The English Songbook
Ian Bostridge
Julius Drake
TOCE-55094
1999年録音。68分58秒。EMI。ひさびさにイギリスから登場した大物歌手ボストリッジによる、イギリス近代歌曲集です。イギリス歌曲の入門としてお手頃なアンソロジー。ボストリッジが日本でメジャーになってしばらくして国内盤で出たので買いました。以前紹介した《A Treasury of English Song》も素晴らしかったけど、歌曲はやはり歌詞対訳つきがいいです。知性派のボストリッジがその冷たさを抑えめにして、口当たりよく聴かせてくれます。
しかしさいしょのスタンフォード〈La Belle Dame Sans Merci〉なんか、これはむかしのお姫様を歌ったバラードなんですが、ボストリッジらしく、すでになにやら虚無的な気配がただよってくる。曲に入れ込まないで、どこかで醒めてる。この先ゆったり聴いていけるかちょっと心配。でも何曲か続けて聴いてるとこういうボストリッジの語り口にも慣れていきます。
どの曲も短めで、大袈裟な作り方はしてないけれどさりげなく個性的。なかでもわたしが気に入ったのはボーンウィリアムズ〈Linden Lea〉〈Silent Noon〉、クウィルター〈Come away, Death〉〈Now sleeps the Crimson Petal〉あたりです。これらはイギリス歌曲としてはよく歌われている作品で、ロルフジョンソンやアレン、エインズリーの録音でも聴いたことがあります。〈Silent Noon〉はターフェルのイギリス歌曲のアルバムのタイトルにもなりました。ブリテン編曲の〈The Sally Gardens〉は、やはりブリテンらしく一筋縄ではいかぬ個性的な編曲で、これがまたボストリッジによく合うんです。この曲はラングリッジが歌ってるCDも持ってます。
ボストリッジはモーツァルトやバッハも歌いますが、本領が発揮されるのは近現代の声楽曲だと思います。ブリテンあたりドンピシャでしょう。Bach Cantatas Websiteによると、ボストリッジは1964年12月25日(!)生まれ。同じくイギリスのテナーであるエインズリーは1963年7月9日、パドモアもエインズリーよりちょっと上くらいで、この3人、同世代です。
Ian Bostridge
Julius Drake
TOCE-55094
1999年録音。68分58秒。EMI。ひさびさにイギリスから登場した大物歌手ボストリッジによる、イギリス近代歌曲集です。イギリス歌曲の入門としてお手頃なアンソロジー。ボストリッジが日本でメジャーになってしばらくして国内盤で出たので買いました。以前紹介した《A Treasury of English Song》も素晴らしかったけど、歌曲はやはり歌詞対訳つきがいいです。知性派のボストリッジがその冷たさを抑えめにして、口当たりよく聴かせてくれます。
しかしさいしょのスタンフォード〈La Belle Dame Sans Merci〉なんか、これはむかしのお姫様を歌ったバラードなんですが、ボストリッジらしく、すでになにやら虚無的な気配がただよってくる。曲に入れ込まないで、どこかで醒めてる。この先ゆったり聴いていけるかちょっと心配。でも何曲か続けて聴いてるとこういうボストリッジの語り口にも慣れていきます。
どの曲も短めで、大袈裟な作り方はしてないけれどさりげなく個性的。なかでもわたしが気に入ったのはボーンウィリアムズ〈Linden Lea〉〈Silent Noon〉、クウィルター〈Come away, Death〉〈Now sleeps the Crimson Petal〉あたりです。これらはイギリス歌曲としてはよく歌われている作品で、ロルフジョンソンやアレン、エインズリーの録音でも聴いたことがあります。〈Silent Noon〉はターフェルのイギリス歌曲のアルバムのタイトルにもなりました。ブリテン編曲の〈The Sally Gardens〉は、やはりブリテンらしく一筋縄ではいかぬ個性的な編曲で、これがまたボストリッジによく合うんです。この曲はラングリッジが歌ってるCDも持ってます。
ボストリッジはモーツァルトやバッハも歌いますが、本領が発揮されるのは近現代の声楽曲だと思います。ブリテンあたりドンピシャでしょう。Bach Cantatas Websiteによると、ボストリッジは1964年12月25日(!)生まれ。同じくイギリスのテナーであるエインズリーは1963年7月9日、パドモアもエインズリーよりちょっと上くらいで、この3人、同世代です。