歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

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アン・クリーヴス『大鴉の啼く冬』

2009年05月31日 | 本とか雑誌とか
アン・クリーヴス/玉木亨訳『大鴉の啼く冬』(創元推理文庫)読了。まあまあ。

日本でも2007年の複数のベストテンに入ったミステリですが、わたしはそれほど感心しませんでした。わりとじめっとした読後感でした。たしかに犯人は意外な人物で最後まで見抜けなかったけど、謎解きの面白みというよりは、シェトランドという、なじみの薄い北の島の地域社会への関心で読ませる小説。しかし、シェトランドについて多少ともイメージ──最果ての島とか、北の油田の近くとか──の湧くイギリス人ならいざ知らず、われわれふつうの日本人にはシェトランドという地名自体、ほぼ初耳なので、なんのイメージの湧きようもないんですよ。イギリスの人はこの小説を読んで「いかにもシェトランドらしい話だなあ」と思うんでしょうか。

登場人物同士がお互いにほとんど知り合いで、誰がいつどこにいたか立ちどころに知れ渡ってしまう、って点はミス・マープルのセント・メアリー・ミードとおんなじ。まああれとは時代が違うけど。知的障碍のある老人が出てきたりするところはマープル的ではありませんが、セント・メアリー・ミードを舞台に書き直したら、なかなかマープルものらしく納まりのいい小説になりそうな気がします。

この本で違和感あったのは、原文でおそらくイタリックに組んであるところを、教科書体で組んでいる点。こういうの、わたしははじめて見ました。分かりにくい。教科書体に気づかずに読み流しちゃうよ。感想をwebに載せている人は何人かいたけれど、このことに触れている人は今のところ見つからない。気がついてない人が多いんぢゃないかという気がします。

カバーの絵がブリューゲルの冬の狩りの絵にちょっと似ています。
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ジェルジ・ヴァシェギ?

2009年05月28日 | 音楽について
HUNGAROTONにシャルパンティエやハイドンの録音があるGyörgy Vashegyiという指揮者がいます。時代楽器のオケであるオルフェオ管弦楽団&パーセル合唱団を率いています。ブダペスト生まれのハンガリー人で、以前YouTubeに、バッハの『ヨハネ受難曲』の一曲目を超快速で振っているライブ映像がアップしてありました。いまも探すといくつか音源が聞けるようです。ハンガリーのミンコウスキ、みたいな感じかしらん。

NAXOSのサイトでは、このGyörgy Vashegyiのことを「ジェルジ・ヴァシェギ」とカナ表記しています。信用していいのかね。NAXOSはケビン・マロンの指揮するAradia Ensembleのことを「アルカディア・アンサンブル」とか書いてたりするので、信用ならんのだ。

ドイツ語なら「oウムラウト」は「oの口のかたちでeを発音」て言ったりしますよね。だからドイツ語ふうの発音でいいのなら、Györgyはなるほど「ジェルジ」でいいのかもしれない。しかしVashegyiはほんとに「ヴァシェギ」なのか。'gy'が「ジ」なら、'gyi'も「ジ」なのではないのですか? 
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マロン『ヘンデル_エジプトのイスラエル人』

2009年05月25日 | CD ヘンデル
Handel
Israel in Egypt
Albino, Brown, Enns Modolo, Mahon, McLoed, Nedecky, Roach, Such, Watson
Aradia Ensemble
Kevin Mallon
8.570966-67

2008年録音。70分20秒/48分33秒。NAXOS。正真正銘の新録音なのに歌詞が省略されているのは減点です。1cmの厚みのケースにCD2枚収めているんですが、工夫すれば歌詞も載せられたはず。CD1に「ヨセフの死によせるイスラエルの民の嘆き」「出エジプト」、CD2に「モーセの歌」。CD1に第2部のおしまいまで入れたのはよかった。他のセットでは、「出エジプト」の途中でCDを入れ替えることがあるので。

