歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

国語教科書ブーム

2009年12月07日 | 本とか雑誌とか
国語の教科書に載っていた教材を大人になってもういっぺん読もう、って本が、今いろいろ出てます。あんな小説が載ってた、こんな詩が載ってた、という話は、盛り上がるんだよなー。いまや、国語教科書の世界では王様の光村図書が、自分のところの国語教科書にこれまで載せてきた教材を集めた『光村ライブラリー』というシリーズを一般向けに出しているくらい。

時系列で並べると、この手の本で最初にある程度の注目を集めたのはネスコという出版社から出た『教科書でおぼえた名詩』(1997→2005扶桑社文庫)あたりですか。その後、齋藤孝『声に出して読みたい日本語』の最初のものが2001年に出ている。これはシリーズで出てるみたい。さらに齋藤さんは翌年以降、『理想の国語教科書』(2002)『理想の国語教科書 赤版』(2003)を出す。齋藤さんの場合は、過去実際に教科書に載ったものという括りからは無関係にモノを選んでると思いますが、まあ最初の本からして一連の国語教科書ブームの流れの中に組み込める動きでしょうね。そして『光村ライブラリー』が刊行開始されたのも2002年です。これは2006年まで、小学校編から中学校編までいろいろ出つづけたらしい。やはり2002年には青春出版社からも、『大人の教科書 国語の時間』というのが出ている。2002年は国語教科書ブームのピークだったのかも。

さらに2003年には小学館からサライ・ブックスとして長尾高明編著『厳選国語教科書─時代を超えて伝えたい』というのが出た。『サライ』は中高年以降をターゲットにした趣味の情報誌でしたよね。2004年には宝島社からも小川義男監修『二時間目 国語』(→2008宝島社文庫)が出た。そして2008年には、佐藤雅彦編『教科書に載った小説』というのがポプラ社から出た。この佐藤さんのはわたしも買った。松下竜一「絵本」とか、しぶい。わたしにとってははじめての小説ばかりだったけど、これは教科書という枠を外しても、なかなか読ませるアンソロジーだった。