歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

プリンタ

2008年02月29日 | MacとPC
■今のところプリンタは、CC600PXという、もう何年か前に販売終了になったエプソンのインクジェット複合機を使ってます。その前はキヤノンの小型レーザープリンタでした。レーザーは早いし仕上がりがクッキリしていてそれなりに満足していたんですが、紙が絡まって壊れてしまったのを機に買い替えました。

■CC600PXにして、カラーはやっぱりいいなあと思いました。しかしね、とくにエプソンのインクジェットは、写真の印刷は評判いいですが、テキストの印刷はやっぱり弱いですな。ヒラギノ明朝W3の10pとか11pとかを使って作った書類をプリントアウトして、それをさらにドラム式の印刷機にかけて印刷してみると、たとえば鬱とか寵とか、こういう黒っぽい字はそうとうつぶれてしまってますもん。もちろんまだその字と判読はできるレベルではありますが、悲しい。

■いまはまだCC600PXがこわれる気配はないので買い替えられないですが、つぎはエプソンはやめておこうと思います。以前店頭でhpのインクジェット機のデモをしていたんでその場でプリントアウトして見せてもらったらむちゃくちゃきれいでびっくりした。インクジェットの複合機ならhpでしょうか。あるいはレーザーの複合機で個人使用向けというのもあるようなのでそういうのもいいかなと思っています。ブラザーのが安くで出てますね。インクジェットにしろレーザーにしろ、キヤノンはMacに冷たいので、もう買いません。

ガーディナー『パーセル/メアリー女王のための音楽』

2008年02月27日 | CD パーセル
Purcell
Ode for the Birthday of Queen Mary "Come ye sons of art" (1694)
Music for the funeral of Queen Mary (1695)
Lott, Brett, Williams, Allen
Monteverdi Choir
Monteverdi Orchestra
Equale Brass Ensemble
John Eliot Gardiner
4509-96553-2

1976年録音。44分43秒。ERATO。前半の『来たれ、汝ら芸術の子ら』をFMで聴いたのがガーディナーとの出会いでした。後半の葬送音楽ともども、70年代の古楽演奏を代表する録音のひとつだと思いますよ。あの名盤、マンロウの『ス・ラ・ファセ・パル』のレベルね。それくらいいいです。楽器はモダンですけど、このみずみずしいパーセルの前ぢゃそんなことどうだっていいでしょ。

"Come ye sons of art"は人気のある曲で、録音の数も多いですが、もしかしたら人気の出るきっかけになったのがこの録音かもしれません。いやあのマンロウも録音してるからそっちが先かな。いづれにしても魅力的な曲ですねえ。カウンターテナーの活躍する前半も、ソプラノとバスが出てくる後半も、どこをとってもいいです。曲も演奏も清新で、音楽の歓びにあふれている。

フェリシティ・ロットはいまやデイム、トーマス・アレンはサーですからね。このころまだ二人とも三十前後だと思いますが、さすがに格が高いです。そういやうちにはアレンが出ている『コジ・ファン・トゥッテ』のDVDがあるけど、ちょうどそのころの録音ぢゃないかな。

葬送音楽のほうの最初の合唱曲'Man that is born'っていうのは、昔、日本合唱コンクールの混声の課題曲になったことがあって、それで歌ったことのある人がいると思います。わたしもそうだった。ステージの上でちゃんと歌ったパーセルは、わたし、いまだにその1曲だけですわ。トホホ。

澤村藤十郎「平家物語の夕べ」

2008年02月26日 | 演ずる人びと
東京新聞のサイトTOKYO Webによると、十年前に脳梗塞で倒れ、その後復帰をめざしていた澤村藤十郎さんが『平家物語』の語りで表舞台に復帰とのこと。

藤十郎さんていうと、世間では、古畑任三郎に骨董屋のご主人かなにかの犯人役で出たので有名でしょう。わたしは病気なさるより前に、教育テレビの歌舞伎入門にお出になったのを見て、素顔のきれいな女形さんだなあと思ってました。そのころは今とは違って、地方にいるとなかなか歌舞伎の役者さんの情報なんて入らないので、どういう人かもよく知らなかったですけどね。記事によるとこの「平家物語の夕べ」は「百人以上の芸能の実力者たちが“現代の語り部”となって各章を語り継いできた舞台」だそうですが、そんな「夕べ」のことは知りませんでした。「百人以上の」とあるけれど、テクストは新潮古典集成の百二十句本なのかしらん。

