歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

ホグウッド『バッハ_ブランデンブルク協奏曲他』

2015年01月24日 | CD バッハ
Bach
Brandenburg Concertos
Concertos BWV 1060, 1062, 1064
Academy of Ancient Music
Christopher Hogwood
455 700-2

1984,87,90年録音。68分49秒/60分27秒。DECCA/L'Oiseau-Lyre。84年録音の『ブランデンブルク』は、通常版ではなく第一稿によったということで当時話題になったもの。第一番が3楽章だったり、第五番の1楽章のチェンバロ独奏箇所が短かったり。しかしそういうマニアックな興味は差し置いて、今聴いても、音楽として充実していて、実に聴きごたえのある演奏。ホグウッド追悼の思いで買いました。ホグウッドのバッハは良いものが多いですよ。

一番といい五番といい、通常版は、バロックの協奏曲としていびつなところがありますね。この第一稿は、そのいびつな個性的な曲に変貌する前の、言わばういういしい曲たちの姿が楽しめる。まあそのいびつなところが『ブランデンブルク』の『ブランデンブルク』たる所以でもあるので、ある面では物足りなく思わないでもないけど…。

『ブランデンブルク』全曲ともホグウッドが弾き振りしているのは言うまでもないんですが、古楽アカデミーのメンバーは6曲をとおして流動的。vnはマッキントッシュ、ハイロンズなどですが第四番のみヤープ・シュレーダーが参加。またミシェル・ピゲがob、bflで参加、さらにセオン盤(レオンハルト指揮)でも吹いていたク・エビンゲがobで参加。第二番のtpはフリーデマン・インマー、第五番のflはスティーブン・プレストン。それぞれ興の乗った演奏で、オワゾリールらしい清新な音づくりも相俟って、とても三十年も前の演奏という気がしない。

『ブランデンブルク』だけだと85分しかかからないそうで、その後録音されたバッハの協奏曲を埋め草に入れてあります。『バイオリンとオーボエのための協奏曲BWV1051』『2つのチェンバロのための協奏曲BWV1060』『3つのバイオリンのための協奏曲BWV1064』。1060はルセが客演。このころまだルセは売り出し中の新進だったと思いますが、どういう経緯でホグウッドとの共演にいたったのか、いまとなっては分からないけど、あれこれ考えちゃう。1064はハイロンズ、ハジェット、マッキントッシュの3挺のバイオリンがのびのび歌う華やいだ演奏。

グールド『バッハ_イタリア協奏曲 他』

2014年05月06日 | CD バッハ
Bach
Italian Concerto
Partitas Nos.1 & 2
French Suites Nos.2 & 6
English Suite No.2
Glenn Gould
SICC 1021

1959,71,72年録音。76分05秒。SONY CLASSICAL。この演奏の善し悪しについてわたしが偉そうに言えることはなにもありません。ただ、いい演奏だと思います。買ってよかった、とだけ申し上げておきます。

わたし、ガチガチの時代楽器派ではないんです。カール・リヒターには関心ないけど、たとえばセルシェルがギターで弾いたバッハは大好きです。このグールドも、古い録音ではありますが、聴き終わった後に、ちゃんとバッハを聴いたって充足感を味わわせてくれる。それでいいんぢゃないでしょうか。グールドのバッハについてはいろんな方が熱く語っていらっしゃるので、興味をお持ちの向きは適宜検索してくだされ。

とにかくピアノで弾いた『イタリア協奏曲』をひとつ持っていたかったのですよ。高校のころNBCラジオで聴いていた『曾野綾子の今日を生きる』という番組のオープニングに、この曲の第一楽章が流れていたのよ。だれの演奏かは分かりません。もしかしたらこのグールドのだったかもしれないし、もっと古いケンプ?とかだったかも。

『フランス組曲』はホグウッドの全曲盤を持っていますが、『パルティータ』と『イギリス組曲』ははじめて聴きました。わたしの思い出はさておいても、録音の古さにさえ目をつぶれば、ピアノで弾いたバッハ入門編としてこれは恰好のCDだろうと思います。

『イタリア協奏曲』の始めのほうで「うー」って低いノイズみたいのが聞こえる気がするんですが、これって、有名なグールドのうなり声なんでしょうか?

