杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

THE FIRST SLAM DUNK

2024年03月18日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2022年12月3日公開 124分 G

いつも余裕をかましながら 頭脳的なプレーと電光石火のスピードで相手を翻弄する 湘北の切り込み隊長、ポイントガード・宮城リョータ(声:仲村宗悟)。 沖縄で生まれ育ったリョータには3つ上の兄がいた。 幼い頃から地元で有名な選手だった兄の背中を追うように リョータもバスケにのめりこむ。 高校2年生になったリョータは、 湘北高校バスケ部で、桜木(木村昴)、流川(神尾晋一郎)、赤木(三宅健太)、三井(笠間淳)たちとインターハイに出場。 今まさに王者、山王工業に挑もうとしていた。(東宝サイトより)


1990年から96年まで「週刊少年ジャンプ」で連載された「SLAM DUNK」のアニメ映画。原作者の井上雄彦が監督・脚本を手がけ、「The Birthday」がオープニング主題歌、「10-FEET」がエンディング主題歌を務めています。

映画公開前の予告を見て「絵が荒いな」と感じて劇場鑑賞は見送りましたが、おそらくは敢えて、なのでしょうね。
声優さんもTVアニメ版とは異なるため違和感もありました。
世間的には高い評価を受けたようですが、個人的にはイマイチだったかな。

インターハイ2回戦での秋田・山王工業との試合が描かれます。高校バスケ界の絶対王者と呼ばれ、最強のセンター河田、高校ナンバーワンプレイヤー沢北を擁 する山王に対し無名の湘北という構図です。

試合開始早々、リョータのパスから花道がダンクシュートを決め、序盤は拮抗した内容となります。

試合の模様と並行して、リョータの生い立ちが描かれているのが特徴的でした。父を亡くし、自分がこの家のキャプテンになると言った兄も海に出て還らぬ人となり、宮城家は沖縄を離れて神奈川県へ移住しました。バスケの名選手だった兄を慕っていたリョータは塞ぎ込み、いつも独りでバスケの練習をしていましたが、中学生になったある日、スリーポイントを立て続けに決める少年に1on1を挑まれます。彼に兄の面影が重なったリョータは途中で帰ってしまいます。

前半を2点リードで終えた湘北でしたが、後半フルコートプレスディフェンスを展開した山王がリョータを徹底マークします。三井のスタミナ消耗も激しく、赤木は河田との競り合いで気力を削がれ、20点以上の点差がつます。
安西監督からリバウンドでの勝利というタスクを与えられた桜木は「山王(ヤマオー)は俺が倒す!」と宣言して観客から大ブーイングを浴びますが、天性の身体能力を発揮して空中戦を次々と制し、チームの空気を変え、点差は8点にまで縮まります。

湘北高校でバスケットボール部に入部したリョータは衝突を恐れず問題児と揶揄され赤木とも衝突します。ある日、不良グループを束ねる三井が、かつて1on1を挑んできた少年と気付いたリョータは「いつでも1on1を受けてやる」と喧嘩を売ります。三井との喧嘩でバスケットシューズを壊してヤケになったリョータは、原付で単独事故を起こして母に叱責され、退院後逃げるように故郷の沖縄へ行きます。母は夫と長男に続き次男まで失う恐怖にいたたまれなかったのでしょう。

秘密基地の洞穴で、隠されていた兄のバスケットシューズと山王工業が表紙を飾るバスケット雑誌を見つけたリョータは、雑誌に兄が書いた『最強の山王を倒す』という文字に、兄の夢を実現しようと決意してバスケ部に復帰。そこには三井の姿もありました。三井の復帰はTVアニメで観てたな~~。

山王のエース沢北が本領を発揮して流川を攻守で圧倒。桜木には最強センター河田をぶつけてきます。再び点差が開き始めますが、流川がパスの選択肢を持ったことで流れが変わります。桜木はコート外に出そうになったボールを追いかけ関係者席にダイブ。そんながむしゃらなプレーが観客の心を掴んで、アウェイ状態から一転して湘北に声援が送られ始めます。しかしプレー再開後、桜木は背中に痛みを覚えます。

インターハイ前日は、リョータとソータ兄弟の誕生日でした。その夜、母がソータの映像を見て涙する姿を見たリョータは、バスケットを続けさせてくれた母への感謝の気持ちを手紙に綴りました。それを読んだ母はインターハイ会場を訪れ、観客席から湘北対山王戦を見届けます。

山王の執拗なマークを強引なドリブルで破るリョータ。背中の痛みで交代させられながらも、桜木は「オヤジ(安西)の栄光時代はいつだよ、全日本の時か?」「俺は今なんだよ」と皆の制止を振り切って再びコートへ。逆境で食らいつく迫真の戦いを見せた湘北は試合終了直前、1点差で勝利します。

インターハイ終了後、湘南の海岸で母に会ったリョータは兄の遺品の赤のリストバンドを差し出しました。

敗れてコートを去る山王工業の面々の中、沢北は廊下で崩れ落ち涙を流します。高校ナンバーワンと呼ばれ日本では全てをやりつくしたと思っていた彼が望んだ『俺に必要な経験』は、彼が今まで知らなかった『敗北』だでした。

数年後。アメリカのチームで試合に出場した沢北は、相手チームの中にリョータを見つけます。特に言葉を交わさず肩を叩き合った二人。試合が始まったところでエンドロールに。

TVアニメではインターハイ出場が決まったところで終わった気がしますが、映画はその先の王者・山王との試合に絡めてのリョータが主役でしたね。

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ONE PIECE FILM RED

2024年03月16日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2022年8月6日公開 115分 G

素性を隠したまま発信される歌声が「別次元」と評され、世界でもっとも愛される歌手ウタ(声:名塚佳織、歌唱:Ado)が、初めて公の前に姿を現すライブが開催されることになった。そのことに色めき立つ海賊たちと、目を光らせる海軍。ルフィ率いる麦わらの一味は、何も知らずに、ただ彼女の歌声を楽しみに会場にやってきた。世界中から集まったファンが会場を埋め尽くし、いよいよ待望の歌声が響き渡ろうとしている。しかし、ウタが「シャンクスの娘」であるという事実が明らかになったことから、事態は大きく動き出していく。(映画.comより)