地名

2008年02月24日 | 気になることば
■横浜駅に程近い横浜市西区には、「北軽井沢」「南軽井沢」という地名があるそうである。

■川口市には、「源左衛門新田」「久左衛門新田」「長蔵新田」「藤兵衛新田」、それから「行衛」と書いて「ぎょえ」と読む地名があるそうである。

it's

2008年02月24日 | メモいろいろ
■SANYOのit'sシリーズってまだ続いてたのね。ちょっと驚く。わたしはit'sの炊飯ジャーと掃除機を長く使っていました。というか洗濯機はいまだにit'sのを使いつづけてます。ジャーも掃除機も洗濯機もみんなダークブルーの統一色でした。もう二十年も前ですが、学生時代に使ってたワープロがSANYOので(それはit'sシリーズってわけぢゃなく、たしかサンワードとかいう商品名でした)、それ以来、なんとなくSANYO製品を買うことが多くなってたです。it'sシリーズは機能もシンプルで、ダークブルーの色も気に入ってました。今売られているit'sのシリーズは、もう色は変わっちゃったけど、若い単身者が最初に買う家電、ていう位置づけは相変らずのようです。

ガーディナー『パーセル名曲選』

2008年02月23日 | CD パーセル
England, my England - The Story of Henry Purcell
Smith, Dawson, Argenta, Graham, Chance, Bowman, Agnew, Varcoe, Harvey, Thomas
Monteverdi Choir
English Baroque Soloists
John Eliot Gardiner
0630-10700-2

1995年録音。75分49秒。ERATO。《England, my England》というタイトルの映画のサウンド・トラック。その映画のほうはわたしは見てないんですが、ガーディナーのパーセルなら安心だし、曲目を見たらパーセルのアンソロジーとしてなかなかよく選んであると思ったので買いました。いやもう十年も前の話ですけどね。わたしが買った後で国内盤でも出たはずですよ。

「トランペットと弦楽のためのソナタ」からはじまって、『来たれ、汝ら芸術の子ら』のはじめのほうのカウンターテナーのソロとデュエット、「罪におののく夜に」「フェアレスト・アイル」「ディドーの嘆き」「メアリー女王の葬送音楽」、それからもちろん『アブデラザール』の「ロンドー」もあるし、『アーサー王』からはさらに「カム・イフ・ユー・デア」と、凍える神のシーンがそっくり取ってあります。劇音楽からアンセム、器楽曲まで目配りよく聴かせてくれます。演奏も闊達なので、CD1枚でパーセルの音楽を見渡すなら、これ。

1995年というと、ガーディナーが古楽の世界からはなれて近代ものを積極的に録音していた時期ですが、ここでのガーディナーはいいです。ガーディナーとパーセルはほんとに相性がいいですね。ガーディナーって人はこってりたっぷり歌わせる、ってことができない指揮者なんですが、パーセルの場合、あまりに朗々と歌い上げられるとかえって薄味の上品な妙味が飛んでしまうので、ガーディナーくらいの行き方でちょうどいいんです。

「基地外米兵」

2008年02月22日 | 気になることば
■例の、沖縄の、基地の外に住んでいる海兵隊員が引き起こした暴行事件のせいで、いま「基地外」で検索するとたいへんなことになってます。たとえばasahi.comの2月22日付けの記事で、「在日米軍、基地外の居住者数を通知 再発防止策案が判明」とかいう見出しがつけられていたりします。ほかにもさがすと、「基地外住宅」とか「基地外米兵」とかね。もちろんまじめな報道系のサイトでですよ。しかし、こういう表現を使うとき、ライターは当然、「基地外」の同音異義語を意識しているはずですよねえ。

中山元『高校生のための評論文キーワード100』

2008年02月21日 | 本とか雑誌とか
■中山元『高校生のための評論文キーワード100』(ちくま新書)いま読んでます。アイウエオ順に、「アイデンティティ」「アイロニー」からはじまって「レトリック」まで、評論文に出てくるタームを100選んで、それぞれ、各ページ上下2段組の見開き2ページで説明しています。あーいいですねーこの本は。「高校生のための」と付けたのは高校生に買ってもらおうってことでしょうが、今どきのふつうの高校生にはレベルが高すぎるような気もします。むしろわたしみたいに、本を読むのは好きだけどむつかしい言葉が出てくるとすぐに困りはててしまうオトナ向けに、いい本だと思います。文章にクセがなくてそして分かった気にさせてくれる。ほんとはそんなにすらすら分かっちゃいないんですけどね。一度読んだだけぢゃ身につかなくても、繰り返し読んで勉強したいですよ。

ピノック『パーセル/ダイオクリージャン』

2008年02月20日 | CD パーセル
Purcell
«Dioclesian» «Timon of Athens»
Argenta, Monoyios, Agnew, Edgar-Wilson, Gadd, Birchall, Wallington, Bannatyne-Scott, Foster
Choir of the English Concert
The English Concert
Trevor Pinnock
474 675-2/474 676-2

