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アートネタなど日々のあれこれ

絵とともに生きる

2016-07-07 00:02:43 | 美術
国立新美術館で「ルノワール展」を見てきました。

ルノワールをまとまった形で見るなんて、いつ以来のことでしょう・・・。というか、印象派の展覧会自体、もう何年も見ていないかも。でも、今回のルノワール展は、かなり充実した展覧会になっているらしい、ということで、いそいそと行ってきました。

展覧会は、肖像画、風景画、現代生活、デッサン、子供、花、女性そして裸婦、といったテーマに沿って展示されていましたが、たしかに教科書に載っていたかも、あるいは載っていそう、な作品が目白押しでした。今回、とりわけ痛感したのは、ルノワールはやっぱり生で見てなんぼ、人描いてなんぼ、の画家さんだなあ、と。どんな印刷もこの生の色彩には絶対にかなわない。そして、人物画がとにかく魅力的!私は肖像画がやや苦手で、そそくさと通り過ぎてしまうことが多いのですが、ルノワールの肖像画は、つい立ち止まってしげしげと眺めてしまいます。とことん人が好きな人だったんですかね・・・。

名作揃いの展覧会の中でも、目玉が「ムーラン・ド・ギャレットの舞踏会」。むかしむかし美術の教科書で見た記憶があります。文字通り、幸福を絵に描いたような光景。これを見て、なぜかラ・フォル・ジュルネの頃の東京国際フォーラム前、が思い浮かんでしまいました。かと思うと、「田舎のダンス」と「都会のダンス」が揃い踏み。これも相当久しぶりのことらしいです。「ぶらんこ」に描かれた光と影。そして「ピアノを弾く少女たち」も。これもいつか生で見てみたいという、憧れの作品でした。「ジュリー・マネ あるいは猫を抱く子ども」も愛らしい。そりゃ、こんな絵を描いてもらったら、一生手放したくないでしょうよ。猫が喉を鳴らす声まで聞こえてきそう。そして、最後の作品「浴女たち」。よく見ると構図が変な気もするのですが、そんなのもういい、と思わせられてしまう作品です。天上の光景・・・。

この展覧会を見に行ってから、既に一ヶ月近く経ってしまっているのですが、思い出すだけで、ほわわわわ〜ん、と幸せな気分になってしまいます。でも、実際に見ている時には、この一点曇りのない明るさが逆に辛くなったりもしました。ルノワール以外の作品もいくつか展示されているのですが、その中に毒を感じる作品があると、思わずほっとしている自分がいたりして・・・。これまでルノワールのことは、綺麗なもの、美しいものが大好きな幸せな画家さんだと思ってきました。でも、光の方を向き続けるというのは、もしかしたら、闇に流れるよりも強靭さが必要なのかもしれない・・・。

展覧会の最後で、「絵は見るものじゃない。一緒に生きるものさ。」というルノワールの言葉が紹介されていました。私などは絵を見るのは大好きですが、自分では全く描けないので、どうしても「見るもの」になってしまいますが、「一緒に生きる」となると、どんな光景が見えてくるのだろう、それはやはり幸せな人生なのだろうか・・・と、つらつらと考えてしまいました。

帰りに、美術館の近くの「デンメアティーハウス」に行ってきました。紅茶の専門店ですが、「相棒」の撮影にも使われたことがあるようです。本当にたくさんの種類の紅茶。相棒オリジナル紅茶もありましたね。私はザツハトルテとザツハブレンドをいただきましたが、さすがにおいしゅうございました。店内にはクラシック音楽がかかっていて、気分はすっかりウィーン・・・のはずなのですが、私の頭の中では、ついつい「相棒」のテーマ曲が鳴ってしまったのでした・・・。






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