「ONE PIECE」の劇場版アニメ。長編劇場版通算15作目で、原作者の尾田栄一郎が総合プロデューサーを務める“FILMシリーズ”4作目で監督は谷口悟朗。歌手のAdoが歌唱担当したことで注目を集め、ウタがアニメキャラクターとして初めてNHK紅白歌合戦に出場し話題となりました。

ONE PIECE・・・TVアニメも原作もあまり見てないんだよな~~。去年話題を集めていたのでDVDで観ましたが、登場キャラが多過ぎるのと物語の世界観が把握できずに理解が追い付かず、印象としてはAdoのライブをアニメで見ている感じ😓 アニメファンには怒られそうですが💦

音楽の島エレジアでライブを行うウタの目的は、世界を平和にすることですが、それは彼女の“ウタウタの実”の能力で作り出したウタワールドにファンを閉じ込めることでした。ウタが眠れば能力は解除されますが、眠れなくなるネズキノコを食べ続けているため、彼女の体力が尽きて死ねばウタウタの世界は閉ざされて永遠に閉じ込められてしまうのです。

シャンクスの娘として赤髪海賊団の中で育ったウタ(敵の海賊から奪った宝箱に入っていたのをシャンクスが育てた )ですが、シャンクスたちがエレジアを滅ぼして幼いウタを捨てたことで、海賊嫌いになっていました。でも本当はウタが意図せずその能力で魔王トットムジカを蘇らせてしまった結果だったのです。シャンクスはウタを守るため自らが汚名を着たわけね。

ウタの能力を恐れた海軍や海賊たちは彼女の「新時代」計画を阻止しようと動きます。エレジアでウタを育ててくれたゴードンから過去の悲劇の真実を聞かされる前に、ウタは映像電伝虫の記録映像でそれを知っていたのですが、自分を必要とするファンの声に応えるために計画を変えることなくエレジアの地下に眠っていたトットムジカを蘇らせてしまいます。

トットムジカは現実世界とウタワールドの両方で姿を現すため、二つの世界が繋がります。そのため双方の世界で同時攻撃してトットムジカを倒すことで現実世界に戻るチャンスが生まれます。

ルフィたち麦わら海賊団は、ウタワールドで他の海賊団たちや、CP0のブルーノらと共闘し、現実世界では赤髪海賊団が海軍を牽制しながらトットムジカとの戦いに挑んでいきます。指揮を任された海軍大佐コビーの見事な采配も見所の一つらしい。

ルフィとシャンクスだけでなく、他のキャラたち(ヤソップとウソップ の父子とか)も双方の世界で交信し協力してトットムジカを倒すことに成功します。
ルフィがドラゴンボールの悟空が変身した時みたいな姿になったのは、ニカ(太陽の神)に変身した設定と言う事ですが、その辺の事情はさっぱり😝
とにかくシャンクスとの同時攻撃でトットムジカは撃破されました。

でも人々がウタワールドから解放されるためにはウタの歌が必要です。シャンクスが差し出した解毒薬を拒否し、最後の力を振り絞って「世界のつづき」を歌いウタは「みんなを幸せに」します。ウタを捕らえようとする海軍を前に、シャンクスは「俺の娘だ」と庇い強大な覇王色の覇気を発します。

サニー号の上で気がついたルフィの目に、赤髪海賊団の船が去っていく姿が映ります。シャンクスから麦わら帽子を渡された時の約束に、ウタから麦わら帽子を返された時の「似合う人になって」という約束が加わり、ルフィは「海賊王に俺はなる」と誓いを新たにする のでした。

映画の中で流れる歌
「新時代」
「私は最強」
「逆光」
「ウタカタララバイ」
「Tot Musica」
「世界のつづき」
「風のゆくえ」
「ビンクスの酒」

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フォーチュン・クッキー

2024年03月15日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2004年5月1日公開 アメリカ 97分

1976年のジョディ・フォスター主演「フリーキー・フライデー」のリメイク作品です。ひょんなことから心と体が入れ替わってしまった母と娘が、互いの生活を送ることで大騒動を巻き起こしながらも次第に相手の気持ちに気づいていく姿を描いたコメディ。

母と娘の心が入れ替わってしまう映画は他にもいくつかあった気がします。それにこの作品、多分観てる筈なんだけど、感想の記録がない😓 

几帳面で完璧主義者の精神科医テス・コールドマン(ジェイミー・リー・カーティス)は、再婚相手ライアン(マーク・ハーモン)との結婚式を2日後に控え、学校で問題を起こしてばかりの娘のアンナ(リンジー・ローハン)のことで頭が痛い。ロックに夢中で放課後はバンド仲間とガレージで練習する騒音もですが、何よりの悩みはライアンに全然打ち解けようとしないこと。

一方アンナは口うるさく子どもの気持ちを全く理解しないくせに弟のハリー(ライアン・マルガリーニ) には甘いママが不満です。学校では以前は仲良しだったステイシーから嫌がらせを受け、国語教師のベイツ(スティーヴン・トボロウスキー )からはいわれなき落第点をつけられ反省室の常連で すが、片思いのジェイク(チャド・マイケル・マーレイ)と接近したり、マディ(クリスティナ・ヴィダル)たちバンド仲間と充実した学生生活を送っていました。

ある日、マディからライブハウスのオーディションを受けられることになったと知らされますが、その時間はママの結婚式のリハーサルと重なっていました。その夜、ライアンも一緒に出かけたチャーニーズ・レストランでの夕食でそのことを相談したアンナはママの猛反対にあって逆ギレします。
その時、店のオーナーの母ペイペイ(ロザリンド・チャオ)がふたりにフォーチュン・クッキーを差し出します。それぞれのクッキーを割った時に地震が起きますが、席に戻ると皆何事もなかったと言います。

