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アートネタなど日々のあれこれ

日本画の秋

2016-11-30 01:00:47 | 美術
そんなわけで、またまた展覧会のはしごをしてまいりました。

今回、向かった先は山種美術館。が、例によってまずは腹ごしらえ、ということで恵比寿駅近くのうどん屋「山長」へ。牛スジ煮込みカレーうどんをいただきました。おいしい。無料で炊き込みご飯もついてくるのが嬉しいです。一品料理やお酒のメニューも豊富で、いつか夜に来てみたいものだなあ、と思いました。お腹いっぱいになったところで、美術館へ。今回の展示は「速水御舟の全貌」。ほとんどの作品は再見だろうなあ、と思いつつ、御舟ファンとしてはやっぱり行っとかなきゃ、という感じです。有名作は何度か見ていますが、今回、とりわけ印象的だった作品をいくつか。いきなりですが「瘤取之巻」。17歳でこれすか・・・(驚)。小ぶりで可憐な「桃花」。御舟が娘さんのために描いた作品です。その名も彌生ちゃん。3月生まれだったのでしょうか。私も3月生まれなので思わず親近感を覚えてしまいます。そして「牡丹(写生図巻)」。巻物から牡丹花がふわりふわりと立ち上ってきそうです。添えられていた御舟の言葉も趣深く・・・「絵画は生命の永遠の花」。あと、「名樹散椿」も。これまで何度となく見た作品ですが、今回は「日曜美術館」撒きつぶしのことについてお勉強した後なので、その金色が深みを帯びて見えてきます。そして「火炎」。私の場合、一番好きな日本画を一点あげろ、と言われたらこれになってしまいます。何度も見ているのに、その度に違って見えてくる不思議な作品。今回は炎の周りの、熱をはらんだ風の流れを感じました。そして「円かなる月(絶筆)」。独特の緊張感がある作品です。あと、私が行った時には、御舟が11歳の時に祖母にプレゼントしたという、蒔絵の櫛が展示されていました。蒔絵を施したのは御舟自身だそうです。だいぶ褪色して見づらくはなっていましたが、繊細さが伺えます。やっぱり栴檀は双葉の頃から何とやら、なのでしょうか・・・。

その後に向かったのは、根津美術館。山種美術館から頑張って、てくてく歩きました。展示は「円山応挙—「写生」を超えて—」です。こちらもゴージャスな展覧会でした。あらためて思ったのは、小学生のようで恥ずかしいのですが、「この人、やっぱりめちゃくちゃ巧い」。こうやってまとめて見ると、笑っちゃうぐらい凄い、というのが、素人の私にですらよくわかります。あまり自己主張するタイプではないので、他のアクの強い人と一緒だと、巧すぎて逆に埋もれてしまう傾向もあるように思えるのですが、今回は違う。圧倒的、まさにラスボスの風格です。いつまでも見つめていたくなるような「藤花図屏風」。幻想的な「秋野暁望図」。透明感のある「雪中小禽図」。大迫力の「雲竜図屏風」。ワンコが可憐な「藤花狗子図」。精緻な「写生図巻」。そして今回最大のお目当て「七難七福図巻」。こんなスプラッタな光景も描いていたのですね・・・。点数はさほど多くはなかったのですが、一点一点がけっこうヘビーで、すっかり満腹になった展覧会でした。そして観賞後はお庭を散歩。紅葉は散り始めていましたが、まだまだ綺麗。晩秋の風景です。

というわけで、駆け足ながら、豪華二本立ての展覧会を堪能してまいりました。ここ1ヶ月の間で其一、御舟、応挙、それに禅展も。まさに日本画の秋でした・・・。
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