あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

off-CABGの功罪

2010-08-01 22:16:59 | Weblog
先週担当させていただいたCABGの方は昨日造影しまして無事開存を確認できました。
技師さんからきれいにつながっているよとお世辞をもらいましたが、ボスがいなかった時の症例であり、しかもLADへの一本バイパスでしたので、さすがにこれで吻合の形が悪かったりなんかした日には、たぶん次はないというぐらいのつもりでやっている。
先日、冠動脈外科学会というのがありIMRの話を聞いてきたが、結局、リング形成だけでは遠隔期に3割は再発するので、弁下組織にも手を加えなくては駄目だろうという話になっていた。方法としては離れてしまった乳頭筋を寄せるか、もしくは引っ張られている腱索を切ってしまうか、引っ張られている乳頭筋を釣り上げるか、だいたいこの3つが主流かと思われる。確かにその通りではあるが、どれもこれも結局は虚血のリモデリングで左室が拡大することがすべての原因であるので、手術した時は元の場所に戻るかもしれないが、遠隔期にまた左室の拡大が進めば、どうにも再発は免れない気がするが、どうなんでしょうか。
そこで、他大学の同級生ともお会いしまして、いろいろ情報交換しましたがあちらは、CABGはほぼ全例、CPBのせるとのこと。ビギナーからしたらうらやましい。でも、IMRの話を聞いたときにM弁を触るか、CABGのみで終わらせるかの話になっていて、入院した時はMRじゃかじゃかだけど、心不全コントロールついて、しかも麻酔かけちゃうと、負荷がとれてMRが消えてしまう事は、昔からよく言われていたことだが、、、。実際にどうかというと、麻酔下でMR2度程度であれば、ついついoff-CABGですませてしまうことも、みんなあるんではないかと思う。もちろん症例それぞれでCPBのせる方がリスク高い人もいるだろうし。難しいところである、脱転に耐えられるからと言って、何でもかんでも意地になってoff-CABGで終わらせてしまい、あとからMR心不全で入院を繰り返すでは意味がなくなるので、そこらへんの評価は大事である。と今回学会に行ってあらためて思った。やはり学会って勉強にも刺激にもなるね。いつもは開催場所で選んでいたけど、今回も行くつもりはなく、たまたまオペ中止になったので行ったが、やはり、なんか時代に置いてかれる気がしてしまう。ただなんでもはやりすたれというのがあるので、一昔前まで正しかった事が今では正しくないなんてことは、この世界いくらでもあるので、何でもかんでも飛びついていては大変だし、アホである。でも、うちの上司二人はほとんど学会に出ない、何か新しいネタを聞いてきても、流されてししまうことが多い、せっかく学んできても病院にフィードバック出来る事って少ないんだな、AAAぐらいですかね、好きなように出来るのは、開心術はまだ、権限がないというか自信もないし。

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