Handel
Messiah
Kweksilber, Bowman, Elliott, Reinhart
The Amsterdam Baroque Orchestra
The Sixteen
Ton Koopman
0630-17766-2
1983年録音(8月のイタリア・リミニと、9月のオランダ・ユトレヒトでのライブ)。74分57秒/65分35秒。ERATO。2回のコンサートの出来のいい方の音を採ってつないだそうです。テンポは心持ちゆっくりめ。コープマンの表現はコクがあり、例によって通奏低音のチェンバロが雄弁で楽しい。シクスティーンは、技巧は完璧だがそれをひけらかさず、ナチュラルかつさわやかな歌いぶり。コープマンのゆっくりめなテンポにも適確に反応してすばらしい。合唱に関しては、今日なお、もっともすぐれた『メサイア』(少なくともそのひとつ)だと言っていいです。
しかしソロがやや落ちます。ソプラノのクベクジルバーが魅力に欠ける。ずっと不調だったのか、もともとこういう声の人なのか、声が美しくない。いまから30年近く前の録音であることを考慮しても点は辛くなる。他の三人はまあまあといったところ。エリオットは美声はいいんだけどやはりところどころ音程が微妙。まあホグウッド盤よりも意欲的な歌いぶりな点は買える。ラインハートによる〈Why do the nations〉と〈The trumpet shall sound〉は特に破綻もないかわりにやや小粒。
ザ・シクスティーンの録音としては早い時期のもの。メンバー表によると5・4・4・4。Sally Dunkley、Haward Milner、Mark Padmore、Simon Birchall、Francis Steele、Jeremy Whiteなどがいます。オーケストラは弦がVn6のほか、Va、Vc、Cb各1。あとOb2、Fg1、Tp2。リーダーはMonica Huggett。VaはTrevor Jones、VcはJaap ter Linden。さらにティンパニ、オルガン各1、そしてコープマンがチェンバロを弾きながら指揮をする。
版は面白いのを使っています。〈Thus saith the Lord〉と〈But who may abide〉はどちらもバス。第2部の〈How beautiful are the feet〉と〈The sound is gone out〉はソプラノのダカーポ・アリアとして、ひとつの曲になってます。中間部となる〈The sound is gone out〉は当然ながら合唱バージョンとはまったく違うメロディ。〈How beautiful〉から引き続くシチリアーノの上昇音型が美しい。この稿を、来日して『メサイア』を演奏したときにもコープマンは使っていた。バスの〈Why do the nations〉は、長いほうの版。第3部のAとTのデュエット〈O death, where is thy sting〉はめづらしく長いほう。〈If God is for us〉はソプラノ。
久しぶりに聴いたらまあまあでしたよ。なにしろシクスティーンはすばらしい出来。評価の分かれ目はクベクジルバーの地味ぃなソロに我慢できるかどうか、です。
Messiah
Kweksilber, Bowman, Elliott, Reinhart
The Amsterdam Baroque Orchestra
The Sixteen
Ton Koopman
0630-17766-2
1983年録音(8月のイタリア・リミニと、9月のオランダ・ユトレヒトでのライブ)。74分57秒/65分35秒。ERATO。2回のコンサートの出来のいい方の音を採ってつないだそうです。テンポは心持ちゆっくりめ。コープマンの表現はコクがあり、例によって通奏低音のチェンバロが雄弁で楽しい。シクスティーンは、技巧は完璧だがそれをひけらかさず、ナチュラルかつさわやかな歌いぶり。コープマンのゆっくりめなテンポにも適確に反応してすばらしい。合唱に関しては、今日なお、もっともすぐれた『メサイア』(少なくともそのひとつ)だと言っていいです。
しかしソロがやや落ちます。ソプラノのクベクジルバーが魅力に欠ける。ずっと不調だったのか、もともとこういう声の人なのか、声が美しくない。いまから30年近く前の録音であることを考慮しても点は辛くなる。他の三人はまあまあといったところ。エリオットは美声はいいんだけどやはりところどころ音程が微妙。まあホグウッド盤よりも意欲的な歌いぶりな点は買える。ラインハートによる〈Why do the nations〉と〈The trumpet shall sound〉は特に破綻もないかわりにやや小粒。
ザ・シクスティーンの録音としては早い時期のもの。メンバー表によると5・4・4・4。Sally Dunkley、Haward Milner、Mark Padmore、Simon Birchall、Francis Steele、Jeremy Whiteなどがいます。オーケストラは弦がVn6のほか、Va、Vc、Cb各1。あとOb2、Fg1、Tp2。リーダーはMonica Huggett。VaはTrevor Jones、VcはJaap ter Linden。さらにティンパニ、オルガン各1、そしてコープマンがチェンバロを弾きながら指揮をする。
版は面白いのを使っています。〈Thus saith the Lord〉と〈But who may abide〉はどちらもバス。第2部の〈How beautiful are the feet〉と〈The sound is gone out〉はソプラノのダカーポ・アリアとして、ひとつの曲になってます。中間部となる〈The sound is gone out〉は当然ながら合唱バージョンとはまったく違うメロディ。〈How beautiful〉から引き続くシチリアーノの上昇音型が美しい。この稿を、来日して『メサイア』を演奏したときにもコープマンは使っていた。バスの〈Why do the nations〉は、長いほうの版。第3部のAとTのデュエット〈O death, where is thy sting〉はめづらしく長いほう。〈If God is for us〉はソプラノ。
久しぶりに聴いたらまあまあでしたよ。なにしろシクスティーンはすばらしい出来。評価の分かれ目はクベクジルバーの地味ぃなソロに我慢できるかどうか、です。