歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

ホグウッド『ヘンデル_リナルド』

2014年02月13日 | CD ヘンデル
Handel
Rinaldo
Bartoli, Daniels, Fink, Finley, Orgonasova, Taylor
The Academy of Ancient Music
Christopher Hogwood
UCCD-1017/9

1999年録音。76分35秒/51分27秒/44分53秒。DECCA。いちおうEDITIONS DE L'OISEAU-LYREと明記してあります。Original 1711 version。国内盤で買いました。『リナルド』はヘンデルのオペラとしては筋の分かりやすいほうですが、やはり歌詞対訳があるのはいいですね。

ホグウッドの指揮は保守的なもので、ちょっとイライラせんこともない。むかしと較べると丁寧にはなったかな。それにしても、も少し前のめりな雰囲気があるほうがよい。たとえばフィナーレ、まちっと盛り上げて終われんもんかね。下に述べるキャストへの不満などもあり、決して満点は出せない。でも、ホグウッドのヘンデルの到達点として、それなりに評価しておきたい録音とは言えるでしょう。

デイビッド・ダニエルズのリナルド、ベルナルダ・フィンクのゴッフリート、ダニエル・テイラーのエウスタツィオ、チェチーリア・バルトリのアルミレーナに、リューバ・オルゴナソバのアルミーダ、ジェラルド・フィンリーのアルガンテ。当時としてはたしかに贅沢なキャスティングではあったと思いますが、「豪華キャストを揃えました!」感が鼻につく。

バルトリとダニエルズは役に合ってないと思いますよ。バルトリのアルミレーナはじゃじゃ馬すぎる。品がない。この人は敵役のアルミーダのほうが似合っています。ダニエルズもきんきんした声質で、勇士リナルドにふさわしいとは思えない。このリナルドは歩くとき内股なんぢゃないだろうか。

ベルナルダ・フィンクはいろんな指揮者に呼ばれていつも手堅い仕事をする人で、ここでもゴッフリートを安定感抜群にこなしているけれど、この人に男役を歌わせるのもどうかと思う。彼女の声は母役には似つかわしいが、父役には合わない。その他エウスタツィオのテイラーは好演。エウスタツィオは脇役ながら、いいアリアを歌いますね。オルゴナソバはまあまあですが、イタリア語が板についてない感がすこし。まだ若かったジェラルド・フィンリーがよい。

チョイ役で、カウンターテナーのメータ、テナーのパドモアが出ています。AAMのリーダーはキャサリン・マッキントッシュではなくアンドリュー・マンゼ。カバー写真はダニエルズとバルトリがコスプレしてツーショットですが、合成写真。

ロンドン・バロック『ヘンデル_トリオ・ソナタ集Op.2』

2014年01月16日 | CD ヘンデル
Handel
Sonates en trio op.2
London Baroque
HMA 1951379

1991年録音。57分50秒。HMF。ヘンデルの室内楽作品の面白さを味わわせてくれる演奏。イキがいいし、かと言って古雅な雰囲気もあって、じつに心地よい。気に入っています。奏者はIngrid Seifert、Richard Gwilt、Charles Medlam、Richard Egarr。

歌うべきところでよく歌う演奏。ヘンデルの室内楽の場合、これは不可欠の要素だと思いますよ。早さや元気の良さだけで売る演奏を、わたしは好みません。わたしとロンドン・バロックの相性の良さかもしれないけれど。

ヘンデルの室内楽曲についてはレコール・ドルフェのCD8枚組を持っていて、立派な演奏なのですが、Op.2はフラウト・トラベルソやリコーダーも使ってるのね。それで、バイオリン2本に通奏低音のものを聴きたいと思ってこちらを買いました。

ロンドン・バロックはOp.5もHMFに録れていますが、そちらは現在入手不可なのね。なぜなんでしょう。Op.2がこんなにいい演奏なのだから、Op.5も聴きたいというファンは少なからずいるだろうに。もしHMFがOp.2とOp.5を二枚組の廉価盤として出してくれたら、Op.2の重複をいとわずわたしは買いますよ。

レパード/コルゼンパ他『ヘンデル_管弦楽曲/協奏曲全集』

2013年11月19日 | CD ヘンデル
Handel
Complete Oechestral Works
English Chamber Orchestra
Raymond Leppard /
Daniel Chorzempa
Concerto Amsterdam
Jaap Schröder
454 363-2

