あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

映画「レ・ミゼラブル」を見て

2013-01-04 15:12:38 | インポート

久しぶりに見たミュージカル映画でした。期待以上に、心に残る感動を受けました。

妹の子どものために一切れのパンを盗み、19年間も牢獄につながれたジャン・バルジャン。

主人公のジャン・バルジャンを演じたヒュー・ジャックマンは、どこかで見た顔だと思いましたが Xメンでウルヴァリアンを演じた俳優でもありました。アクション俳優だと思っていたのですが、舞台のミュージカル俳優としても活躍した経歴の持ち主でした。心情を巧みに迫力ある歌声で表現する力は、その中で身につけてきたものなのでしょうか。

彼とともに印象に残ったのは、不幸せな母親:ファンテーヌ役を演じたサン・ハサウェイ、片思いの娘:エポニーヌの役を演じたサマンサ・バークス、革命の戦士たちと共に闘った少年(名前は忘れてしまいました)です。

ジャン・バルジャンを執拗に追い続ける警察官:シャベールを演じたラッセル・クロウも、法の番人としての異常なまでの使命感や冷酷さを感じさせる名演技でした。宿敵であるジャンに命を救われた事でこれまでの生き方を問い直し苦悩する場面は、痛々しく心に迫るものがありました。

仕事を奪われ、たった一人の愛娘を養うために娼婦に身を落とさざるを得なかったファンテーヌ。髪を切られる前の清楚な姿と髪を切られ娼婦となった姿が対照的で、その哀しい運命を象徴するかのようでした。身を落としても変わることのない 娘によせる一途な愛が、内面の美しさと人間としての気高さを感じさせました。映画のパンフレットに、髪を切られたファンテーヌの横顔が大きく掲載されています。聖母マリアを感じさせる 気高く 美しく 温かく とても魅力的な姿です。

市長として何の手助けもできず、ファンテーヌの死を看取ることになったジャン・バルジャンは、彼女から託された願いどおりに、愛娘:コゼットを引き取り、惜しみなく愛を注ぎます。

やがて、コゼットの前に 青年:マリウスが登場します。運命の糸に引き寄せられるように 二人は恋に落ちます。マリウスは、貧しい市民たちのために 今こそ社会の変革が必要だと考える 革命戦士でした。そのマリウスに恋する女性が、エポニーヌでした。エポニーヌは、マリウスが心をよせる女性が、コゼットと知り驚きました。コゼットが小さい頃に預けられ、下働きの娘として働かされていたのが、エポニーヌの家だったのです。エポニーヌは、マリウスに対する自分の感情を抑え、二人の愛の橋渡し役を献身的に演じます。その切ないまでの恋心が、強く心を打ちます。国王軍との戦いの中で、マリウスを助けようとしてエポニーヌは死んでしまいます。最期にマリウスの胸に抱かれるエポニーヌの姿が印象的でした。悲しい場面ではありましたが、一途で純粋な愛に深い感動を覚えました。

革命軍の中で、その士気を高め、勇敢に戦う少年がいました。映画の中では、当時の市民がいかに虐げられ、いかに貧しく苦しい生活振りであったかが随所に描かれ、革命を志向する若者たちの怒りや熱い思いに共感を覚えます。小さな子どもまでが、革命の必要性を訴え戦うような時代でもあったのです。少年の凛々しく戦う様子がその歌声と共に印象的でした。

娘:コゼットの思いを知ったジャン・バルジャンは、最愛の娘が奪われてしまうような苦しい思いを抱きながらも、革命軍の中に身を投じ、戦いで傷ついたマリウスを救い出します。そして自らの過去(警察に追われる身分であること)を彼に話し、そのことを娘には伝えないようにと約束させて、姿を消してしまいます。

やがて、ジャン・バルジャンには死が訪れます。天からの迎え役として、ファンテーヌが訪れ、娘コゼットを引き取り育ててくれたことに、感謝の思いを伝えます。コゼットとマリウスの夫妻も駆けつけ、二人に見送られながら、安らかに ジャン・バルジャンは旅立っていきます。

映画の最後は、「民衆の歌」が力強く歌われ、革命の意気で盛り上がる場面で 締めくくられます。

「愛とは、生きる力」 映画の中で伝えようとしたメッセージが、強い感動と共に心に響いてきました。ジャン・バルジャンの生き方を変えたのは、盗みをした教会で、牧師が示した愛でした。警官の前で、ジャンをかばい、高価な燭台まで差し出した牧師の愛でした。ファンテーヌの娘によせる愛、エポニーヌの愛、コゼットとマリウスの愛、虐げられた民衆のために立ちあがった若者や少年の愛、さまざまな愛を通して生きる力が、描かれているような気がしました。 

見初めのころは、セリフではなく 心情を歌で表現する場面が、くどく長いような印象がありました。しかし、物語が進むにつれて、その違和感が薄れ、登場人物の心情が歌を通して自然に伝わってきました。見終わった時には、改めてミュージカルのもつ表現力のすばらしさを再認識し、一つ一つの歌をもう一度聞いてみたいなあと思いました。

感想を簡単にまとめようと思ったのですが、長々と書いてしまいました。これから観ようと考えている人の 妨げになってしまったのではないかと反省する思いもあります。それだけ心に残る映画だったということで、どうかお許しください。

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