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杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

七王国の騎士

2022年11月09日 | 
マーティン, ジョージ・R・R(著)鈴木康士 (イラスト), 酒井昭伸 (翻訳)  早川書房

『七王国の玉座』から遡ること約一世紀、ターガリエン家がウェスタロスを統べる時代、“草臥しの騎士”ダンクと、その従者エッグの冒険を描く中篇3篇を収録。“氷と炎の歌”シリーズ初の短篇集。「草臥しの騎士」―ダンクは、旅の途上で死した師、サー・アーランの亡骸を葬った。武具と馬、わずかな貨幣を受け継ぎ、草臥しの騎士となり旅を続けるダンクは、禿頭の少年エッグに出会う。ダンクは騎士としての矜持を示すため、アッシュフォードでの馬上槍試合に出場するが…。「誓約の剣」―不落城のサー・ユースタスに仕えるダンクは、河間平野の干上がった川を調べる途中、冷濠城のレディ・ローアンの領民が川をせきとめ、水を独占していたことを知る。ローアンに謁見したダンクは彼女に心惹かれるものを感じるが…。「謎の騎士」―北の“壁”に向けてエッグとともに旅の準備をするダンクは、バターウェル公が催す馬上槍試合への出場を決意する。だが、試合会場である白亜城では優勝者に与えられる“ドラゴンの卵”をめぐって、さまざまな陰謀が渦巻いていた。(「BOOKデータベースより)


ダンクは文章だけで想像するとちょっと頭の回転の鈍い、ブ男ではなくても美男とは言えない大柄で背の高さが特徴的な人物なのですが、挿絵ではそこそこイケメンです。

「草臥しの騎士」では禿頭の少年エッグとの出会いが描かれます。長身のサー・ダンカン と名乗ることにしたダンクは、馬上槍試合に出場するため、一頭の馬を売って職人ペイトに身の丈に合う鎧を作ってもらいます。自分が騎士である証人が必要なダンクは、頼みの人物にけんもほろろに断られますが、ひょんなことから王の世継ぎプリンス・ベイラー・ターガリエン が保証人となってくれます。
好ましく想う人形遣いの娘に楯の塗り直し(師の紋章は使えないため)を頼みますが、その娘がプリンス・エリオン に狼藉を振るわれているところを助けたことで、「七尽くしの審判」にかけられることに。エッグの正体はエリオンの弟のプリンス・エイゴン でした。長兄のプリンス・デイロン の従者になる筈が、彼が逃げ出したため、ダンクの従者になろうとしたのです。
6人の味方になってくれる騎士を探さねはならなくなったダンクでしたが、アッシュフォードで親しくなったフォソウェイ家のレイマン や、エリオンから受けた屈辱の復讐を求めるサー・ハンフリー・ハーディングとサー・ハンフリー・ビーズベリー 、審判で名をあげようとするサー・ロビン・リースリングと“笑う嵐”サー・ライオネル・バラシオン 、最後にプリンス・ベイラーが義により加わります。
ダンクは落馬しますが、エリオンを引きずり倒して喧嘩の要領で彼を降伏させます。プリンス・エリオンも告発を取り下げて裁判は終わりますが、二人のサー・ハンフリーと、プリンス・ベイラーが命を落とします。プリンス・デイロンの見た予知夢が現実になりました。エッグの父プリンス・メイカーは自分の棍棒が兄ベイラーを殺したと言い、エリオンを追放したことを告げます。彼はエッグの望み通り従者として教育して欲しいと申し出ますが、ダンクは放浪の旅を続けたいと言いエッグと人形遣いの娘を探しにドーンに旅立ちます。
審判でダンクは酷い怪我をしますが、彼の真っ正直な騎士道精神が周囲の心ある騎士を招き寄せるんですね。それにしても自分の潔白・正当性を決闘で決めるというのは結局力のある者が勝者=正しいということになりどうにも納得いかないけれど、これが実際の騎士道に即しているんだろうなぁ。

「誓約の剣」では春の疫病大流行と大旱魃という背景のもと、ドーンから戻ってきたダンクが不落城のサー・ユースタス・オズグレイに奉仕の誓いを立てるところから始まります。
補給品を積んで城に戻る途中、小川が短日で干上がった原因を調べに茶色の盾のサー・ベニス と上流へ向かったダンクは、冷濠城のレディ・ローアン・ウェバーに仕える農民がダムを築いて水を独占 していることを知ります。その際ベニスが農民を傷つけたことで両者の間に戦いが起きそうになり、それを平和的に解決しようと冷濠城 に行ったダンクはレディが評判とは異なり好ましい人物であることを知って好意を抱きます。サー・ユースタスが過去に反逆していたと聞いて衝撃を受けたダンクは不落城に戻って奉仕を辞めると告げますが、その晩、森が炎に包まれます。
農民兵を逃がした代わりにダンクはサー・ユースタスとレディ・ローアンの軍勢に向かいます。
ダンクは自らの頬を切りつけて農民の怪我の借りを返すと、森の火災の件をロング・インチとの決闘裁判 で決着をつけることになります。川の中での戦いも熾烈を極め、ロング・インチを倒したあと溺れたダンクはレディの鉄諸島出身のメイスターから蘇生術を受け手当されます。
目が覚めたダンクは、サー・ユースタスとレディ・ローアンが和解し結婚したことを知ります。レディの父の遺言を守りサー・ユースタスの後継問題も解決する策ではあるけれど、何だか身も蓋もないなぁ。レディから感謝のしるしにと名馬の提供尾の申し出を断ったダンクは情熱的に彼女にキスをし、その髪を貰って、〈壁〉を見たことがないと言うエッグと北部に向かいます。