ガーディナー『バッハ_マタイ受難曲』

2014年03月03日 | CD バッハ
Bach
Matthäus-Passion
Rolfe Johnson, Schmidt, Bonney, Monoyios, von Otter, Chance, Crook, Bär, Hauptmann
The Monteverdi Choir
The London Oratory Junior Choir
The English Baroque Soloists
John Eliot Gardiner
POCA-2131/3

1988年録音。65分48秒/49分51秒/41分09秒。ARCHIV。このガーディナーの『マタイ』については、悪口を言う人の方が多いです。スタイリッシュにすぎて、感動が薄いと言われます。そう言いたくなる気持ちも分かる。でもわたしはこの演奏嫌いぢゃないんですよ。余計なものを排除し、バッハの音楽を、しっかりした演奏で聴き手の前にそのまま差し出して、あとは聴き手にゆだねるこのガーディナーの行き方は、あり、だと思う。とにかく手堅い、スキのない演奏だということはだれしも認めるでしょう。

福音史家はロルフジョンソンで、もちろんイギリス人ですが、わたしにはこの人のドイツ語のディクションの善し悪しは分かりません。聞いていて違和感はありません。柔らかめの発声で、奥行き感のある懐のふかい歌いぶり。わたしの好みとしてはも少し澄んだ響きが好きなのですけどね。何度か書いてきたようにこの人は本来古楽畑の人ではなく、ガーディナーとの仕事が多かったせいで結果的にいろいろな古楽の録音に携わることになった人ですが、この『マタイ』は、ロルフジョンソンの古楽における代表作、ということになるんぢゃないかと思います。(このテナーの、ボーンウィリアムズの歌曲集の録音は絶品です。)

ほかにソリストはシュミット、ベア、オッター、ボニー、チャンスと当時のスター歌手を集めていて、そりゃ豪華。さらにわたしはボニーの蔭に隠れたもうひとりのソプラノのアン・モノイオスが好きですねえ。線は細いけれど透明感のある声で、個性ある歌い手でした。アメリカの人で、リフキンの指揮でバッハを入れているほか、ヨーロッパではピノックの『パーセル_ダイオクリージャン』でも澄んだ声を聴かせています。

独唱者たち、合唱、オーケストラと、どれをとっても手抜かりのない密度の高い音楽を聴かせる。それで充分なんぢゃないでしょうか。

ホグウッド『バッハ_フランス組曲』

2012年03月07日 | CD バッハ
J.S.Bach
French Suites BWV812-817, 818a, 819
Christopher Hogwood
POCL-4176/7

1983年録音。67分06秒/66分42秒。L'Oiseau-Lyre。6曲の『フランス組曲』に加えてBWV818a、819も収録。

ホグウッドがチェンバロを独奏しているCDはごく少なかった。ブランデンブルク協奏曲を弾き振りしたり、アンサンブルで通奏低音のチェンバロを弾いているのはあるが、独奏盤ですぐ思いつくのは、ほかにはバードがあるくらい。この2枚組のバッハは、チェンバリストとしてのホグウッドの代表盤だそうです。

わたしはバッハをそんなに知らないし、まして『フランス組曲』を聴いたのもこのCDが初めてで、ホグウッドのチェンバロ演奏の特質についてもえらそうなことは言えないんですが、とにかくゆったりと聴いていられる音楽であり演奏だと思う。ホグウッドは指揮者としては妙に四角四面な棒の振りかたでニュアンスに乏しい人ですが、チェンバリストとしてはいいですね。歌うべきところでよく歌えてます。

有田正広ほか『バッハ_音楽の捧げもの』

2012年01月26日 | CD バッハ
J. S. Bach
Musikalisches Opfer, BWV 1079
Masahiro Arita, Ryo Terakado, Natsumi Wakamatsu, Tetsuya Nakano, Chiyoko Arita
COCO-70463

1993年録音。59分59秒。DENON/Aliare。『音楽の捧げもの』はパイヤールの旧録音が冴え冴えとしたいい演奏なんですが、久しぶりにそのパイヤールを聴いたらビブラートが耳障りに感じられちゃった。それでやっぱり時代楽器のを聴いてみたくなったわけ。ちょうどそのころ安くで出ていたこの演奏を聴いてみることにしました。

