企業・組織再生現場からの独り言

仕事の中で、覚えていったこと。感じたことなどなどを記していきます。我以外皆我師也。あと、読んでいる本を簡単に紹介。

鏡が汚れていても・・・

2005年02月19日 | 和の話(呉服業界など)
ある呉服屋の催事にて、気になることがあった。それは、着姿をうつす鏡が汚れていたこと。指紋がベタベタだったのだ。これは、宝飾品のコーナーにおいても同じ。こんなので商売になるんだなぁ、と感じてしまった。そこで、現場にいた販売担当などに、鏡が汚れてますよ、とお話ししたのだが、「明日、朝拭くからかまわない」という。なんとも、おおらかな業界だ。
まず、汚れはすぐに取るのが鉄則。放置すればするほど、汚れは落ちにくくなるものだ。それを、朝にまとめてやるから大丈夫、というのは違うと思う。次に、目の前のお客様に対して、申し訳ないと思わないのも気になる。きもの、って高級なものだ。それを買う際に、自分に当ててみて鏡に映す。その鏡が汚れているとどうか。ほとんどの場合、いやな気持ちを持っても、あえて言うことはしないだろう。だから、販売員は気がつかない。どうしようもないね。それで、次のお客さんを失っていることがわからないのだから。
こういうと、そんな小さいことで・・、と言うんだ、たいていの業界人は。そりゃ、販売員は、売るのが仕事。いつも売っているから、そういう場面は多くあるに違いない。でも、買う側にとっては、その瞬間が大事。たとえば、着姿を映す際に、鏡が汚れていたら「申し訳ないですが、鏡が汚れていました。少々お待ちください。すぐにお拭きします」と言えないのか、また、「こちらの鏡へいらしていただけますか」と、別の鏡を案内するのもありだ。
もっとも、汚れた鏡をお客様に見せないのが最高だ。だから、お客様とのやりとりが終わったら、必ず鏡を拭く癖をつけるのがよい。それでも、どうしても、鏡が汚れてしまっているときもある。そういうときに、きちんと応対できて初めてOKだ。

以上の話、業界の人に話をすると、二つの対応に分かれる。一つは、そんなこと気にしなくても、これまでも十分売れてきたから問題ない、というもの。もう一つは、昔はこの程度、基本と言われてみんなやっていたのに、今はそれすらできなくなったなんて、と嘆かれるパターン。前者は、基本にも気がつかないタイプだから、仮に、今、業績が向上していても、どこかで破綻を来すだろう。ほかのいろんな客商売の基本が徹底できてなくて、アンチ客をたくさんつくってしまうだろうから。後者は、言われて気がつくだけまし。だが、そこから何ができるかだ。いくら嘆こうが、既に起きている現象は変わらない。
そんなとき、業界の偉い人が、率先して範を示せばよいのだが。。。この業界のおえら方に限って、自分がやる仕事じゃない、と手を動かさないんだよね。客商売の基本がわからない人が多いこの業界。本当に客の支持を得られれば、しっかり成功していけるんだろう。敵は弱い。だからこそ攻めて出られると思うのだけど、誰もやらんのだろうか。

そうそう、呉服業界の中でもしっかり伸びている会社の社長か会長が言ったという言葉を聞いた。「あたりまえのことを、ばかにせずに、ちゃんとやる」ABCの法則だそうだ。これを聞いて、すぐ動こうとするのか。評論家になって、「やろうとしても、できないんだよなぁ」ですませるのか。何バカなこと言って、と相手にしないのか。私はすぐ動くことをおすすめしたいものだ。
コメント (1)
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