今回もかなり派手に怪我を負うダンク。どうも馬上の戦いは苦手なようですが、その騎士道精神は健在で、女性からも好意を持たれるようになっています。

「謎の騎士」では、北部に向かう途中に寄った白亜城で行われるバターウェル公とフレイ公の娘の結婚の祝宴で行われる馬上槍試合に参加するダンクが描かれます。
星嶺城のゴーモン・ピーク公一行と出会い、草臥しの騎士を名乗るフィドル弾きのサー・ジョンから仲間に誘われたダンクはピーク公に嫌悪感を抱いて断りますが、サー・メイナード・プラム、霧深き湿原の猫のサー・カイル、”火の玉”クウェンティン・ボールの落とし子と主張する若きサー・グレンドン・ボールの三人の草臥しの騎士に誘われて気を変えて婚儀に行きます。旅費を稼ぎたいという気持ちもあったのね。
エッグから、バターウェル公は〈ブラックファイアの反乱〉で二人の息子を"赤きドラゴン"デイロン・ターガリエン二世と"黒きドラゴン"る僭称者デイモン・ブラックファイア双方につけて家の安泰を企んだが、二人とも〈赤草ヶ原の戦い〉で死んだこと、婚儀に集まった多くは反逆者"黒きドラゴン"に味方した貴族だと聞きますが、過去は過去だと耳を貸しませんでした。ちなみにエッグは赤きドラゴンの血族ですね。
婚儀の夜、泥酔したダンクにサー・ジョンは、ダンクが〈王の盾〉の白い鎧を着て夢に現れていたこと、白亜城でドラゴンが卵から孵る夢も見た事を話し、自分の夢は正夢になるから味方になれと誘われます。
アッシュフォードの試合を知る者がいればエッグの正体が明るみに出るかと危惧したダンクは"吊るし首の騎士" と名乗る謎の騎士として最初の馬上槍試に臨みますが、"蝸牛の騎士"サー・ユーサー・アンダーリーフを侮って敗北します。ルールに従い馬と鎧を差し出しに行ったダンクは、サー・ユーサーからある人物が彼に金を払ってダンクを殺させようと企んだと聞かされます。この試合自体が仕組まれた組み合わせだったのです。そうこうするうちにドラゴンの卵が盗まれたと騒ぎになり、サー・グレンドン・ボールが疑われて囚われます。いなくなったエッグを探すダンクは、アリン・コクショー公に殺されそうになり、短剣で傷を負わされるも公を井戸に投げ込みます。彼はサー・ジョンがダンクに寄せる関心に嫉妬しサー・ユーサーにダンクを殺させようとしていた人物でもあったのです。助けに来たサー・メイナード・プラムから、サー・ジョンの正体がデイモン・ブラックファイアの息子のデイモンだと知らされます。(メイナードは王の手 である血斑鴉公の数多のスパイの一人だったのです)聖堂でエッグとバターウェル公を見つけたダンクは、エッグから自分とダンクはスパイで、父のプリンス・メイカーが軍を引き連れて来ると嘘を付いたことで公が怯えているのだと聞かされます。隙を見て逃げようとしますが、バターウェル公の義理の息子トム・ヘドルが現れてエッグを殺して戦争の火蓋を切ろうとします。ダンクの馬上試合の無様さを嘲るトムにダンクは剣のほうが得意だと答えこれを倒します。バターウェル公と共に逃げるようエッグに命じたダンクは、時間稼ぎをするためサー・ボールの無実を訴えて、デイモンとポールの決闘裁判となり、ポールは見事デイモンを破ります。
そこに、エッグの叔父〈王の手〉で血斑鴉公の異名をとるブリンデン・リヴァーズが大軍を率いて白亜城を包囲し、居合わせた者は戦わずして降伏し、デイモンは捕えられます。血斑鴉公は、勇敢で自信に溢れるエッグを目にして、彼こそがデイモンが夢に見たドラゴンだと気付きます。バターウェル公は富の10分の1を認められますが、白亜城は没収され取り壊されることになります。エッグは叔父にダンクの鎧を取り戻すための金貨を要求し、ダンクは必ずお返しすると言います。ドラゴンの卵の結末を血斑鴉公に尋ねたエッグに、血斑鴉公は、自分のスパイが秘密の通路を通って盗み出したのだと語ります。ダンクは婚儀の席で芸をしていた小人を思い出し、そのからくりに気付くの。エッグを探している時に出会った小人が凄く臭かったという伏線もあったっけね。
そしてまた二人は北のスターク家目指していくわけですね。

このお話でもダンクは散々に痛めつけられます。これだけの負傷をしても命は助かっていること自体が彼の運の強さと体の頑健さを示しているということかしら。

エッグは後にエイゴン5世となり、その孫がターガリエン王朝最後の王・狂王エイリスなんですね。そして 曾孫 がロバート、スタニス、レンリー という。
この物語では機知に富んで利発な少年のエッグが王座につくのは当然として、その子孫は何だかな~~。
そしてダンクも予知夢の通りキングズガードの総帥となるようです。でも馬上試合は相変わらず下手なようで(笑)
氷と炎の歌の物語の中にも二人の功績が登場しているけれど、もう一度あの分厚い本を紐解くのは難儀だなぁ(^^;

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