歌わない時間

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リフキン『バッハ/カンタータ集』

2009年03月02日 | CD バッハ
J. S. Bach
Cantatas BWV 147, 80, 8, 140, 51, 78
The Bach Ensemble
Joshua Rifkin
455 706-2

1985,86,88年録音。71分10秒/64分57秒。DECCA/L'Oiseau-Lyre。CD1がBWV147、80、8。CD2がBWV140、51、78。もともとはCD3枚の分売だったはず。それをCD2枚に詰め込んであります。合唱も1パート1人で歌うOVPPスタイルの先駆け。今どきこのリフキンを褒めて言う人は少ないと思うんで、あえて言いますが、わたしはこの演奏気に入ってます。

これ、事前にFMで聴いて「悪くないぢゃん」て思ったんですな。だから、OVPPってことは知ってました。とても軽い、風通しのよい演奏。重厚なバッハがお好きな方にはとても薦められませんけどね。

CD1の最初のBWV147とBWV80はとくに調子よく仕上がってると思います。初出ではこの2曲が最初にリリースされたんですけどね。わたしがFMで聴いたのも147だったか80だったか、そのどちらかでした。声楽も器楽も適度に気が張って、訴える力も強い。ただし押付けがましさは皆無です。〈主よ、人の望みの喜びよ〉も超快速ですが、慣れると、これでちょうどいいと思えてくる。BWV8はこの演奏でしか知りませんが、最初のフルートが面白いですね。

CD2のBWV51はソプラノ独唱のためのカンタータですが、ここで歌っているのはジュリアン・ベアードという人。わたしはこの曲はカークビーの印象が強いんです。だからベアードをはじめて聴いたときはカークビーと較べてしまって「ダメだこりゃ」と思ったんですが、今日久しぶりに聴いたら、悪くないと思いました。カークビーのように天衣無縫とはいかないけれど、心のこもった感じのするBWV51です。ベアードはアメリカ国内で古楽系のソプラノとして長く活躍している人です。

バスは6曲ともヤン・オパラッハという人ですが、ソプラノ、アルト(カウンターテナー)、テナーはそれぞれ複数の人を使っています。ソプラノのジェーン・ブライデン、カウンターテナーのドルー・ミンターが好唱。オパラッハも安定しています。ベアードを含めみんな軽い声で、大歌手のオーラは感じませんが(現にその後とくに大物になった人はいない)、しかしリフキンの意図をよく汲んで歌ってます。

このバッハのシリーズがオワゾリールで始まる前に、リフキンはいきなり《ロ短調ミサ》をOVPPでリリースして世間を驚かせました。わたしはその《ロ短調》は聴かずじまいなんですけどね。あの《ロ短調ミサ》がでた当座、世間はこれをどう評価すればいいのか分からなくて困っていたような気がします。でも、あれがあったお蔭でリフキンはオワゾリールに呼ばれたわけです。

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