クリスティー/高橋豊訳『殺人は容易だ』(ハヤカワ文庫)読了。再読のはずですが、読んだ記憶はまったくなかった。面白さはまあまあ。二大戦間の作。1939年。これはこの前読んだ『世界の歴史26』が扱っていた最後の年に当たる。有名な探偵役は登場しない。ただし終わりのほうでバトル警視がちらっと出てきます。アジアの植民地で警官をしていたけど退職して、本国に帰国したばかりの「有閑紳士」が主人公。植民地で警官すると、壮年でももう、年金がついて悠々自適に暮らせるみたいなことが書いてあります。へー。この時期、ドイツはもう、二進も三進もいかなくなって、ナチス独裁がすでに完成しちゃってたんですよ。しかしこの『殺人は容易だ』におけるイングランドの田舎町には、戦争の影はぜんぜんない。
お話は、言ってみりゃ、ポワロのいないヘイスティングズ、みたいな主人公が、ある田舎町の住人たちの相次ぐ不審死事件に首を突っ込んでいくようなもの。だからもちろん途中で派手な見当違いが出てきますが、読者としては想定内で、べつに驚かない。そしてヒロインの心変わりがちょっと解せない。「やっぱりわたし、元の鞘に戻りますわ」ってなったほうがよかったと思う。
お話は、言ってみりゃ、ポワロのいないヘイスティングズ、みたいな主人公が、ある田舎町の住人たちの相次ぐ不審死事件に首を突っ込んでいくようなもの。だからもちろん途中で派手な見当違いが出てきますが、読者としては想定内で、べつに驚かない。そしてヒロインの心変わりがちょっと解せない。「やっぱりわたし、元の鞘に戻りますわ」ってなったほうがよかったと思う。