翌朝、互いの体が入れ替わっていることに気付いた二人は大慌て。とりあえず、午前中はお互いの生活を送ることにします。
中身がテスのアンナのファッションは優等生風😁ジェイクにも冷たい態度をとります。授業でベイツ先生の嫌がらせを受けたアンナは、彼が高校時代に振った相手だと思い出し、当時の恨みを娘に晴らそうとしていると気付いて教育委員会に訴えるとベイツを撃破します。

中身がアンナのテスは、母のプラチナカードで買い物をして洋服を着替え、ピアスを開け髪型も変えて職場に行き、カウンセリングの仕事(話を聞き流すだけ)をこなします。

昼に合流した二人は元に戻る方法を聞こうと昨夜のレストランに行きますが、おみくじの通りにするしか方法はないと言われてしまいます。

午後。
中身がアンナのテスは、ハリーの保護者面談で弟が書いた作文を見せられ、本当は姉のことが好きで尊敬していると知って感動します。

中身がテスのアンナは、試験中にステイシーの策略で退出させられてしまいます。ジェイクの協力で、保管された答案用紙に答えを記入したアンナは仕返しにステイシーの答案を消しゴムで消しますが、それを見たジェイクは彼女に失望します。

中身がアンナのテスは、トーク番組の生放送に出演させられ慌てますが、ぶっちゃけトーク全開で観客を煽って盛り上げます。番組を終えて入ったカフェでバイトしていたジェイクとばったり会った彼女はロックの話で意気投合します。ジェイクはすっかり彼女に夢中になります。

結婚式の前夜祭に出かけた二人は、おみくじに書かれた通りの心を持とうと念じますが戻れません。バンド仲間がアンナを連れ去りにやって来たのを見たライアンはアンナの望み通りにオーディションに行かせようと、アンナとテスを会場へ送り出します。脇役のライアンの唯一の見せ場ですね。😁 

中身がテスのアンナがギターを弾ける筈もなく、ステージで棒立ちになっていると、中身がアンナのテスが、弾く真似をさせて舞台袖で自分がギターソロを弾きます。会場は大歓声で盛り上がりバンドは予選を突破します。

前夜祭に戻った二人が、互いの気持ちを思いやるスピーチをすると地震が起き、元の体に戻ります。

翌日の結婚式で、テスとライアンは皆から祝福を受け、アンナとジェイクもキスを交わします。

逆の立場に変わって悪戦苦闘する二人の様子がコミカルに描かれて笑いを誘いますが、やがて互いの立場を理解し認め合うようになるのも良い感じです。中でも、中身がアンナのテスを演じた女優さんの弾けっぷりが見事でした。

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MEMORY メモリー

2024年03月09日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年5月12日公開 アメリカ 114分 R15+

完璧に仕事を遂行する殺し屋として、裏社会で絶大な信頼を得ていた殺し屋のアレックス(リーアム・ニーソン)は、アルツハイマー病の発症により任務の詳細を覚えられなくなってしまい、引退を決意する。これが最後と決めた仕事を引き受けたアレックスだったが、ターゲットが少女であることを知り、契約を破棄。彼の唯一の信念である「子どもだけは守る」を貫くため、アレックスは独自の調査を進める中で、財閥や大富豪を顧客とする巨大な人身売買組織の存在を突き止める。(映画.comより)


アルツハイマー病で記憶を失っていくベテランの殺し屋が最後の仕事に挑む姿を描いたアクション作品で監督は「007 カジノ・ロワイヤル」のマーティン・キャンベル。

メキシコ・グアダラハラ。病院に潜入し任務を終えたアレックスは車に戻りますがキーをどこにしまったか忘れていることに気付きます。アルツハイマーを発症し
アメリカ・テキサス州エルパソの施設にいる兄を持つアレックスは、自分も発症し任務の詳細を覚えられなくなったことで引退を決意し仲介人のマウリシオに伝えますが
認めらず次の仕事を命じられます。アレックスはこれが最後の仕事と決めて故郷のエルパソに向かいました。

エルパソではメキシコ連邦警察と共同捜査で人身売買組織を追っているFBI捜査官のヴィンセント・セラ(ガイ・ピアース)が捜査対象のレオンへの囮捜査を行っていましたが、買春をさせられていたレオンの娘ベアトリスに気付かれて騒ぎになりレオンが死亡して捜査は失敗し、上司のジェラルド・ヌスバウムに叱責されます。

エルパソのホテルにデヴィッド・マーシャルの偽名でチェックインしたアレックスは、今回の仕事の仲介人ウィリアム・ボーデンから標的の情報を受けとり、一人目の標的の建設業者エリス・ヴァン・キャンプの自宅に侵入すると、彼を銃で脅して依頼されたUSBを入手し殺害します。この時、エリスの娘の存在に気付いた彼は彼女に気付かれないよう配慮しています。
仕事を終え資料を見返していたアレックスは次の標的が女性であることに気付き嫌な予感を覚えます。兄に会いに行った彼は自分の状態を独白しました。

エリスの殺害現場では、ヴィンセントと相棒のリンダが担当刑事のダニー・モーラに嫌味を言われ、ジェラルドに邪魔されながらエリスの妻ウェンディに事情聴取を行い、彼女が真っ先にジェラルドに連絡したことに不審を抱きます。ジェラルドからチーム(FBI児童労働搾取特捜班)の解散と、マルケスの帰国を告げられ抗議しますが取り合って貰えずヴァン・キャンプ殺しの捜査に集中するよう命じられます。

ヴィンセントは、唯一の証人かつ被害者のベアトリスを移民収容施設からグループホームに保護します。
その日の夜。アレックスがグループホームに侵入しますが、標的が少女(子供)だと気付いて立ち去ります。翌日。ボーデンを呼び出し契約解除を告げたアレックスは、USBは自分が持っていると伝え「あの子を殺したらタダじゃおかない」と脅しました。

