あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

エルステAAA

2005-09-22 19:31:57 | 術者、勉強になった症例
そういえば、ドイツから帰ってきてすぐ、初めてのAAAのチャンスがまわってきた、一人は夏休み、もう二人は関連病院に手術の手伝いに行ってしまい、その日は朝からボスと二人っきりという、偶然の状況が重なり、私にAAAのチャンスが来た。
しかも午前中はボスは外来なので、僕も朝から一人で回診して一人で麻酔かけて待っていると、外来にいるボスからMEさん前立ちに始めてろとのご指示!
これはチャンスと思い、いつも先輩がやっている通りにやった、いつの間にかテーピングまで終わっていた、そこでボスが入ってきた。
左末梢は難しくボスが吻合、あとは全部やらせてもらった。4時間5分だった。
次の週も、同じ状況となり、MVP+AVR+MAZEをボスと二人でやった。
やはり、一人で回診して麻酔かけて待っていると、始めてろとのこと、とりあえず一人で開胸していると、途中でMEさんが前立ちに入ってくれた、ヘパリンを入れる前にボスに確認した、そのままGOサインが出た、二本脱血でポンプオンしたところでボスが手を洗い出した。

こういった状況で医者が自分ひとりというのは、震えはしないがとても緊張感があって、ある意味、気持ちが良いし興奮するものだ、常にトラブルに対するリカバリーの方法を頭の片隅で考えて無くてはいけないと思った、特に送血管のトラブルは時々耳にするが、リカバリー出来ないと致命的だ。

うちのボスも、私にそういう経験をさせるためにやらせたのだと思う。
無事済んでよかったが、とても勉強になったし、自信にもなった。
いつの間にか成長している自分がいる、でもまだまだ、こんなんで満足してられない。
その後、AAAは二例あったが、回ってこなかった、やはり年功序列の世界なのだ。
また、チャンスを待ちつつ、外の世界にも顔をだすかな