あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

火事場のなんとか

2010-06-09 20:13:40 | Weblog
昨日から今日にかけて緊急が3件続きました。
昨日は予定の1件が終了してカンファやってたらAAA破裂、以前から指摘されていたが、ほぼ寝たきりのため手術は受けず経過を見ていたらしいが、ボンっといって即死であれば、これまた大往生で済むのでしょうが、中途半端に破れて痛みで苦しんでいると、これまた本人も家族も、いくら手術はしないといっていたからといって、何とかしたくなるのが人情というもの。
開けてみたら珍しく後腹膜には血腫はなく、腹腔内に直接oozingしている状態でした。
そんなもんで、むくみも無く、腸管のガスも無く非常にeasy caseでさくっと2時間台で終了、血腫も腸管のむくみも無いので、腹壁も余裕で閉じれまして、人工呼吸器も離脱できました。まー、もともと寝たきりですからこれからが大変。
今朝は今朝で7時半からカンファやっていたら、またAAA破裂、今度は89歳、ほぼ寝たきり、こちらも、手術は選択せず経過を診ていたタイプ、やはり、ボンとはいけなかったのでしょう。こちらはさすがに昨夜のようにeasy caseとはいかずでしたが、例によって、必殺、黄金の指刀で半ば強引に中枢を露出して、そのまま即クランプして、なんとかなりました。こちらは後腹膜の血腫も腸管のガスもひどかったので、コンパートメントになりそうでしたので、最近お気に入りのイレウス管を入れまして、全部ガス抜きしてペタンコにして余裕でとじれました。これやると30分ぐらいかかるので大変ですが、それでも2期的閉鎖することを思えばね。やや止血に手間取り、3時間オーバーでしたが、こちらも先ほど麻酔から目が覚めてきました。めでたしめでたし。
ちなみに、お腹を閉じている最中にIABP付きのUAPが登場、2例目にピットインされまして、off-pump4枝で4時間きっかりで先ほど終了、ただ今解散となりました。

という事で、本日予定されていた手術は2例とも、ぶっ飛んでしまいまして、こちらのフォローも大事であります。ご本人、家族、そしていつも自己犠牲を払って緊急を引き受けてくれる病院のスタッフ。
ほんとに人助けだと思って、予定の変更を受け入れてくれた患者さんに感謝であります。
みんな大概は話せばわかってくれます、同じように病気で苦しんでいるのですから、お互い様なのであります。
しかし幸いなことに、どれもこれも夜中の緊急ではないので、意外と平気。
逆に緊急だと、すべてが早い?ので、予定手術やっているより早く解散になったりして。
それなら普段から、もっと早くできるんじゃないかと思うが、これは火事場のなんとか、というやつでしょうかね。

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