歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

ア・セイ・ボーチ『ジャヌカン_シャンソン集』

2009年12月30日 | CD 中世・ルネサンス
Janequin
Le Verger de Musique
Ensemble instrumental Labyrinthes
A Sei Voci
Bernard Fabre-Garrus
E 8571

1995年録音。48分28秒。ASTRÉE。このCDが出たときは、ああやっと、まともなジャヌカンを聴かせてくれる新しいグループが出てきたと思いましたわ。そのころすでにアンサンブル・クレマン・ジャヌカンの演奏が国内盤でも出ていて広く流布していたわけですが、あれはどうも品がなくて好きになれなかった。このア・セイ・ボーチの演奏、いま聴くともう少し元気がいいとよかったなあとも感じるけれど、しかしジャヌカンの演奏スタイルとしてはやはり正しいところを突いていると思いますね。ほんとに聴きたい人だけのために、静かに趣味よく歌われるジャヌカン。押しつけがましさのないのがよい。

"Il estoit une fillette" "Le chant des oyseaux" "Martin menoit son porceau" "L'amour, la mort, la vie"など有名な曲がいろいろ入っています。まあせっかくなんだからもうちょっと曲数多かったらもっとよかったけど。

歌い手はS、Ct、T、Bs、Bsの5人。ジャヌカンのシャンソンはほとんど4声ですから、たいてい誰かはお休み。けっして声を荒げることなく、最後に収められている"La guerre"も軽めに楽しく歌ってる感じ。ところどころ器楽アンサンブルで演奏されるジャヌカンもみやびですてき。

しかしその後ア・セイ・ボーチはジャヌカンをちっとも録音してくれなかった。わたしが嫌っていたECJのほうがいい感じに熟してきて、シャンソンのよいCDを出し続けてくれています。