有田正広のフラウト・トラベルソ。寺神戸亮のバロック・バイオリン。若松夏美のバロック・バイオリン&バロック・ビオラ。中野哲也のビオラ・ダ・ガンバ。有田千代子のチェンバロ。この構成はいいですね。ビオラが加わると弦の音域が広がって演奏全体に深みが出てきます。6声のリチェルカーレを、チェンバロ独奏と合奏との両方で演奏し、トラック9-10に続けて収録しているのが特徴。

全体に、よい意味での若い感性をたたえた演奏で、初めて聴いてみたときにはなんかあっさりしすぎているようにも思いましたが、聴き直すごとに、これはいい演奏だなあって思えてきた。わび、さびの美、ってんですかねえ。けっして濃い味ではない。けれど、どこをとっても密度の高い音楽で、どの楽器もよく鳴っている。協調しながら、歌うべきところは歌い、聴くべきところは聴く。これこそアンサンブルの醍醐味。ただ西洋人みたいな油っこさではないのね。

録音も優秀。それぞれの時代楽器の音がなまなましく迫ってくる。プレイヤーたちの気合いの高さまで写し取られている。

それにしても『音楽の捧げもの』っていうのはすごい曲集ですね。時代をかるがると超越した、これぞ絶対音楽ってオーラがすごい。

レオンハルト『バッハ_復活祭/昇天祭オラトリオ』

2012年01月21日 | CD バッハ
Johann Sebastian Bach
Oster-Oratorium BWV 249
Himmelfahrt-Oratorium BWV 11
Frimmer, Popken, Prégardien, Wilson-Johnson
Choir & Orchestra of the Age of Enlightenment
Gustav Leonhardt
480 2132

1993年録音。73分25秒。DECCA(PHILIPS)。バッハの『復活祭/昇天祭オラトリオ』。レオンハルトがCOAEと組んでPHILIPSに録音したカンタータシリーズ全5枚のうち、DECCAから廉価盤で再発されたのはいまのところこの1枚のみ。ほかの4枚も聴いてみたし。

この2曲は、知名度は高くないと思うけれど、どちらもとてもいい曲。じつはどちらもOVPPのパロット盤でも持ってますが、もすこし人数の多い演奏が聴きたくなってこれを購入。合唱は1パート何人ぐらいで歌ってるんだろう。4人から5人くらいかしらん。華やかというより手堅い演奏。レオンハルトのやや古めかしいというか頑固一徹というか、ぶれのない渋好みの音楽作りと、COAEの人たちの若々しい才能が一体となって、よい成果を上げている。

今から20年くらい前なので、プレガルディエンが若くてよい。プレガルディエンはこの前ケルンで、ヘレベッヘの『マタイ』で福音史家を歌ってましたよ。この人はもう四半世紀ほど、バロック演奏の第一線で活躍し続けてるわけですね。バスのウィルソン-ジョンソンの声はピノックの『ヘンデル_ベルシャザル』以来、久しぶりに聴いた。悪くない。カウンターテナーのポプケンは、いつもこういう歌い方なのかも知れないけど、もすこし余裕がほしい。

『昇天祭オラトリオ』は『ロ短調ミサ』にアルトのアリアを拠出させられたせいでかえってマイナーになっちゃった気がする。冒頭の合唱曲を一度聴いたら忘れられなくなりますよ。おしまいのほうのソプラノのアリアもすてきで、このアリアは、パロット盤で歌っているカークビーの録音が彼女のベスト盤にも収録されているほど。ここで歌っているモニカ・フリンマーはボーイソプラノを思わせる細い声で、いまいち華がないけれど、レオンハルトの音楽にはしっとりと嵌っている。『復活祭オラトリオ』は、40分を越える堂々とした曲ですがそれぞれの楽章はむしろ繊細なおもむき。

ジョン・ルイス『バッハ_プレリュードとフーガ Vol.3』

2010年12月23日 | CD バッハ
J.S.Bach
PRELUDES AND FUGUES Vol.3
John Lewis
Howard Collins
Marc Johnson
PHCE-12003

