あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

慢性解離のAAA

2010-03-28 01:31:04 | Weblog
今週はもう一例、出番がありましてAAAですが、以前にB型解離で足が詰まってAFバイパス下方で、その時偶然6cmのAAAも見つかりまして、早くやったほうが良さそうでしたが、さすがにAAAまで解離してましたので急性期にはリスク高いと思いまして、2-3ヶ月過ぎるの待ってましたが、やはり開存型の解離だけあって数ヶ月で1cm以上拡大しまして、先日やりましたが、2度の開腹術の既往あって、癒着が心配されましたが、ほとんど癒着無く、すぐに瘤に到達、中枢はdouble barrelに吻合、今回はさすがにinclusionにはせず、ちゃんと離断してフェルトを巻いて吻合、末梢側は解離は無く、こちらはinclusionで吻合。
8cmの小切開でいきましたが視野は比較的良好、2時間40分で無事終了しまして、もう元気にご飯食べてます。
慢性解離のAAAは当然、double barrelにすることがポイントですが、CTで真腔と偽腔の位置関係が頭に入っていれば、それ自体は別に難しいことでなく、しっかり確認すればいいこと、嫌なのは、まず、腰椎動脈がみんな開いていることが多く、瘤を開けたとたん、馬鹿みたいに出血すること、それと隔壁があるため遮断が甘くなり、中枢からの出血がコントロールできないことがあり、クランプ鉗子を2重にかけなくてはいけないことが、間々あることでしょうか。
最初にMIVSを報告した榊原の論文でもありますが、中枢側はクランプサイトまでしっかり切り込まなくてはいけませんが、末梢側はクランプサイトまで皮膚の切開を入れなくても、かなり視野は取れますので、最近では可能な限り10cm以内でおさめるようにしています。ちょっとした体位の工夫や視野取りで、だいたいはなんとかなるような気がします。
ただ、鈎引き係は大変です、狭い視野で何にも術野が見えない状態で、ひたすら鈎を引いてなくてはいけないので。
この前の学会で、リング開創器を使っているという先生がいましたが、あれってどうなんでしょうか、つまりは皮下組織の挫滅や乾燥を防ぐのが主な目的なのでしょうか、あれ自体で創を広げる役割を十分になすのでしょか。
今度、試供品を頼んで使ってみたいと思います。

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