ちかごろ大活躍のケビン・マロンですがヘンデルのオラトリオは確かこれが初めて。演奏は……、悪くもなければさほどよくもない。ちょっと残念です。わたしはこの曲については他のいい録音を聴いてしまってるからね。合唱はときに荒くなりますがまあまあ合格点をつけていもいい。でもソリストが弱い。北アメリカの中堅の声楽家たちのようですが、たとえばボストン・バロックの録音に登場する人たちと比べるとちょっと格下かなと思いますね。いえね、ほかの録音でたとえばガーディナー盤は合唱団からソリストが出てるのですが、それはそれでちゃんとサマになってるのよ。しかしこちらのアラディア盤のCDのソリストたちはいまいち板についてないというか。

2枚組で2,000円くらいなので安価ですが、歌詞がないことを思うと、ほかのを選んだ方がいいかもしれませんよ。
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ピノック『パーセル_オード集』

2009年05月24日 | CD パーセル
Purcell
Come, ye sons of art, away
Welcome to all the pleasure
Of old, when heroes thought it base
Smith, Priday, Amps, Chance, Wilson, Ainsley, George, Richardson
Choir of The English Concert
The English Concert
Trevor Pinnock
427 663-2

1988年録音。68分03秒。Archiv。ピノックのオード集。パーセル5枚組セットの中で、これだけはさきだって単発で買っていたもの。オード3曲それぞれのタイトル邦訳は『来たれ、汝ら芸術の子ら』『来たれ、すべての喜び』『その昔、勇者は故郷にとどまるを潔しとせず』。ピノックの指揮はていねいで、悪くないと思います。合唱は各パート4人ていど、オケもこぢんまりとした人数のはずですが、ピノックはめいっぱい歌わせていますね。

これを買ったのはですねえ、やっぱり狙いは《Come, ye sons of art》でして、ガーディナーので満足してはいたものの、なにしろあれはモダン楽器だし、録音も70年代だし、まちっと新しいのを聴きたくなったんですな。ソリストはスミス(S)チャンス(CT1)ウィルソン(CT2)リチャードソン(Bs)です。わたしはチャンスとスミスどちらもきらいなので、100%満点はつけません。スミスは声が澄んでいなくて、歌い回しにクセがある。チャンスはここではまあ許容範囲ではありますがこの人の歌はどっか図々しくて下品な感じがするのね。なお、CTはデュエットが2曲とソロが2曲ありますが、ソロはどちらもチャンスがとっています。

ほかの2曲のオードはこのCDではじめて聴いたんですが、聴きごたえのある曲であり、演奏であると思います。《Come, ye sons of art》が1694年、《Of old, when heroes thought it base》が1690年でいづれもパーセル円熟期の作であるのに対し、《Welcome to all the pleasure》は1683年とちょっと若い時期の曲なんですが、聴いてるとやっぱりそれがうなづけますわ。やや安定感に欠けるけれども斬新な作風。曲のおしまいがフェードアウトで終わるのが面白い。ここの終わり方はピノック巧く振ってます。

歌い手ですばらしいのはエインズリー(T)。この人は日本ではいまいち知られていませんけど、古楽も近代ものもかっこよく颯爽と歌えるテナーです。

えー、それにしてもピノックという人は、よくいえばていねいなんですが、いつもこう、なんとなくのっぺりとした指揮をする人ですね。まちっと彫りの深い指揮を心がけるとぐっと陰影が増して巧く聞こえたのにと思います。《Of old, when heroes thought it base》などはほかの指揮者──たとえばパロットだとどう振るか、ちょっと聞き比べてみたかったところ。
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きれいなLeopard

2009年05月23日 | MacとPC
Leopardにしてから、MacBook上の画面表示がなんとなく精細になったような気がします。1670万色、っていうのは以前とおんなじなんだけど。あるいは、Leopard入れるまでの二年間、ずっとTigerのまま、一度も初期化せずに使い続けたので、ソフト的にいろんなゴミ?が溜まってたのかもしれません。

こんなこと、もうめづらしくもなんともないんでしょうけど、AirMacを介して、外付けのポータブル・ハードディスクを無線でMacBookとつないでみました。最初、パスワードをはねられて焦り、いったんAirMac Extremeを初期設定に戻してみるなど、すったもんだしましたが、多少の試行錯誤の末、なんとか接続成功。つないでみると、MacBook本体のUSBポートに直接挿して使うのと変わらない使用感で使えます。ハードディスク用の電源をつながなくても、AirMac Extremeからのバスパワーでちゃんと動くのがいいね。おかげで、MacBookのUSBポートのうち1つにはプリンタのケーブルをつなぎっぱなしにしておけるようになりました。