その夜。バーで酔客に絡まれていた美女を救ったアレックスは彼女と一夜を共にします。同じ夜。マルケスを飲みに誘ったリンダは、彼からメキシコでは大勢の女性が行方不明になっているのに警察は見て見ぬふりの現状を聞きます。

翌朝。グループホームでベアトリスの無残な遺体が発見されます。
ホテルでそのニュースを見たアレックスは自分がやったのではと疑いマヤに何度も確認した後で、ホテルを出ようとします。車に爆弾が仕掛けられていることに気付いたアレックスの前で、部屋に忘れていった薬を届けにきたマヤがマウリシオに殺されてしまいます。激怒したアレックスはマウリシオを叩きのめしてマヤの死体をトランクに乗せ運転席にマウリシオを座らせて車を爆破しました。
この現場に到着したヴィンセントは、ダニーからトランクの女性からベアトリスと同じ32口径の弾が検出されたことを知らされます。

ジムにいたボーデンを殺害し、廃墟となった実家であるパン屋の地下に身を潜めたアレックスはUSBの中身を確認し、事件の真相を知ります。

ボーデン殺害現場に到着したヴィンセントら3人は、銃弾はベアトリスらの殺害と同じこと、駐車場に落ちていた薬がアルツハイマーの処方薬だと報告を受けます。
ボーデンの妻マリアンヌから夫が不動産専門の弁護士で、エリスと面識がなかったことを聞き出し、更にボーデンだけ違う銃が使われていたことが判明すしたことで、ヴィンセントたちは犯人が二人いると気付きます。

アレックスはヴィンセントに電話し本名を名乗った上で、エリスとボーデンを殺害したのは自分だと明かし、ベアトリスを殺したのはマウリシオで、ボーデンとヴァン・キャンプは子どもを食い物にしていた、相手は大金持ちで弁護士とそのクライアントだと告発し、悪人の俺が奴らを罰するが俺が死んだらお前が罰しろと告げて電話を切ります。

マルケスがマリアンヌと接触し、夫が電話していた相手が不動産王のダヴァナ・シールマン(モニカ・ベルッチ)だったという情報を聞き出します。ボーデンとダヴァナの関係を調べると、ボーデンはダヴァナの息子ランディの弁護士で、ランディはベアトリスがいた移民収容施設の運営、エリスは移民収容施設の建設に携わっていたとわかります。ランディ・ボーデン・エリスは、ヴィンセントたちが追っている人身売買組織の一員だったのです。

アレックスの次の標的はランディだと考えて監視する目をすり抜け、アレックスはランディを殺害しますが、追ってきたヴィンセントと対峙します。そこへやってきたマルケスを制止しアレックスを逃がそうとしますが、マルケスが発砲しアレックスは腹を負傷します。なんとか隠れ家に戻ってきたアレックスは応急処置を施します。

翌朝。アレックスについて調べたヴィンセントとリンダは彼の過去(父親からの性的・肉体的虐待)と実家の存在を知り急行しますが既に姿はありませんでした。

息子が殺され激怒したダヴァナは、非番の警官を護衛に雇います。
アレックスは陽動作戦で攪乱し、ダヴァナに銃口を突きつけますが撃針を入れるのを忘れてしまったため失敗。ダニーはアレックスを捕まえて厳しい取り調べを行います。

ヴィンセントは届けられたアレックスが手に入れたUSBを証拠にジェラルドに報告して彼の身柄をFBIに移すよう頼みますが警察に任せろと言われ、ダヴァとの癒着を示唆されます。
病院に搬送されたアレックスに面会したヴィンセントは、彼からダヴァナが自分とマウリシオを雇ってエリスとベアトリスを殺すよう指示したことを証言すると言われます。しかし彼はエリスとダヴァナの電話音声が録音されているフラッシュドライブの隠し場所を忘れてしまっていました。

ダヴァナの主治医ジョゼフ・マイヤーズは、彼女に脅迫されアレックスを殺そうと病室に侵入しますが、逆に彼の人質にされます。警察に包囲される中、病院を出てきますが、スナイパーに狙撃されますが、それは服を取り替えさせられたマイヤーズでした。その隙をぬってヴィンセントと接触したアレックスは彼にフラッシュドライブの隠し場所のヒントを与えてから自ら撃たれて死亡します。

彼が隠し場所を思い出したことに気付いたヴィンセントは、パン屋の看板に隠されたフラッシュドライブを入手し、司法省のアンディ・ヴィラロボスに提出しますが、はなからダヴァナを起訴するつもりのないアンディは、証人のアレックスが死亡しているし、ダヴァナが大金持ちの権力者だから勝訴できないと暗に揉み消しを伝えます。
失望したヴィンセントが怒りの声を上げると、停職処分になります。

失意のヴィンセントをバーに誘ったリンダ。
その同じ夜。自宅で寛いでいたダヴァナが背後から現れた男に喉を切られ殺されました。バーにダヴァナ殺害事件のニュース速報が流れると、リンダがスペイン語で祈り始めます。それを聞いたヴィンセントはリンダがアリバイ作りのために誘ったと気付きます。
アレックスの遺志を引き継いでダヴァナを裁いたのはマルケスでした。証拠の衣類を燃やし凶器を捨てたマルケスは、車でどこか遠くへと去って行きました。マルケスにも過去の悲惨な事件を立件できなかったトラウマが描かれていました。だからこそ人身売買の黒幕が野放しになることが許せなかったのでしょう。

アルツハイマーの症状が刻々と進行し、証拠の隠し場所を忘れ、撃針の入れ忘れという致命的なミス をしてしまう殺し屋・・・それでも自分の命をかけて「正義」の裁きを下すという悪人だけどカッコイイ生き様を魅せてくれました。😁 

ちなみにアレックスが服用している「ラッパスイセン」はレミニールという成分が軽度から中程度のアルツハイマーの治療薬 なんだそうな😲 

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グランツーリスモ

2024年03月03日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年9月15日公開 アメリカ 134分 G

