TOHOシネマズシャンテで「ソング・オブ・アース」を見てきました。
ノルウェー西部の山岳地帯オルデダーレンの大自然と、そこで暮らす老夫婦の姿をとらえたドキュメンタリーです。この地帯は世界でも有数のフィヨルドを誇ります。この映画の監督は夫婦の娘であるドキュメンタリー作家マルグレート・オリン。ヴィム・ヴェンダースと、ノルウェーを代表する大女優リヴ・ウルマンが総指揮です(以下、ネタバレ気味です)。
映画はオルダーレンの春夏秋冬を順に追っていきます。84歳になるという監督の父が散歩する姿をひたすら映し出すのですが、これが散歩というよりはもはや登山…峻険な山道を、トレッキングポールをつきながら軽々と登っていきます。眩暈がしそうな断崖絶壁でも平然としていますが、住んでいる人にとってはいつもの光景なのでしょうね…。監督の母も時おり登場…お二人の仲睦まじい様子が本当に微笑ましいです。
雪山の白、氷河の青、湖の碧、草原の緑、花の赤、オーロラの七色…ドローンを駆使して撮影された映像は圧倒的な大自然を淡々と映し出します。まるで地球の歴史を見ているかのような、壮大な光景です。自然の中で生きている動物たちの姿も。トナカイ、馬、犬、フクロウ、ワシ…ちょいちょい現れたオコジョが愛らしかった…。この映画には自然の音も溢れています。氷河の音、雪崩の音、瀑布の音、風の音、川の音…まさに地球の歌。監督は自然の音を録音し、音楽に変換、作曲家が楽譜に起こし、オーケストラが演奏しています。監督のこの音への並々ならぬこだわりは、幼い頃に「氷河の音からオーケストラが聴こえる」と感じたことから始まるようです。
しかし、美しい自然は時に過酷です。この地でも雪崩や土砂崩れで命を奪われた人々がいました。一方で人間による環境破壊の影響も…この地でも年々、氷河は縮小しています。時に対立しながらも、この地で人々と自然は長い間共生してきました。それでも大自然と比べれば人間はあまりにも小さい…その事実をこの映画は目の当たりにさせてくれます。しかし、その小さな人間たちが細々と命をつないできた奇跡…この地球には奇跡が満ち溢れています…。
さて、アートといえば甘いもの…ということで、この日は日比谷シャンテにあるル・プチメックでクリームホーンマロングラッセを買ってきました。筒状にしたパイ生地の中にマロンクリームが入っているのですが、パイはサクサク、クリームは栗の味がしっかりして美味しゅうございました…。