FireFox上のフォントの話。メイリオぢゃちょっとブサイクすぎるように思えるときは小塚ゴシックで。
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脚本家・平岩弓枝

2009年05月21日 | メモいろいろ
昭和のテレビドラマの脚本家を十人選び出すとすると、橋田壽賀子、向田邦子とともに平岩弓枝もかならず入るでしょう。平岩さんのテレビドラマの代表作は『肝っ玉母さん』と『ありがとう』でしょうが、この人はその後フジテレビで水曜の夜九時からのドラマの脚本を何年かにわたって一人で書き続けたんですよ。そのドラマが、長崎ではKTN(テレビ長崎)で水曜日のヒル二時から何週か遅れで放送されていました。そのころわたしは高校生で、試験期間とかで水曜の午後早く帰れる日は一目散に山を駆け下りて(長崎の高校は山の上にあるので)、家に帰ってテレビを見ていました。若尾文子主演の『午後の恋人』の主題歌に中島みゆきの「根雪」が使われていて、ベルンかどっかの海外ロケのバックに「根雪」が流れていたのを憶えています。はじめて聴いた中島みゆきがそれで、この曲が入っている『親愛なる者へ』ってアルバムも、LP(!)で買ったんですよ。

昔わたしは、今ぢゃ考えられないくらいテレビドラマ大好きだったんですね。それも、どんなドラマでもよかったわけではなく、平岩弓枝シリーズのほかには、木曜日の夜八時にTBSでやっていたホームドラマとか(これが『ありがとう』の枠)、東芝日曜劇場とか、まあホームドラマが好きだったです。『大岡越前』も好きだったけど、月曜夜の本放送はほとんど見たことがなく、NBC(長崎放送)ではよく夕方に再放送やっていて、そっちを見て好きになった。
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平岩弓枝『鬼の面』

2009年05月20日 | 本とか雑誌とか
平岩弓枝『鬼の面─御宿かわせみ13─』(文春文庫)読了。「夕涼みの女」「大川の河童」「麻布の秋」「忠三郎転生」「雪の夜ばなし」「鬼の面」「春の寺」の7作。以前から感じていたことですが、このシリーズは、事件そのものは解決してもハッピーエンドではなく哀調をただよわせつつ終わる話が多いです。

『御宿かわせみ』、文春文庫で出てるものを順番どおりに読んでます。一年に二三冊くらいのペースで、三十冊以上出てるうちのまだ半分も読んでないので、当分は読めそうです。わたし、高校生のころに平岩弓枝の現代ものの恋愛小説を読み始めましてね。『女の顔』とか『午後の恋人』とか『日蔭の女』とかだいぶ読みましたよ。若いころは捕物帳は興味がなかったので、『御宿かわせみ』を読むようになったのは就職してからです。

この巻のキモは「忠三郎転生」と「雪の夜ばなし」でしょうね。「忠三郎転生」では、かつて取り逃がした大悪人の忠三郎が再び現れて彼の悪事にケリがつくいっぽう、麻生家の七重と天野宗太郎の婚儀が整います。神林東吾にひそかに思いを寄せつづけていた七重が伴侶を得たことでいよいよ東吾とるいの結婚へむけて環境がととのうことになります。実際「春の寺」では東吾の兄の通之進も、東吾とるいのことについて話を進める意向を口にします。「忠三郎転生」につづく「雪の夜ばなし」は、七重と宗太郎の祝言の夜、神林東吾が、ある女性と一夜だけの契りを交わしてしまう話。やや尻切れとんぼな終わりかたですが、作者はこれを書いたとき、先々このネタをふくらませることをきっと考えてたはず。
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コナン・ドイル『バスカヴィル家の犬』

2009年05月19日 | 本とか雑誌とか
ドイル/日暮雅通訳『バスカヴィル家の犬』(光文社文庫)読了。ミステリとしてはたいしたことなく、むしろホラー小説、冒険小説として読んだほうがそこそこ楽しめる。物語の舞台としてDevonshireのムア(moor。ヒースの茂る荒れ地)が登場。ムアそのものが主人公のような小説。とはいえわたしはまだピンとこないんですが、薄気味の悪い牧羊地、のような感じ?