世界的大ヒットのドライビングゲーム「グランツーリスモ」のプレイに夢中なヤン・マーデンボローアーチー・マデクウィ)。父親からは「レーサーにでもなるつもりか、現実を見ろ」とあきれられる日々。そんなヤンにビッグチャンスが訪れる。世界中から集められた「グランツーリスモ」のトッププレイヤーたちを、本物の国際カーレースに出場するプロレーサーとして育成するため、競い合わせて選抜するプログラム「GTアカデミー」だ。プレイヤーの並外れた才能と可能性を信じて「GTアカデミー」を立ち上げたダニー(オーランド・ブルーム)と、ゲーマーなんかが通用する甘い世界ではないと思いながらも指導を引き受ける元レーサーのジャック(デビッド・ハーバー)、そしてバーチャルなゲームの世界では百戦錬磨のトッププレイヤーたちがそこに集結。彼らが直面する、想像を絶するトレーニングやアクシデントの数々。不可能な夢へ向かって、それぞれの希望や友情、そして葛藤と挫折が交錯する中で、いよいよ運命のデビュー戦の日を迎える――。 (あらすじ紹介より)


日本発のゲーム「グランツーリスモ」から生まれた実話をハリウッドで映画化したレーシングアクション。監督は「第9地区」のニール・ブロムカンプ。実在のヤン・マーデンボローがスタントドライバーとして参加している。(映画.comより)

このゲームの存在は本作で初めて知りました。
実際のレース同様の体感ができるとはいえ、現実のレーサーは加速でかかる体の負担や精神面での駆け引きなど、タフでなければ生き残れない世界だと思います。

欧州日産のマーケティング担当役員のダニーは日産本社でプレゼンテーションしてゴーサインを貰ってトレーナーを探し始めますが、ゲーマーからドライバーという計画の無謀さとリスクに引き受け手が現れず難航します。そこに名乗りをあげたのがチーム・キャパでソリが合わずに喧嘩して辞めたジャック・ソルターです。
ヤンたちレーサー候補はジャックの厳しい指導を受け、彼が失格と判断した候補は次々即脱落していきます。
家の中でゲームばかりしていたヤンも、実際のレースカーに乗るために想像を絶するトレーニングをしなければなりません。彼が音を上げずに頑張れたのは子供の頃から本物のレーサーになるという夢を持っていたからでしょう。最終選考レースで、ヤンは父が昔所属していたフットボールクラブのステッカー(ツバメ?)をゲン担ぎにヘルメットに貼ってレースに挑み、マティ(ダレン・バーネット )とトップを争い優勝します。

オーストラリアでのデビュー戦でいきなり4位入賞(FIAライセンス取得条件)かと思われた矢先、競争相手に妨害を受けて順位が後退してしまいます。諦めず世界中でレースを続け少しずつ順位を上げていき、あと一歩のところでチーム・キャパのドライバー・ニッキー(ヨシャ・ストラドフスキー )に邪魔されますが、最終レースのドバイで後がない状態のプレッシャーの中、ニッキーをかわして4位でゴールしたヤンはFIAライセンスを手に入れます。

恋人のオードリーと来日して日産と正式契約をかわしたヤンは、本物のレーサーとして順調にレースをこなしていきましたが、ドイツ・ニュルンベルクでのレース中に、坂でコントロールを失い激しいクラッシュを起こします。この事故で観客が亡くなったことを知ったヤンは罪悪感に苛まれます。ジャックはヤンを車に乗せ事故現場に連れていくと、自らの過去(他のドライバーの事故に巻き込まれたことが原因でレーサーを辞めた)を告白します。ヤンが後悔からその才能を諦めないよう助言したのですね。ヤンはハンドルを握りラップを完走します。

死亡事故を起こしたことで本社から撤退を仄めかされたダニーは、起死回生を狙ってル・マン24時間レースの参加を表明し、アカデミー生だったマティとアントニオを加えた3人で24時間のレースに臨むことになります。

レース当日、父スティーヴ(ジャイモン・フンスー )からの激励を受けたヤンは勝利に向けて奮起しますが、目の前で起きたクラッシュを見てドイツでの事故の恐怖が蘇りパニックになります。ジャックはヤンが好きな音楽をマイク越しに流し、冷静さを取り戻したヤンは順調に順位をあげていきました。
不調のアントニオの分もカバーし残り一時間を切る中、ゲームの中で幾度も走ったル・マンのレースを頭の中で思い描いて次々とライバルを抜いていったヤンは、二位を走るニッキーを捕らえ、最後のコーナーで追い抜いてゴールします。

家族やチームメイトと共に勝利をかみしめるヤンを観衆の大声援が包んでいました。

ジャックの過去や、ヤンの夢を現実的ではないと否定していた父が息子を認めるエピソードも挿入され、師弟愛や家族愛といった要素もありました。

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アステロイド・シティ

2024年03月02日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年9月1日公開 アメリカ 104分 G

時は1955年、アメリカ南西部に位置する砂漠の街、アステロイド・シティ。隕石が落下してできた巨大なクレーターが最大の観光名所であるこの街に、科学賞の栄誉に輝いた5人の天才的な子供たちとその家族が招待される。
子供たちに母親が亡くなったことを伝えられない父親、マリリン・モンローを彷彿とさせるグラマラスな映画スターのシングルマザー──それぞれが複雑な想いを抱えつつ授賞式は幕を開けるが、祭典の真最中にまさかの宇宙人到来!?この予想もしなかった大事件により人々は大混乱!街は封鎖され、軍は宇宙人出現の事実を隠蔽しようとし、子供たちは外部へ情報を伝えようと企てる。果たしてアステロイド・シティと、閉じ込められた人々の運命の行方は──!?(公式HPより)


ウェス・アンダーソン監督が、砂漠の街に宇宙人が到来したことから巻き起こる大騒動を独特の世界観で描いたコメディ。(映画.comより)

