あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

re-do

2012-07-24 11:04:18 | Weblog
昨日は、急がなきゃいけない人ようにとオペは入れずに、空けといたのですが、手術入りそうもないということで、オペ室の看護婦さんたちも、少人数の出勤となっていましたが、週末にCABG後の方でPCI試みましたがSTが上がってきちゃうという、UAPもどきが生まれましたので、午後から準緊急でやらせていただきました。
グラフトはLITA-LADのみpatentで、今回のターゲットはRCAとCXでしたので、左開胸にうってつけであります。
これまでも前任地ではCABG後でカテ室でトラッブって、緊急で左開胸で、下行inflowのバイパスというのを、時々経験してきたので(もちろん、いつも見てるだけで、自分でやったことないけど)、イメージはあるし、左開胸も開け閉めだけはたくさんやってきたので、あまり抵抗はありません。
ただ、いつも先輩たちが苦労されていたのは、re-doの時はcoronaryが見つからないということ、術前にしっかりCAGを頭の中に叩き込んでおかないといけませんが、特に左開胸だと、いつもと視野が違うので、ミスロケーションして余計に余裕がなくなります。
昨日も開けてから、何度もCAGを見ては確認しながらという感じではありましたが、CAGと指先の感覚を信じて、恐る恐る脂肪を掘って掘って、なんとか目的の3本とも見つかりまして、とりあえずつないできました。左開胸ですので、通常の正中からのOPCABですと難しい房室間溝近くの#15もつなげるのではないかということで、頑張って掘りました。
それと、左開胸の問題はもう一つ、inflowで苦労されていること、下行大動脈からinflowを取るのが一番手っ取り早いのですが、下行大動脈というのは意外と鬼門であります。
上行大動脈と同じつもりで扱うと痛い目を見ます。
血管がきれいな方はいいですが、だいたいにして2度目のCABGなんかになる方は、全身動脈硬化と相場は決まっており、石灰化やアテローマで血管が悪い悪い、これまでもパーシャルクランプして血管が解離したり、パスポートでトラぶって対麻痺になったなんて話を周囲からよく聞いていましたので、ナメてはいけません。
昨日も石灰化がまだらにあって、どこもかしこもという感じで、下行なのでパスポートよりも確実に遮断した方がいいだろうということで、パーシャルでやりましたが、場所が悪かったのでしょう、パンチャー突っ込んだら内膜がごそっと外れて、落っこちました。仕方なしに穴を10mmぐらいまで大きく開けて、なんとか吻合しましたが、ちょっと不安です。

ということで、昨日は指導の先生なんとかつかまりましたが、自分のとこんも手術終わってからきてくれるとのことで、午後から一人でぼちぼち始めました。
片肺にしなきゃいけないのでユニベント入れて、横向けて、固めてかた、SVG取り始めましたが、前回のオペでもうSVG残ってなくて、仕方なしに末梢は足背まで取って、中枢は小伏在静脈につながる交通枝に向けて採取するという、右側臥位でしたので、ちょうどうまい具合に右の下腿の小伏在の方の視野が取れてラッキーでした。
その後は第五肋間で看護婦さん前立に一人で開胸して、肋骨落として、ちびちびと癒着などを剥がしてると、ちょうど良いタイミングで指導の先生登場です。続けて消化器の若い先生も手術終わって、お手伝いに来てくれて、ありがたや、ありがたや。
グラフトは#4PD-#15-#14の順で吻合しましたが、つないで思ったが、これは上行に中枢持ってくるときの順番であり、中枢吻合を下行に持ってくるには、もう一度Uターンせねばならず、ちょっと失敗しました。グラフトの長さは足りましたが、ぐるっと回って長いグラフトでかっこ悪くなってしましました。おそらく#4PD-#14-#15の順番にするべきだったかと、後から思えばですが。まー、それより、開存しているかが大きな問題です。
循内の先生からは、今朝、下行からのinflowは初めてなので、造影が楽しみだなーなどとプレッシャーをかけられましたが、まー、もう手術は終わっているので、あとは造影してみるまでです。
今週はもう一人再手術です。
CABG後のASRでAVR(+CABG)予定がいます、CABG後ということもあり、長い間、手術された病院で保存的に見てこられたようですが、さすがに先日、心不全でたまたま当院へ入院、BNPが2000前後で、EFも40%まで落ちていて、もう少し早く再手術していればなーと思いますが、数年前の2枝OPCABも8時間以上かかっており、しかも1本閉塞で、術後もしばらく麻酔から目が覚めないなど、いろいろあったようで、本人も心臓手術なんてもうこりごり、手術した病院でも、手術は難しいみたいに言われて。
そんな方ですので、なんとか決めないといけません。
ただriskはかなり高いです。ICも死亡率10%ぐらいで話したと思います。
再手術の上、80代、がりがり、ITPあって、現在、ガンマグロブリン大量投与して、手術に備えているところであります。
ただ、気持ちは元気、ご飯もよく食べるし、暇さえあれば、苦しくてもトラクター乗って、畑に行ってしまうおじいちゃんなので、その元気さを一つ信じてやるしかありません。

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2 コメント

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Unknown (まぁちゃん)
2012-07-25 18:47:18
データが悪くて高齢でもハキハキして元気そうな方は手術を乗り越える印象が強いですけどね・・・・
ITPとかはどう出ますかね・・・
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Unknown (あぽいち)
2012-07-28 22:54:40
まー、とりあえず手術は終了です。
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