企業・組織再生現場からの独り言

仕事の中で、覚えていったこと。感じたことなどなどを記していきます。我以外皆我師也。あと、読んでいる本を簡単に紹介。

経営者、そしてリーダーの格差

2007年10月09日 | 本の紹介(ビジネス)
カネボウで「変われない」会社を見てきた著者が、格差について論じている。副題に「会社がワーキングプアを助長する」とあるように、企業の盛衰によって、図らずもワーキングプア側になってしまう人が、現在もそして将来も出てくることを論じている。
近年、自己責任という言葉がよく聞かれるようになったが、会社の場合どうかなぁ、と思ってしまう。寄らば大樹じゃないけれど、カネボウ、雪印、加ト吉、三菱自動車、言ってみれば世間では優良とされる企業が、おかしくなったり、粉飾をやったりしてしまう。ほとんどの従業員は、うちの会社おかしいんちゃうか?なんて考えたこともなかった(まぁ、業績が悪くてボーナスが出なくなると、考えることはあるでしょうが・・赤字でも賞与を出す会社たくさんありますからね)んじゃないか。
会社、そして組織は、リーダー次第でどうとでも変わる。これは、特に変革が必要な時期のことと思います。景気もよくて、業績も上り調子の時は、トップは何もしない方がよかったりもする。もちろん、先を見て、いろいろ新たな手は打つことはあるにせよ、好調時に大なたを振るう必要までは、あまりないだろう。
ただ、安定期が続いている会社では、なかなか変革が難しい。先行きが暗くなりはじめたことを敏感に感じ、また変革するにはトップの決断が不可欠だ。そのタイミングに、適切なトップを据えることができるか、できないか。これは従業員(および経営陣)と株主の責任なんだろうけれど、なかなかうまくいかないだろう。企業の寿命が30年と言われたのは、例えば景気の循環にあわせて変革できる会社がいかに少ないか、ということを示しているのではないか?
で、この本。変革・決断できない経営者が、格差社会の原因の一つではないか?と言っているのだけれど、言い得てるなぁと思ってしまう。業績が悪い状態が長く続いている会社のトップは、やっぱり決断できない人であるように感じるのだ。
また、これは会社という単位の話にとどまらない。もっと小さな単位、すなわち部や課、チームと言った単位でも同様のことが言えるのだろうとは思う。収入面での格差ではなくて、QOL(Quality of Life)の格差が確実に出てくるからだ。
何らかのリーダーである人は、一度この本を見てはどうだろう?じっくり読めばよいが、少しのエピソードを立ち読みするだけでもよいと思う。私自身も、反省しながら読み通したものだった(もちろん、反省だけじゃなく、あの社長はなぁ・・なんて考えながらだったけれど)。
ところで、この本ではワーキングプアという表現が使われている。最近は、金融資産の格差とかもいろいろ言われているが・・・。今の日本だと、やっぱり土地持ちやビル持ちなどの不動産リッチが、少なくない固定的な収入を得て、ゆったりすごしているように感じてならない。まぁ、そういう格差も含めて、政治家というトップを選んでいるのは国民なんだけれどね。(企業では社長は選挙で選ばれたりしないから、よりたちが悪いということは、上ではあえて書かなかったけれど・・・考えてはいます)
政治の透明性が叫ばれるようになって来たこの時代。企業(特に、上場の大企業なんか)でも、透明性がより求められてしかるべきかなぁ、なんて思ってしまう。密室で社長が決まる・・・そりゃ仕方ないのかもしれないが・・・。。総会で役員を選出して、その役員の中で社長が決められている、というような会社がどれだけあるかなぁ、なんて思ったりする・・。


経営者格差 (PHP新書 483)
藤井 義彦
PHP研究所

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