アメリカ南西部、人口87人の“架空の町”アステロイド・シティが舞台です。赤茶けた岩山やサボテンが点在する荒野が広がる中、隕石が落下してできたクレーターが唯一の観光名所という町は、舞台の書き割りの絵のようでいかにも架空っぽさを醸し出しています。町の郊外では核実験が頻繁に行われていてキノコ雲も登場し、1950年代のアメリカとソビエト連邦が核開発競争を繰り広げていた冷戦時代を思わせます。

緑色の宇宙船から降りて来る宇宙人はグロテスクなETというよりどこか人間臭さがあって可愛くも見えました。
 
天才的な発明を成し遂げた子どもたちを表彰する科学賞のセレモニーに招かれた5家族。戦場カメラマンのオギー(ジェイソン・シュワルツマン)は息子と3人の娘を連れてモーテルに泊まっています。向かいにはシングルマザーで(マリリン・モンローを連想させる)有名女優のミッジ(スカーレット・ヨハンソン)がいました。妻を亡くしたオギーとミッジの出会いです。
オギーが子供たちに妻の死を伝えられていなかったのも、彼が妻の死を受け入れられていなかったからと思われます。義父のスタンリー(トム・ハンクス)は退役軍人で、孫たちは愛しているけれどオギーにはあまり好意を抱いていない様子。彼もまた娘の死を受け入れられていないようです。

冒頭や途中途中でTV番組のホスト(ブライアン・クランストン)がアステロイド・シティは番組のために制作された架空のドラマだと語ります。基本的には劇中劇はカラー、メイキングは白黒で表現されています。
その中で、劇作家(エドワード・ノートン)が突然亡くなる事態となり、オギーを演じている役者が物語と自分を重ねて自暴自棄になり、トースターに手を乗せる突飛な行動をしてしまいます。
演出家に悩みを相談して説得されますが納得できずに外の空気を吸いに出た彼は妻役の女優(マーゴット・ロビー)と出会って会話したことにより最後まで演じようと決心します。

宇宙人が現れたことで、政府はこの町を閉鎖し情報を漏らさないようにします。しかし天才児たちが情報を世界に発信してしまったことで軟禁は解かれるという展開です。宇宙人がなぜ隕石を持ち帰り再び返したのかなど、よくわからない点もあるけれど、そもそもこの話の展開自体が難解なんだよな~😞 
「アステロイド・シティ」でオギーが目を覚ますと、滞在していた人々の殆どが町を去っていて、オギーたちも町を出ようとします。その際娘たちが埋めた妻の遺骨を再び持ち出そうとして娘たちに反対されますが、このエピソードもよくわからなかった😓 彼らが町にやってきた時に訪れたダイナーで食事をするシーンで終わります。

途中何度か寝落ちしながら最後までなんとか視聴しましたが、難解な作品は苦手だ~!

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こんにちは、母さん

2024年02月24日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年9月1日公開 110分 G

大会社の人事部長として日々神経をすり減らし、家では妻との離婚問題、
大学生になった娘・舞(永野芽郁)との関係に頭を悩ませる神崎昭夫(大泉洋)は、久しぶりに母・福江(吉永小百合)が暮らす東京下町の実家を訪れる。「こんにちは、母さん」しかし、迎えてくれた母の様子が、どうもおかしい...。割烹着を着ていたはずの母親が、艶やかなファッションに身を包み、イキイキと生活している。おまけに恋愛までしているようだ!
久々の実家にも自分の居場所がなく、戸惑う昭夫だったが、お節介がすぎるほどに温かい下町の住民や、これまでとは違う“母”と新たに出会い、次第に見失っていたことに気付かされてゆく。(公式HPより)


山田洋次監督が吉永小百合を主演に迎え、現代の東京・下町に生きる家族が織りなす人間模様を描いた人情ドラマ。同じく山田監督と吉永主演の「母べえ」「母と暮らせば」に続く「母」3部作の3作目にあたり、劇作家・永井愛の戯曲「こんにちは、母さん」を映画化した。(映画.comより)

いわゆる下町の人情もので、家族の形が変化するなかで、受け継がれていく親子の絆が描かれます。

昭夫は大会社の人事部長で世間的には勝ち組ですが、その実、人事問題で神経をすり減らす日々を送っています。妻とは別居中で離婚話が持ち上がっており、大学生のひとり娘・舞との関係にも頭を悩ませています。

ある日、同僚で大学時代からの親友・木部(宮藤官九郎)に頼まれ、昭夫は大学の同窓会の場所を母・福江に相談するために久しぶりに実家を訪ねます。実家は東京・隅田川沿いの下町で、昭和感の残る家が立ち並ぶ向こうにスカイツリーが見える向島にあり、母は足袋職人だった亡き父の後を継いで足袋屋を営んでいます。

「こんにちは、母さん」と実家の暖簾をくぐった明夫を笑顔で迎えてくれた母は、エプロン姿で髪も染めていて とても若やいで生き生きとして見えました。相談をしようとした矢先、幼馴染の番場百惠(枝元萌)や 琴子 (YOU)ら近所の人たちが次々やってきます。母は昭夫に、こらからホームレスに物資を支援するボランティア団体「ひなげしの会」の会議があり、夜には配給支援に行くと話します。遅れて荻生牧師(寺尾聰)もやってきて挨拶を交わします。

夜にホームレスを訪ねて弁当や飲み物を差し入れをして回る中、福江と萩生は高架下で寝泊りしているイノ(井上)さん(田中泯)に声をかけます。生活保護を受け屋根下で暮らすよう説得する二人ですが、行政嫌いのイノさんは拒絶します。イノさんは萩生には無言ですが福江とは会話するのね。😁 