1966,67,71,75年録音。70分45秒/74分15秒/78分55秒/77分08秒/76分02秒/75分51秒/67分40秒/73分31秒/79分08秒。PHILIPS。堂々CD9枚組のヘンデル。コルゼンパのオルガン、シュレーダーの指揮によるオルガン協奏曲集のみが時代楽器による演奏。これと、レパード指揮のモダン楽器によるヘンデルをあわせて一組にしています。モダンと古楽器いっしょくた、ってのには、もちろんわたしだって抵抗がありました。が、レパードのヘンデルにもともと関心がありましたし、コルゼンパのオルガン協奏曲がいいという話も聞いていたので、買いました。

CD1にレパードの『水上』『花火』を収録。ガーディナーら古楽復興派のテイストにきわめて近い。レパードがいたからこその、ヘンデル・リバイバルだったのではないでしょうか。音が丸くなってしまっているのが惜しい。それにしてもレパードの遺産がこのまま忘れられてしまうのはもったいない。

CD2の、やはりレパードによるOp.3もなかなかのもの。オーボエのほかフルート、リコーダーなども使って意欲的にすすめています。そしてリコーダーを吹いているのはあのマンロウなのですよ。第4番は4aのほか偽作の4bも収録。

Op.6はもっとも古い66年録音で、さすがにこれはちょっと聴くのがつらい。すでに時代楽器派の意欲的な演奏がいろいろ出ていますので、そういうのを聴きましょう。それから『二重協奏曲』全3曲もレパードによる演奏で、67年の録音。当時は、モダンオケによる演奏自体、まだめづらしかったのでは。こちらは思いのほかイケる。とくに快活な楽章ではヘンデルらしさがよく現されていて、いま聴いても違和感は少ない。

CD6からCD9のトラック1-7までがコルゼンパ/シュレーダーのオルガン協奏曲集。1975年録音。全16曲。Op.4とOp.7の全曲、および《カッコーとナイチンゲール》ほか。ヘンデルのオルガン協奏曲集のCDは、モノによって曲数が異なるので要注意。なお、オルガン協奏曲第16番は、同じCD9にレパード指揮で収められている『二重協奏曲』第3番の同工異曲。

ヘンデルのオルガン協奏曲のまとまった録音は意外に少なく、時代楽器のものとしては、ほかにタヘツイ/アーノンクール、プレストン/ピノック、くらいが知られる程度でした。(その後いくつか出たらしい。)このフィリップス盤は知名度は低いですが、わたしは好きになりました。愛らしく、可憐で、聴き飽きない。75年の録音にしては時代楽器のプレイヤーたちもがんばっている。なお、このコルゼンパ/シュレーダーの録音は、現在でもSACD4枚の分売で入手可能。この演奏のよさを分かっている業界人がいた、ってことですか。

ガーディナー『ヘンデル_舞曲集』

2013年11月13日 | CD ヘンデル
HANDEL
Ballet Music
English Baroque Soloists
John Eliot Gardiner
ECD 88084

1984年録音。47分10秒。Warner Classics & Jazz/Erato。写真と番号は初出時のものです。実際に入手したCDの番号は「2564 69620-8」。この演奏が聴きたくて、セットになっている6枚組を買いました。ガーディナーによる、『アルチーナ』『テルプシコーレ』『忠実な羊飼い』からのバレー音楽。器楽曲のみ。

これもまたガーディナーの隠れた名盤です。ガーディナーの指揮したヘンデルのオペラ録音はかならずしも評判よくないのですが、このバレー音楽はいい。曲もいいし、ガーディナーの表現がみづみづしく、音楽が躍動している。CDの前半を占める『アルチーナ』の音楽など、ガーディナーの指揮で全曲聴いてみたかったと思わせる。

その『アルチーナ』第3幕の〈Tambourine〉っていうのが今とくにお気に入り。タンブランてば、ビゼーの『アルルの女』組曲にも出てくるアレですよね。1分ちょっとの短い曲ですけど、タンバリンとリコーダーの掛け合いがわくわくするような楽しさ。ていうか、いま気づいたけど、Tambourineってタンバリンのことなのね。

