぎなんぢゃないかと思います。

マロン『シャルパンティエ_ノエルとクリスマス・モテット』

2009年12月19日 | CD バロック
Marc-Antoine Charpentier
Noël and Christmas Motets
Aradia Ensemble
Kevin Mallon
8.554514

1999年録音。70分09秒。NAXOS。カナダのアンサンブルによるマルカントワーヌ・シャルパンティエ。すでに高い評価を得ているCDですが、やっぱいいですよーこれは。冒頭、ソプラノのソロが無伴奏で、3拍子の素朴をきわめたノエルを歌い出す。ここからもう引き込まれる。シャルパンティエをはじめて聴く人に特にお勧め。マロン指揮アラディア・アンサンブルの演奏は清新ですがすがしく、くりかえし聴き込むに足る演奏。

『真夜中のミサ』H.9からのノエル"A minuit fut fait un réveil"から始まって、器楽によるノエルを織り込みながら、小振りな編成によるクリスマスの歌がつぎつぎと歌われていく。独唱があったり、器楽合奏があったり、オルガン独奏をしみじみ聴かせてくれたりもして、けっこう多彩。最後に、これこそシャルパンティエの美質そのもの、みたいななんとも愛らしいオラトリオ《In nativitatem Domini Nostri Jesu Christi》H.414が情感たっぷりに歌われる。H.414はクリスティのもあって、それはわたしが最初に買ったシャルパンティエだったんですが、このアラディア・アンサンブルのもクリスマスの澄みきった喜びに満ちています。クリスティのシャルパンティエを聞き慣れた耳には、もうすこしコクがあれば、とも思うけど、しかしこれはこれで立派です。

編成はごく内輪なもので、合唱は4・4・3・2でこの中からソロも出て歌います。vnが2、va・vc・violoneが各1、それにオルガン、リコーダー2、そしてパーカッションが1。指揮のケビン・マロンはバイオリンを弾きながら。

ネタの種

2009年12月17日 | メモいろいろ
Yahoo!百科事典には「ガロアGalois」と「ガロワGallois」と両項目あり。どちらもフランス人の姓なり。おそらく発音は同じなるべし。──と思ってたけど、違うのかな。フランス語の《oi》のカナ表記はさいきん「オア」ばやりだが、フルーティストのPatrick Galloisについては、googleで検索すると「パトリック・ガロワ」が32,000余ヒットするのに対し、「パトリック・ガロア」は3,500余である。

Keynoteでのペジェ曲線を勉強中。イラレとかとは関係なく暮らしてきたので、ペジェ曲線なんて縁がないと思ってたんですけどね。なにも込みいったことをやりたいわけではないのだ。カーブのついた矢印とか、半円とか。そういうのって、プレゼンテーションだけぢゃなく日常業務でつくる書類にもけっこう使いそう。

「しかる」という漢字は、ほんとは口へんに漢数字の「七」が正しいそうですよ。ひゃー。はじめて知った。音読みは漢音で「シツ」、呉音で「シチ」だそうです。『新漢語林』によれば、「音符の七は、縦横にきりつけるさまを示す。口で切りかかる、しかるの意味を表す。」とのこと。そしてわたしがこれまで「しかる」に当たる漢字だと思っていた「叱」は、じつは「カ」と読む別の字だったんですと。意味は「口を開くさま」。OS Xでは「口へんに匕」も「口へんに七」も使うことができ、さらにATOK 2009 for Macでは「しかる」の変換候補として「口へんに匕」も「口へんに七」も出てきます。ていうか、出てきてしまう。しかし問題は「口へんに七」のしかるという字が第3水準であること。

パロット『バッハ_マニフィカト&オラトリオ集』

2009年12月15日 | CD バッハ
Bach
Magnificat BWV 243
Lobet Gott in seinen Reichen BWV 11/249b
Nun ist das Heil und die Kraft BWV 50
Christ lag in Todes Banden BWV 4
Osteroratorium BWV 249
Kirkby, Tubb, Van Evera, Cable, Trevor, Crook, Jochens, Daniels, Charlesworth, Grant, Thomas, Kooy
Taverner Consort & Players
Andrew Parrott
5 61647 2

1989年(CD1)/93年(CD2)録音。54分17秒/59分02秒。Virgin。OVPPだということは知らずに買いました。『マニフィカト』はガーディナーの颯爽とした演奏で聴きつけているのでOVPPだとさびしい感じがあるんですが、その他は心地よく聴きとおせました。思い起こせばパロットは世評の高い『ロ短調ミサ』でも、OVPPに近いスタイルで演奏してたんでしたな。

パロットは好きな指揮者なのでこのCD2枚組も以前からねらってはいたんですが、購入したきっかけは、YouTubeでBWV11の冒頭合唱をクイケンの指揮で視聴したことです。気に入って、この曲ちゃんと聴きたいなと思ったんです。ちなみにそのクイケンのもOVPPだった。そのBWV11ですが、フラウト・トラベルソ、オーボエ、トランペット、ティンパニまで入った編成で、晴れ晴れとしたいい曲ですねえ。カークビーもいい感じ。重唱もソロも快調。CD2のBWV4、249とも緊張感のとぎれないよい演奏だと思います。249はこのCDではじめて聴いたんですが、これもいい曲ね。『昇天祭オラトリオ11』と『復活祭オラトリオ249』。この2曲はほかの演奏も聴いてみたい。BWV4はすでにアーノンクールのとBCJのを持ってますが、三者三様でそれぞれに面白い。

ソロは上記のソリストが各曲分担して歌っています。カークビーはBWV11のみの出演でちょっと残念。イブリン・タブが『マニフィカト』でS2を歌っていますが、この人のバロックもの自体めづらしい。S1はバンイブラです。アルトを歌っているキャロライン・トレバーはテナーのチャールズ・ダニエルズともどもタリス・スコラーズのCDで耳にすることの多い人なのですが、ソロもOKです。カウンターテナーのような芯の強い声でしっかり聞こえます。

BWV50は合唱曲が1曲しか残ってないんですか? 録音自体少ないようですが、3分半、楽しませてくれます。