久々の実家にも居場所がなく早々に自宅に帰ってきた昭夫に、妻から電話がかかってきます。一緒に暮らしている筈の舞が帰っていないことを知らされ母の家を再訪した昭夫は、舞が母と仲良く暮らしているのを目にします。家出の理由を母に過小評価されたことと明かした舞は、鍵をかけずに近所の人の出入りのある下町の暮らしが気に入っていると話し、おばあちゃんは好きな人がいるようだと言いました。驚いて「これ以上、悩みのタネを増やすな」と怒鳴った昭夫に、「どうしてだめなの?」と舞は不思議そうです。

会社では早期退職者を募っていて、昭夫は人事部長として早期退職を促された社員の離職手続きをしていました。ある日木部がやってきてリストに自分が入っているのにどうして話してくれなかったのかと責め、絶対辞めないと宣言します。休日、百恵や琴子もいる中、昭夫を探して実家に押し掛けてきた木部と口論し取っ組み合いの喧嘩になります。この時、昭夫が妻と別居中なことや会社での立場を母たちは知ることになるのね。
昭夫は木部のために退職金の上乗せや次の勤務先の調整もしていましたが、木部は会社に居座り続けました。

福江は萩生に恋をしていました。教会で説教を聞いた後、椅子の修繕を手伝い買い物も付き合います。その途中、沢山の空き缶を自転車に積んで引いて歩いているイノさんを見かけ、フラフラと倒れてしまった彼を介抱します。イノさんは萩生が福江の夫だと勘違いしていました。

足袋を縫うミシンで萩生の上履きを作っているのを見た舞は祖父との馴れ初めを聞きます。戦争孤児で中学しか出ていない祖父との結婚は反対されたと言いますが、足袋の採寸する祖父の手の感触でこの人と結婚すると直感したと聞いて舞は感動します。
この時の会話で、「おばあちゃんは萩生さんにいつ告白するの」と聞いた舞に「言われるまで待つの」と答える福江の表情はまさに恋する乙女です。😘 

舞から母が萩生に恋をしていると聞き呆れて思わず「やめてくれよ!」とぼやく昭夫。母からは妻に好きな人がいるようだと聞かされ更に気持ちが落ち込みます。仕事や家庭の悩みが募り気持ちに余裕がなくなっていきますが、荻生が宣教師になった理由を聞き、彼が自分と同じ悩みを抱えていたことを知ります。荻生は「彼はまだ若い、これからいくらでも新しい挑戦ができる」と昭夫のことで悩む福江を励ましました。

数日後、木部が呼ばれていない営業会議に乱入して上司に怪我をさせたと聞いて慌てて駆けつけた昭夫は、木部から事情を聞き、事故だと知ります。追い出されそうになってドアを閉めた時に上司の腕が挟まってしまったというのです。

荻生からピアノリサイタルに誘われた福江は着物を着て出かけます。
リサイタルの後、カフェでお茶をしながら水上バスに乗るのが夢だと語る福江の希望を荻生は叶え、幸福感に包まれて帰宅した福江に、荻生は故郷の北海道の教会に赴任することを告げ、誰かの口から伝わる前に伝えたかったと言って帰っていきました。

帰宅した舞は、灯りも点けずに着物のままテーブルに突っ伏している福江を見て心配しますが、ボランティアで知り合った学生とご飯に行くという舞に、福江は大丈夫と答えます。

事件後、懲戒解雇が決まった木部の処遇に苦しむ昭夫がモヤモヤした気持ちを抱えながら言問橋を通りかかると、酔っぱらったイノさんが話しかけてきます。彼は東京大空襲の時の話を始め、川に飛び込もうとして警官に止められます。イノさんは川に飛び込んで戦火を逃れ生き延びたのでした。

人事部長権限で木部を依願退職扱いとし、再就職先を与えたことで、昭夫は久保田常務(田口浩正)に呼び出され責任を問われクビになります。彼は常務に「もう疲れた、自分には合わなかった」と自ら辞めたのです。
木部に感謝され、部下の女性から憑き物が落ちたような穏やかな顔になっていると言われた昭夫は気持ちが晴れ晴れとしているのを感じます。

木部は過去にも昭夫に助けられています。この時はラブレターの代筆で妻を射止めたのですが、その彼女のことを昭夫も好きだったの。リストラの話を素直に受けていれば昭夫も苦労せずに済んだのに迷惑をかけた挙句に自分は再就職できてるし、個人的には友達にしたくない奴だけど、そういう男と長年付き合ってきた昭夫の根は優しく情の篤い人間性を示すエピソードになっているんですね。😌 

萩生が教会を去る日。信者やひなげしの会のメンバーが見送りに集まる中、福江は車に乗り込んだ荻生に手作りの弁当を手渡しながら思わず「私を北海道に連れてって」と言いますが、すぐに冗談と誤魔化しました。福江の思いを知る百恵は助手席の荻生に「福江さんは本当に先生のことが好きだった」と泣きながら訴えました。
(全く男って奴はどうしようもなく鈍いんだよな~~)

舞から福江が失恋したと聞いて実家を訪ねた昭夫は、夕飯の支度もしないで酒を飲んでいる母をみます。
木部から先日のお詫びにと預かってきた佃煮を渡す昭夫に、福江は「こんな蓋も開けられなくなった」と寂しそうに呟きます。
二人で酒を飲みながら、福江は死ぬことは恐くないけれど動けなくなって何も出来なくなるのが不安だと言いました。
昭夫は離婚届に判を捺して送ったことを話し、舞とこの家に戻ってきてもいいかと聞きました。それを聞いて福江は落ち込んでなんていられないと俄然元気を取り戻します。

外から花火の上がる音がししてきます。その日は隅田川の花火大会で昭夫の誕生日でもありました。庭に出た福江は昭夫が生まれた日も花火大会で、まるで誕生を祝っているように感じたと話し懐かしみます。新しい生活のスタートを祝うかのように大輪の花が夜空に打ち上がり輝いていました。

無口な父親とソリが合わずに家を出た昭夫は煩いくらいにお喋りで演じている大泉さんに重なります。😁 その娘である舞も容姿は母似のようですがお喋りなところは父とよく似ていました。