この録音、現状では、『タメルラーノ』『陽気の人、沈思の人、中庸の人』とセットにした6枚組でしか入手できないのが問題。ワーナーにはこの録音単独で売りつづけてほしかった。

ガーディナーの、エラートへのヘンデルの非声楽録音は、この『バレー音楽』のほか『合奏協奏曲集Op.3』もよく、さらに『水上の音楽』もよかった。ただし『水上』は、その後フィリップスに再録音して、そっちはいま『花火』と抱き合わせに再編して売られているので、ほとんどの人はそのフィリップス(現デッカ)盤を聴いているはず。

ガーディナー『ヘンデル_合奏協奏曲集 Op.3』

2013年07月19日 | CD ヘンデル
HANDEL
Concerti Grossi Op.3
English Baroque Soloists
John Eliot Gardiner
0927 48682 2

1980年録音。60分08秒。apex/ERATO。これは『作品3』の名盤。お勧め。ガーディナーらしく入念に設計されていて、6つの協奏曲がみごとに描き分けられている。もっと早く聴けばよかったです。ガーディナーは『作品6』のほうはついに録音していないんですが、それだけ『作品3』に思い入れがあったのかな。

入念ではあるけれども、それがガーディナーの自己陶酔に堕していなくて、すべて作品の魅力の再現に資しているのがよい。オーボエ、フルート、オルガンその他のソリストも生き生きと演奏しています。

4番、5番、6番、2番、3番、1番の順に収録。第4番は『作品3』のなかでも規模が大きく、冒頭のフランス風序曲が印象的。これを最初にもってきて聴き手の心をつかもうとするガーディナーのねらいは成功している。

知名度の高さでは『水上』『花火』ですが、作品の充実度では合奏協奏曲集『作品6』のほうが上、というのが、ヘンデリアンのよく言うセリフです。わたしもそう思ってはいたんですが、最近、年をとってせっかちになってきたのか、12曲もあって聴くのに時間がかかる『作品6』よりも、全6曲とこぶりながら、人懐こく多彩な『作品3』のほうに、より親しみを感じるようになりました。

ホグウッド『ヘンデル_水上/花火/二重協奏曲集』

2013年05月23日 | CD ヘンデル
Handel
Water Music
The Musick for the Royal Fireworks
Concerti a due cori
The Alchymist
The Academy of Ancient Music
Christopher Hogwood
455 709-2

1978,80,83年録音。76分00秒/71分20秒。DECCA/L'Oiseau-Lyre。ホグウッドの『水上』が聴きたくなって、『花火』『二重協奏曲』はもう持ってるにもかかわらず、購入。収録曲のうちもっとも早く78年に録音されたその『水上』は、時代楽器の扱いにわづかながらたどたどしさが聞き取れる。そのへんも大らかに受けとめられる人なら、ホグウッドらしい、またヘンデルらしい、気持ちのよい安定感に包まれていられるでしょう。わたしはそうでした。なお、録音は『二重協奏曲』のみデジタルです。でも他の曲も音質面でとくに不利ってことはないと思う。全曲、オワゾリールらしい、みづみづしい音を聴かせてくれます。

ホグウッドについては何度か書いていますが、まあ、好きな指揮者ってことになりますかなあ。「巧い!」と思ったことはありません。しかし、変な小細工のできない不器用さが、ヘンデルの場合、ハンディにならなくて、むしろヘンデルの音楽の恰幅のよさを表現するのにふさわしい。ここに収められたオーケストラ作品の場合、まさにそういうことが言える。わざとらしさがないのです。

『水上』はガーディナーやかつてのレパード同様、第1番(ホルン組曲)、第3番(フルート組曲)、第2番(トランペット組曲)の順に演奏。ガーディナー同様、異稿を採用していて、それら異稿は第1番の末尾に演奏されている。第1番はテムズ川の溯上時の演奏用だから長く、第3番はお昼のBGM、そして第2番は川を下るときの音楽だから短め、って説に基づいているんだったはず。その説の当否はわたしには分からないけど、いかにもありそうな話。

