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日本の歴史

2021-07-22 10:21:20 | 舞台
シス・カンパニー「日本の歴史」を配信で見ました(配信は既に終了しています)。

初演時には見に行けず、今度こそ…と思っていたら、またしてもチケット取れず…がっくりしていたら、ありがたいことに配信してくれることになりました…(以下、ネタバレ気味です)。

この作品では20世紀初頭にテキサスに移住してきたシュミット家のファミリーヒストリーと、卑弥呼の時代から太平洋戦争に至る日本の歴史とが交互に進んでいきます。けっこう複雑な構成になっていて、一度見ただけでは全容を把握しきれず、アーカイブで2回目を見て、ようやく全体像がつかめてきたかな…という感じです。こういうことができるのも配信のありがたみではありますね。役者さんは全部で7人。この7人が60人以上の役を入れ替わり立ち替わり、早変わりで演じるさまは、手品でも見ているかのようでした。役者さんたちもみな達者…。とりわけ宮澤エマさんが大活躍でしたね。さすがの存在感の中井貴一さん、歌も踊りも貫禄のシルビア・グラブさん、クールビューティなのに面白い秋元才加さん、やはり華のある香取慎吾さん、ダメ男を見事に演じた新納慎也さん、不思議な雰囲気を醸し出す瀬戸康史さん…皆さん本当に素晴らしかった。配役にしても、あの役をあの人が演じる、というだけで笑える役がいくつも…。歴史上の人物のセレクトもいかにも三谷さんらしいです。歴史に残るような人も、歴史の波に翻弄される側の人々も…。一見、何の関係もなさそうなシュミット家と日本の歴史ですが、時に両者に起こる出来事がシンクロするような場面もあります。そして、舞台終盤近くのある一点で両者の歴史が思わぬ形で交わることになります。

この舞台、音楽も素晴らしいです。音楽は三谷作品ではお馴染みの荻野清子さん。温かみのあるメロディー、ユーモラスでキャッチーなフレーズ。「INGA 因果」「お前は誰だ 俺清盛だ」とか、舞台が終わってからも頭の中でぐるぐるしてしまいます。そういえば、荻野清子さんってエレクトーン界ではジュニアの頃から才能を発揮されていたのですよね…子どもの頃、ジュニアだった頃の荻野さんが作曲された「風船旅行」という曲を、なんてすばらしい曲なんだ!と思いながら必死こいて練習した記憶があります。舞台で荻野さんがすっと背筋をのばしてピアノに向かう姿を見ながら、あれからいったい何年たったのだろう…と思わずしみじみしてしまいました。

結局のところ人は歴史から学ぶのか、あるいは学ばないのか?時に学び、時に同じ愚行を繰り返しながら歴史は続いていくのかもしれません。劇中では「因果は巡る糸車…」という都都逸風のフレーズが何度か繰り返されます。若い頃は因果応報という言葉もいまいちピンと来ませんでしたが、この歳になると因果応報って本当にあるんだな…という場面に遭遇することも増えてきました。願わくばよき因果を巡らせることができますように…なんてことを考えていたら、また頭の中で「INGA 因果」のメロディーがぐるぐるしはじめたのでした…。
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