あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

脂肪がいい

2010-05-19 15:38:25 | Weblog
2月に学会に行った際に熊本の先生が、大動脈の止血のときに脂肪を使うといいという話をしていまして、最近、部長の手術で何度か試してもらっていますが、かなりいいです。
大動脈の吻合部からの出血が止まらないときは、外から凝固因子を点滴するのもそうですが、局所的には止血剤をつめたり貼ったりしてひたすら圧迫したり、追加吻合したり、人工血管の残りでラッピングしたりというのが、これまでのうちの方法ですが、先日の話では、このラッピングに脂肪を貼り付けると良く止まるという話でした。
通常、大動脈と人工血管は外側にフェルトなどをつけて縫いますので、吻合部はでこぼこしていて平坦ではないのであり、そこに人工血管のラッピングをした場合、凝固能が正常で隙間に血腫ができてくれば、止血ができるのでしょうが、大体においてラッピングが必要な状況というのは凝固能が狂いまくっていて、血が固まりません。そんなときに脂肪を入れることで、フィッティングがよくなり隙間がなくなることで、出血が抑えられるというのです。
すごくシンプルな発想ではありますが、これが実際に良く止まります。
何例かやってもらいましたが、よいようです。
まだ、私自身は胸部の大動脈手術を担当させてもらう機会がありませんので、自分では試せていませんが。
文献はあるのか調べてみたらありました、2月の学会で発表されてた先生の書いたものが、今年のATSに掲載されていました。

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