とくに『二重協奏曲』に関しては、今ではほかにも時代楽器によるものが複数出ていますが、このホグウッド盤がなお最右翼でしょう。ヘンデルの音楽の楽しさが自然に流露していて、押しつけがましさもない。『メサイア』とか『ベルシャザル』とか『セメレ』とかの合唱曲がカラオケで出てきてうきうきする。オラトリオの演奏会の幕あいで演奏されたものだそうです。第2番HWV333の5楽章 〈Allegro ma non troppo〉の元の曲、何だったかなー。確かに聴いたことはあるけど、思い出せない。

ロス『ヘンデル_8つの組曲』

2013年05月14日 | CD ヘンデル
Handel
8 SUITES POUR CLAEVECIN (1720)
Scott Ross
WPCS-6173/4

1984年録音。57分31秒/53分48秒。ERATO。1720年出版のクラブサン曲集。HWV番号でいうと、426から433まで。スコット・ロスが遺したヘンデル録音はこの2枚組だけのようです。この曲集はもっとメジャーになっていい。思いのほか聴きごたえのある作品群であり、また演奏も充実している。ロスのヘンデルは芯がとおっていて、しかも一本調子ではなく繊細なニュアンスの陰影が濃い。凡手の演奏だと飽きてしまいそうだけど、ロスのおかげで、CD2枚、面白く聴けます。

第3番ニ短調と第5番ホ長調はそれぞれ「エアと変奏」を含む。第5番の後半が例の「調子のよい鍛冶屋」ですが、ロスの弾く「調子のよい鍛冶屋」もいいですよ。まじめ一方の先生が何食わぬ顔で言った面白い冗談のようで。ツボにはまる。しかしそれ以外の楽章も面白い。いくつかあるフーガとか。ヘンデルもフーガって書くのねえ。それからジグ。ヘンデルのジグは管弦楽曲でもよく耳にしますが、いづれも愛らしくてわたしは好きですねえ。

ヘンデルのハープシコード曲というと、オペラ上演のための資金を調達するためのサイドビジネスで、あくまでも余技に過ぎない、気合い入ってないと思っていたけど、どうしてなかなかのものですな。ヘンデルのハープシコード曲は、このロスの2枚組と、イェイツのシリーズのうちの少なくともvol.1は聴いておくのがいいですよ。

ペトルー『ヘンデル_ジューリオ・チェーザレ』

2013年02月25日 | CD ヘンデル
Händel
Giulio Cesare in Egitto
Hammarström, Galli, Nesi, Karaianni, Basso, Christoyannis, Magoulas, Spanatis
Orchestra of Patras
George Petrou
MDG 609 1604-2

2006年録音。75分37秒/78分39秒/77分06秒。MDG。『ジューリオ・チェーザレ』を買ったのはミンコウスキ以来です。ペトルー指揮の前作『タメルラーノ』がとてもよかったので、『ジューリオ・チェーザレ』も聴いてみることにしました。『タメルラーノ』のときほどの圧倒的な説得力とまではいかぬにしても、じゅうぶん満足できる、質の高い演奏だと思います。1724年版の完全録音とのこと。

ペトルーの指揮はこれ見よがしなところのない好感のもてるもので、しかしイキがよく、CD3枚を通して聴いてもダレない。ヘンデル指揮者として大成してもらいたい。

チェーザレ、セスト、トロメオはいづれも女声。ニレーノをバスが歌っている、とケースにはあるけれど誤り。ちゃんとカウンターテナーが歌ってます。しかしカウンターテナーがニレーノのみで、他の役は(アキラとクリオは別として)ぜんぶ女声が歌っているということで、その点どうなのかなと思ったんですが、それぞれ聴き分けやすい声質で、問題なかったですね。

セストのMary-Ellen Nesiと、コルネリアのIrini Karaianni、アキラのTassis Christoyannisは『タメルラーノ』に続いての出演。チェーザレのKristina Hammarström、クレオパトラのEmanuela Galli、トロメオのRomina Bassoは客演て感じかな。ギリシャ組も客演組もそれぞれ好演しています。

タイトルロールを歌っているKristina Hammarströmというメゾはスウェーデン人で、スウェーデンには女子サッカーの選手でKristin Hammarströmという人もいるとやら。またクレオパトラのGalliはラ・ベネシアーナのモンテベルディに参加していて来日もしているそうですね。Galliはコジェナのクレオパトラと比べるとどうしても地味に聞こえてしまいますが、合格点。