1994年録音。58分26秒/65分43秒。ARCHIV。ピノックの『ダイオクリージャン』。知名度では『アーサー王』や『妖精の女王』に及ばないけれど、ほんとうにいい作品ですよ。器楽曲も、声楽のソロや重唱も、合唱が入る曲も、みんないいです。ダレるところがぜんぜんない。全体に丈の高い感じのする『アーサー王』とくらべると、この『ダイオクリージャン』は、これはローマの皇帝の話なんですけどそれとは関係なく、愛嬌のあるほのぼのしたナンバーが続くんですよねえ。

この録音では『アセンズのタイモン』と組み合わせてありますが、これはガーディナーと同じ。基本線はガーディナーのとそんなに違わない。ただ聴き映えのする歌い手をそろえているのはピノックのほうでしょう。ピノックの指揮は少しのっぺりするところもありますがそんなには気になりません。いやまあ、のっぺりというかね、丁寧に指揮するのはいいんですけど、ほら、ガーディナーってとにかく彫りの深い音楽づくりをする人でしょ、それとくらべるとピノックはどこもかしこもおんなじようによく歌うんですわ。

ソリストはソプラノが2人、テナー2人、バスが5人。わたしはテナーはもっと軽い声が好みですが。ソプラノではアージェンタも愛嬌があっていいですが、わたしはアン・モノイオスが好き。ガーディナーの『バッハ/マタイ』で初めて聴いたんですけど、清楚でありながらほんのりと色っぽくてすてきです。バスのソリストではサイモン・バーチャル以外は初めて聴く人ばかりで新鮮。5人とも合格点。なにしろガーディナーのパーセルぢゃ、バスのソロはほとんどトーマス、ジョージ、バーコーの3人を取っ替え引っ替えで使い回していたからなー。ちょっと聞き飽きてたのよ。

カウンターテナーを使ってもいいような高い音の曲もテナーに歌わせています。アグニューももうひとりのエドガーウィルソンという人も、ちょっと苦しそうです。別に破綻しているわけぢゃないけど、一所懸命歌ってます、って感じが伝わってくるのね。それが、パーセルの音楽の軽やかさとはなじまないところがある。

ガーディナーの指揮のほうがより繊細でパーセルの音楽の核心により近い、というわたしの感想は変わりませんが、ピノックの指揮もけっして悪くはない。少なくともパーセルをぶち壊してはいない。ただ、このパーセルはヘンデルのように恰幅がいいんです。ちょっと歌いすぎてるとわたしは思います。

ガーディナー『パーセル/ダイオクリージャン』

2008年02月19日 | CD パーセル
Purcell
«Timon of Athens» «Dioclesian»
Dawson, Fisher, Covey-Crump, Elliott, George, Varcoe
Monteverdi Choir
English Baroque Soloists
John Eliot Gardiner
4509-96556-2

1987年録音。52分30秒/59分48秒。ERATO。ガーディナーのパーセル録音としては遅いほうのもの。このあと90年に『ディドー』を録音して、さらにパーセル映画のサントラがありますが、それで終わりです。

The Trinity Choirのコンサート映像で『ダイオクリージャン』をやっているのを観て、すばらしい曲なのでびっくりしてそれでこのガーディナーのを引っ張り出して聴いてみたんですが、このガーディナーのも悪くないですよ。トリニティ・クワイヤのほうが歌い手にもオケにもめいっぱい歌わせているので聴きばえするけど。ガーディナーのパーセル録音に共通して言えることですが、ガーディナーはあえて軽めの声のソリストたちをそろえて、パーセルの音楽の若々しい感じを強調しているように思います。この狙いはいい。17世紀の終わりごろというパーセルの立ち位置を巧く表現できていると思う。ただそのせいで、聴き手によっては、少し華やかさに欠けると感じるかもしれない。

上記のソリストの中で、アカペラのアンサンブルに加わった気配がないのはバーコーだけで、ほかの人はヒリヤード・アンサンブルなど声楽アンサンブルの経験者。リン・ドーソンは今や大ソプラノですがこのころはまだそんなでもありませんでした。ヒリヤード・アンサンブルにも呼ばれることがあって、このCDでも共演しているフィッシャー、カビィクランプ、エリオット、ジョージと、シュッツの『マタイ受難曲』を歌ったりしてました。

エリオットはわたしが最初に惚れ込んだ古楽系テナーで、ガーディナーのパーセルでは常連。美声なんですが、テクニックの点でちょっと不安があるんだよなー。音程悪い時があったり。

エラートから出たガーディナー・パーセル・コレクションに入っている2枚組。