1988年録音。60分44秒。PHILIPS。だいぶ前に買ってあったもの。なぜいきなりVol.3を買っちゃったのか、いまとなっては分からない。『平均律クラビーア曲集第1巻』のプレリュードとフーガのうち、3、10、11、13、15、19番を収録。プレイヤーはピアノ、ギター、ベースの3人のみで、ジョン・ルイスのピアノがずーっと鳴っている。ギターとベースはごく控えめに色を添えてるていど。実はわたし、原曲の『平均率クラビーア曲集』ってまだ聴いたことないんですよ。だからかな、このCDになんの抵抗もなくすーっと入っていけた。

わたしジャズについてはまったく初心者。なんにも知りません。ジョン・ルイスのこともベテランのジャズ・ピアニストってことしか知らない。でもジャズ聴いてみたいって気持ちはずっとあったんですよね。

でも、レオンハルトあたりでバッハの鍵盤曲をみっちり聴いてる人がこの録音を聴いたら、「スカスカで話にならん」て言いそう。ジャズを知らないわたしがこう言うのもナンですが、これはあくまでもジャズピアノの名盤、なのだろう。まあちょっと、ところどころ音楽が安っぽく聞こえちゃう瞬間もないではないしね。古楽マニアにはお勧めしません。わたしは古楽大好きですがバッハにはそんなに思い入れがなくて、しかも古楽以外も聞いたり歌ったりするので、それでこのジョン・ルイスを楽しむことができたのでしょう。

とにかくわたしはこの演奏気に入った。なんだろうねこの浮遊感は。はじめて味わうよ。とてもおしゃれで都会的で、でも洗練されてるばかりではなくて、心の奥の海をのぞくような深さもときどき感じた。

トラック7(Prelude No.13)とか、泣ける。バッハゆえか? それともジョン・ルイスのピアノが泣かせるのか?

ガーディナー『バッハ_クリスマス・オラトリオ』

2010年12月17日 | CD バッハ
Bach
Weihnachts-Oratorium
Argenta, Holton, von Otter, Blochwitz, Rolfe-Johnson, Bär
The Monteverdi Choir
The English Baroque Soloists
John Eliot Gardiner
POCA-9038/9

1987年録音。72分43秒/66分48秒。Archiv。流線型の、ガーディナー流バッハ。勢いのある演奏で、なおかつとてもカッチリしたフォルム。ほかの演奏を聴いたことがないから、較べてどうこうは言えません。わたしはけっこう気に入ってるんですがねえ。この曲は、6つのカンタータの連作と見なせるわけですが、その6つのカンタータぞれぞれをしっかりしたテクニックをもって勢いよくやっちゃえばなんとかモノになる、って面があるからね。そしてガーディナー自身、この曲は自分に向いてる、って思いがあったのではないか。というのも、彼は後にソリストを一新してビデオ収録していて、それはDVDで出ています。ガーディナーのバッハでDVDが出ているのはたしかその『クリ・オラ』だけなんですよ。

合唱は9・5・7・5。モンテベルディ合唱団に関してはいつものようにお見事、というばかりで、ほかにもう言うことはありません。ただこの演奏では合唱団よりもイングリッシュ・バロック・ソロイスツのプレイヤーたちの妙技につい関心が向きがちになるね。

福音史家はロルフジョンソン。ガーディナーがこのころ全幅の信頼を置いていた人ですが、ただ福音史家はドイツ語ネイティブの人がいいんぢゃないかって思いはあります。まあ天下のアルヒーフのことだから、ドイツ語のディクションについてはコーチがついてたはずですけどね。その他のソリストは当時の若手実力派をそろえている。やはりフォンオッターが一番ですかね。この人の引きしまった歌のフォルムはまさにガーディナーにふさわしい。ナンシー・アージェンタの、可愛らしいソプラノもなかなかよい。この人は『ソロモン』もよかったけどこの『クリ・オラ』がピークだったかも。テナーのアリアはブロボビッツ。バスはベーア。ふたりとも若々しく凛々しい。しかしブロボビッツもベーアもその後いまいちパッとしませんでしたねえ。