トロメオのBassoは、YouTubeでディドーを歌っているのを見たことがあります。ここでもよく歌っているし、トロメオ以外の役でもじゅうぶんイケる実力派だと思います。

セストとコルネリアに関しては、ミンコウスキ盤よりもこちらのほうがむしろいいのでは。セストは、役柄は少年なのにアリアは技巧的で、難役ですが、Nesiは若々しい声で、歌のテクニックもあり、あらためていい歌い手だと思いました。アキラのTassis Christoyannisは、前作『タメルラーノ』ではバヤゼットを歌っていた人。素晴らしい声で、アキラを歌うにはかっこよすぎるほど。

なお、ニレーノを歌っているカウンターテナーはNikos Spanatisという人。いっぽう前作『タメルラーノ』で題名役を歌っていたカウンターテナーはNikolas Spanosという人。別人なんでしょうが、よく似た名前。共演したら紛らわしいでしょうな。

イェイツ『ヘンデル_ハープシコード作品集』第1巻

2013年02月21日 | CD ヘンデル
Handel
Harpsichord Works Volume 1 (1733)
Sophie Yates
CHAN 0644

1998年録音。67分03秒。CHANDOS。ソフィー・イェイツはシャンドスからヘンデルのアルバムを3枚出しています。そのVolume 1がこれ。HWV番号でいうと434から439まで。1733年の『クラビーア組曲集』全9曲のうち、第1番から第6番まで。なお、残りの3曲のうち、第7番と第8番はVolume 3で録音されています。(第9番は未録音。)

オペラ作曲家だったヘンデルにとって、鍵盤楽器のための作曲は余技に過ぎなかったんでしょうが、それにしても、よく歌う魅力的な音楽がここにはある。イェイツを聴いたのはこれが初めてなんですが、華があっていいです。

ここでイェイツは、ヘンデルにおける典雅さ、というかフランス・ロココっぽい艶やかさを強調しています。アンニュイ。華やかさのなかにひそめられた憂い。こういうのは、これまでわたしの気づいていなかったヘンデルで、そういう意味でじつに面白かった。

しかしそればかりではなく、やはり、雄渾な、男っぽい側面も。たとえば組曲第4番の第3楽章(トラック13)は、弦楽合奏版で有名な「サラバンド」の原曲。NHKで放送されたドキュメンタリー『アウシュビッツ』の、確かエンドタイトルに流れた曲。

ヘンデルのクラビーアのための曲を全部録音するためにはCD4枚必要なようで、イェイツはまだ3枚しか出していません。でもイェイツのヘンデル・シリーズはとりあえず3枚で完結しちゃったみたいね。わたしはこのイェイツの1枚と、あとスコット・ロスの2枚組があるので、それでよしにするつもり。

ヘルビヒ『ヘンデル_聖セシリアの日のためのオード』

2011年12月10日 | CD ヘンデル
Handel
Ode for St Cecilia's Day
Dorothee Mields
Mark Wilde
Alsfelder Vokalensemble
Concerto Polacco
Wolfgang Helbich
8.554752

1999年録音。48分36秒。NAXOS。まだメジャーではなかった時期のドロテー・ミールツが聴ける。彼女のソプラノ・ソロの清潔な歌いっぷりはやはり聴きもの。ヘルビヒの指揮は堅実だがおとなしすぎます。もっと聴かせ上手であってほしい。たとえばテナーソロの聴かせどころである〈The trumpet's loud clangour〉はもうすこし遅めにテンポを取って、力強さを出したほうがいい。テナーのマーク・ワイルドはとくに美声ではないがよく歌えているほうです。それだけにここはもっとしっかり盛りあげてほしかった。それにしてもフィナーレのソプラノ・ソロが伴奏なしで歌うところは何度聴いてもいいなあ。しかしこのナンバーも指揮がもっと盛りあげて華やかに締めくくるべきだった。

ヘンデルの『聖セシリアの日のためのオード』はアーノンクール、ピノック、キングといった指揮者の録音が出ていて、ヘンデルのオードやアンセムの類としては競合盤が多い作品。作品の姿をそのまま伝えるという点では合格点を出せなくもありません。しかしこの曲からはもっと魅力が引き出せるはずで、物足りなさは残る。