歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

ガーディナーの『ヨハネ』(2008)

2009年07月07日 | 音楽について
2008年8月24日、ガーディナーがロイヤル・アルバート・ホールでのプロムス2008のコンサートで、バッハの『ヨハネ受難曲』を指揮。その映像をYouTubeで見ました。ぜんぶ見たわけぢゃないですが、1から17までビデオに番号が振ってあって、1が冒頭合唱、17が最終合唱だし、演奏時間考えても全曲分アップしてあるみたいです。このアップなさっている方、バロック演奏のいろんなビデオをアップしてなさるんですが、著作権とかどうなってるんでしょうか。

で、そのガーディナーの『ヨハネ』なのですが、いい演奏してました。今もイギリスの音楽界で重きをなしていることが確認できて安心。この人らしいかっちりした聴かせ方はむかしのままで、しかし昔のようにただそれだけというのではなく、年数を経た円熟というか、楷書の演奏から自然ににじみ出してくる香気が感じられた。特に声楽陣の気合いが十分なのが見ていてもよく伝わってきた。

合唱がえらい数が多かったです。ざっと数えるとだいたい40人くらいいた。あれは会場が大きかったからでしょうかね。しかし数が増えてもそこはモンテベルディ合唱団ですから、線のくっきりした歌いぶりはそのままでした。コンサートマスターはわたしが名前を知らない若い?女の人で、その奥で弾いていたのがエリザベス・ウィルコックだと思う。

福音史家はマーク・パドモアで、ガーディナーはこの人をかつてのロルフジョンソンのように重用していますね。それだけ実力のある人ではあります。イエスはピーター・ハーベィで、全部暗譜でした。ほかのソリストは合唱団から出るスタイルをとっていて、しかしアルトはロビン・ブレイズ。そのほかの人も実力派。

ガーディナーのバッハは昔は悪口言われることが多かった。ただ楽譜どおり演奏してるだけでなにを伝えたいのか分からない、とか、そういう言われかたをした。けど、今のガーディナーならだいじょぶそうですね。

パークニング『パークニング・プレイズ・バッハ』

2009年07月03日 | CD バロック
Parkening Plays Bach
and music of Handel, Scarlatti, Couperin and others
Christopher Parkening
CDC-7 47191 2

1985年ごろ録音。55分32秒。EMI/Angel。米国国内仕様のCD。クリストファー・パークニングはカリフォルニア生まれのギタリスト。二枚目。ただしもう60歳すぎてるはず。むかしバトルとの共演盤なんかも国内盤で出ていました。セルシェルやラッセルと聞き比べてみると地味というか器が小さいというか、特筆すべき個性に乏しいんですが、「手堅くまとめてきましたねー」って感じの、品のいい演奏をする人です。ギターによるバロック曲集としてはセルシェルやラッセルのものも出ていて、中身の濃いのはやっぱりセルシェルでしょうかねえ。パークニングのは悪くいえばBGMふうです。

バッハ「主よ、人の望みの喜びよ」、ヘンデル「サラバンド」、ワイス「パッサカリア」、クープラン「神秘的なバリケード」など、ギターで聴くバロック曲集としては曲目も一般的で万人向きです。「神秘的なバリケード」はむしろギターのほうが心地よく聞けるかも。ドキュメンタリー『アウシュビッツ』のテーマ曲になったヘンデルの「サラバンド」、わたしはあの番組ではじめて知って、家に音源ないかと思って探したらこのパークニングのがあった。原曲はチェンバロで、『アウシュビッツ』で使われていたのは弦楽用に編曲されたものですが、パークニングで聴くギター版もいいもんです。