わたしはホームズものとは縁が薄くて、ほとんど知らないんですよ。クリスティばかり読んでいた。ホームズがモリアーティ教授と絡み合って滝壺に落ちる話は知ってるんですが、それが文庫本だったのか、子供向けにリライトされたのを読んだのか、それはぜんぜん憶えてない。おとなになってから(学生時代?)、新潮文庫に挑戦してみたけど延原謙さんの格調高い翻訳文体についていけなくて、挫折した。

光文社文庫の日暮さんという人の訳は読みやすい。すらすら読めるので、二十世紀初頭の読みもの、って雰囲気は文章からはあまり感じ取れませんが、イギリスで当時描かれた挿絵を挿入しているのはよい趣向です。
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The Trinity Choir、中南米のバロックを歌う

2009年05月14日 | 音楽について
The Trinity Choirのコンサート、現地時間5月12日の夜の公演。今回のテーマはラテン・アメリカのバロック音楽。あまり期待してなかったんですが、楽しませていただきました。トリニティ・チャーチのサイト内にpdf形式のプログラムも公開されていますのでそちらもどうぞ。

スペインから南米に渡ってその地で没した音楽家や、南米各国に生まれたバロック時代の作曲家の作品。わたしはそもそもスペインのバロック音楽さえ考えてみりゃなんにも聴いてないんであやふやなことしか言えませんけど、いかにもスペイン風な印象ではありますね。特に前半の世俗曲はバロックというよりももっとプリミティブな、たとえばフレーチャのエンサラーダを思わせるような陽気なラテンの音楽でした。独唱あり、重唱あり、女声のみや男声のみの合唱もありで面白かった。

トリニティ・クワイヤは上から5・5・4・5で、はじめてみる顔はソプラノの1人だけ(アフリカ系?のElaine Lachicaという人)。今回はみんなすこしづつソロで聴かせどころがあり、楽しげに歌っています。DanielとNinaのMutlu夫妻は今回も出ていませんでした。引退しちゃったのでしょうか。久々に登場したのはKirsten SollekとGeoffrey Silver。キルステン・ゾレクの魅力的な低音。ちょっと見ない間に顔がぽっちゃりしてきたジェフリー・シルバー。

つきあっているRebel Baroque Orchestraはカスタネットやギターが加わった小編成で、いつもながら声楽陣をしっかりと支えています。
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Firefoxでメイリオ

2009年05月13日 | MacとPC
Leopard上でもひきつづきFirefoxを使っていて、デフォルトフォントとして「メイリオ」を指定しています。Office2008もインストールしたので。メイリオ、なかなかいいですね。洗練された感じはありませんが、見やすい。Office本体に関しては、メール管理をEntourageでやっているので、Entourageだけは毎日立ち上げています。2004よりもだんぜんきびきび動いてくれるので気持ちがいい。けど、Word、Excel、PowerPointは今のところ回ってくる書類のビューワーとしての使い方がおもで、まだろくろくいぢくってません。

Leopardに入れたおもなソフト。egword universal 2(egbridge universal 2含む)。ATOK2008。InDesignCS4。iWork'08。AppleWorks。InternetSecurityBarrierX4 BackupEdition。Jedit X。あと、Firefox。CopyPaste-X。iOrganize-J。iNotePad。ほかにもこまごまありますけど、まあこんな感じですか。メモ帳ソフトについてはまだ迷ってます。けっきょくiNotePadやiOrganizeのようなシンプルなソフトのほうがわたしのような素朴な使い方にはあってる気がしてきた。MoriはLeopardでも動きますが保存でモタモタするのがいや。MacJournalはバージョン5で複数の書類を開いて任意の場所に保存できるようになったのはけっこうですが、なんかこう、手になじむ感じがしない。使いこなせてないからか。

AppleWorksはこれを使って新たに書類を作るということはもうないですが、これまでの資産があるんです。AppleWorksのドロー書類はiWorkで開けないので、オサラバできない。これって、待ってれば事態が好転するってこともないので、そろそろ過去の遺産をどう生かすか、方法を考えんといかんですな。AppleWorks(のドロー)はいいソフトでした。というかほんとはその前身のクラリスワークスv.4がわたしは好きでしたけどね。クラリスワークスはアイコンも素敵でした。
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