ガーディナーのバッハは悪く言う人も多い。特にアルヒーフ時代の『マタイ』は褒める人すくなかった。そして今ガーディナーが自主レーベルで録音し続けているカンタータのシリーズについてはほとんど評判を聞かない。別に無視しているわけではなくて、買う人があんまりいないんでしょうな日本ぢゃ。アーノンクール&レオンハルトのやコープマンの全集が先に完結して、折々安くなって再発されるし。バッハ・コレギウム・ジャパンのもあるし。でもYouTubeで見た2009年の『バッハ_ヨハネ受難曲』ライブでは、ガーディナーよかったですよ。相変らずのすっきりした造形ながら、長い経験からくる情感の表出が感じられて、この人なりの円熟を読みとれた。これから再録音したら、四大宗教曲もきっといいものができますよ。

ガーディナー『バッハ_管弦楽組曲』

2010年12月06日 | CD バッハ
Bach
Overtures
English Baroque Soloists
John Eliot Gardiner
WPCS-10803/4

1983年録音。50分13秒/46分13秒。ERATO。ガーディナーはつい最近になって手兵たちとようやく『ブランデンブルク』を録音しましたけど、それまではバッハの器楽合奏曲はほとんど録音してなかった。出てたのはこの『管弦楽組曲』だけぢゃないですか? 

83年ていうと、ガーディナーがカークビーとカンタータ51番を録れた年で、『メサイア』を録れた翌年に当たります。エラートへはパーセルの劇音楽を継続的に録音中でした。アルヒーフへのバッハの声楽曲の録音が始まるのはこの二年ほど後。リズムの切れの良さや響きの軽さが、あの『メサイア』を思い出させる。運動神経のよいバッハ。

身軽に、さらりさらりと聴かせてくれる。その後出て評判になったムジカ・アンティカ・ケルンの、ずばずば斬りまくるような演奏とはまるで方向が違う。さいきんは時代楽器を使っていても、もう少しメリハリを利かせたり、あえて遅めにテンポをとってそれなりに味のついた(中濃?)演奏が多いです。そういう意味ではちょっと古さも感じます。

トランペットの入る曲は颯爽としてかっこいい。だから聴きばえのすルのは3番4番の入ったCD2のほうですかね。2番のトラベルソはベズノシウクだそうです。がんばってはいるけどコクがない。速いところはせわしなさが先に来る。ていうか、もともとわたしはリコーダーは好きだけどトラベルソはあんまり…。

他の演奏にも食指が動かないわけではないけれど、もともとバッハにそうそう入れ込んでいないわたしとしては、この曲はとりあえずこのガーディナー盤で聴いてても悪くはないかな、というくらいの満足度。歯切れが悪くてすいません。

セルシェル『バッハ_ギター作品集』

2010年09月01日 | CD バッハ
Bach
Works for Guitar
Göran Söllscher
POCG-6078/80

1983(CD1),81,84(CD2),91(CD3)年録音。44分15秒/57分52秒/59分37秒。DG。ギターでバッハを聴こうと思ったら、迷わずこのセットを買うべし。というか、バッハの器楽曲の録音ではこれがいちばん好きだなあ。おすすめですよ。セルシェルの代表作としてこれからも聴かれ続けるんぢゃないかしら。CD1とCD2にはバッハのリュートのための作品を、CD3にはチェロやバイオリンのための曲をギター用に編曲して収めています。セルシェルのバッハはねえ、借りもんぢゃない。ギターのためのほんとの音楽、なんだよなあ。ここでセルシェルが弾いているのは11弦アルト・ギター、だそうです。

わたしはごりごりのピリオド楽器派ではないので、バッハをピアノで、もあまり抵抗ないんですが、バッハのリュートのための音楽をギターで聴くのは、むしろ好きなんですよ。どうもね、リュートのソロ演奏は音があまりにシャカシャカ聞こえてしまって、さほど心ひかれないの。その点ギターは、巧い人のを聴くかぎりにおいては、まづもって音が安定してるからね。音楽に集中できます。

それにしても鍵盤楽器よりも同時に出せる音の数がさらに限定される撥弦楽器で、これだけ豊かな音楽が構築できる、ってことは驚きですね。なんかね、心の奥にしこっていたものがギターの優しい音を聴いてるうちにゆっくり溶けていくような気がしますわ。