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怪物

2024年02月23日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年6月2日公開 125分 G

大きな湖のある郊外の町。息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、そして無邪気な子どもたちが平穏な日常を送っている。そんなある日、学校でケンカが起きる。それはよくある子ども同士のケンカのように見えたが、当人たちの主張は食い違い、それが次第に社会やメディアをも巻き込んだ大事へと発展していく。そしてある嵐の朝、子どもたちがこつ然と姿を消してしまう。(映画.comより)


是枝裕和監督、脚本家・坂元裕二によるオリジナル脚本で描くヒューマンドラマ。音楽は坂本龍一。

ある事件が、登場人物である湊の母・早織、担任の保利、湊の視点で繰り返し描かれます。その中で徐々に全体像=真実が浮かび上がっていくのです。

早織(安藤サクラ)はクリーニング店で働きながら一人息子の湊(黒川想矢)を育てているシングルマザー。最近息子の様子がおかしいことに気付きます。靴の片方を失くしたり、水筒に泥土が入っていたり・・ある日耳に怪我をして帰ってきた息子に理由を聞くと、担任の保利先生(永山瑛太)にやられたと言う答えが返ってきます。他にも暴言や、殴られたり給食を食べさせて貰えなかったとか・・・学校に話しを聞きに行くと、校長(田中裕子)や教頭、保利が形ばかりの謝罪を繰り返し頭を下げるばかり。心ない謝罪の不気味さに、早織は校長に「わたしが話しているのは人間?」と詰め寄ります。全く誠意を感じさせない人間味の無い学校側の対応を見ているとこちらまでキレそうになりました。
後日、保利から湊が星川依里(柊木陽太)という児童を苛めていると言われ、星川家を訪ねた早織は、依里本人から否定されます。この時の依里の様子が何となく変と感じたら・・・
早織は保利を辞めさせるよう学校に訴えます。マスコミも「事件」を書きたて、解決したようにみえたある嵐の夜、湊は忽然と消えます。

転職し小学校に勤め始めた新任教師の保利は、子供たちに馴染もうと努力をし、子供たちも慕ってくれていると思っていました。
ある日、教室で物を投げて暴れている湊を止めようとした保利の手が湊の顔にあたってしまいます。依里が上履きを隠されたりトイレに閉じ込められたりしていたのを目撃していた保利は、湊が依里を苛めているのではと疑います。
ある日、早織が学校に乗り込んできて、身に覚えのない非難を受けます。
校長たちから場を納めるためにとりあえず認めて謝罪しろと指示され頭を下げたものの、遂には学校を辞めさせられ、家にはマスコミが押し掛けてきて彼女(高畑充希)にも距離を置かれてしまいます。
無職になった彼は、週刊誌の誤植を見つけて鬱憤晴らしをしていました。持ち帰っていた子どもたちの作文が何となく目に入り、たまたま依里の作文を添削しているうち、隠されていた湊と依里の関係性を示すトリックに気付いた彼は、思わず湊の家に向かいます。

クラスでは依里への苛めがありました。庇うと自分に矛先が向くことを恐れた湊は依里に距離を置いていましたが、学校の外では依里と仲良くしていました。依里は湊の知らない色んな事を教えてくれました。廃線した鉄道跡地に残されていた車両を秘密基地にして宿題をしたり怪物ゲームをしたりして過ごす時間は誰にも邪魔されない二人だけの世界です。毎日のように秘密基地で過ごすうち、湊は依里が父親に虐待されている事に気付きます。
祖母と暮らすことが決まり転校すると告げられた湊は、嵐の日に依里の家を訪ねます。そこで父親から虐待され浴槽に放置された様子の依里を見つけて二人で秘密基地へ向かいました。
湊が依里に感じていたのはある種の恋愛感情です。依里もまた唯一自分を肯定してくれる湊に好意を抱いていました。二人はただ一緒にいたかったのです。
でも大人たちの無意識な言葉が子供たちを傷つけます。早織は湊が結婚して家庭を持つことを望み、保利はいつも「男だろ」「男だから」と男らしさを求めてきます。依里の父親(中村獅童)は依里の性的指向を「普通じゃない、豚の脳だ」と決めつけていることに気付いてしまった湊は自分もそうなのではないかと思い詰めるのです。
早織に向かって「湊の脳は豚の脳なんだ!」というシーンにはそういう湊の追い詰められた状況を表していたのですね。

子供たちを探して早織と保利は秘密基地(車両)を覗きますが、二人の姿はありません。場面は変わり、湊と依里が車両を出て鉄道跡地のトンネルを抜けるとそこは光が降り注ぐ青空の草原です。泥だらけの二人が笑顔で駆け出す姿で物語は幕を閉じます。
この結末をどう捉えるかは観る者の子供たちは嵐で起きた土砂崩れに巻き込まれてしまったのか、ラストシーンは彼らが「安息の地」に旅立ったことを意味するのか。それとも単に嵐の翌朝なだけか・・・

「怪物」とは何だったのか。
早織にとっての怪物は、事なかれ主義で上辺だけの謝罪を繰り返す学校の教師たちであり、保利にとっての怪物は、一方的に責め立ててくる早織、意見すら言わせてもらえずにただ謝罪しろと要求する校長や教頭、湊の行動そのものです。そして湊にとっての怪物は自分自身だったのです。

初め、早織の視点で彼女に強く共感していた気持ちは、保利の視点に移った途端に揺らいでいきます。更に湊の視点で見ていくと、大人は何もわかっていなかったんだと気付かされます。それぞれ自分の見たこと、感じたことが全てだと信じていますが、それが本当に正しく真実なのかは、立場によって全く異なるのです。子供たちは大人の何気ない言動に傷つき自分自身を追い詰めていったのだと感じました。

個人的には校長が一番不気味だったかな。😩 孫を轢き殺してしまったのは彼女の夫ではなく、実は彼女自身でしたが、立場を守るために夫が身代わりになっているようです。学校で起こった問題に対しても事なかれ主義を徹底し、保利に全ての責任を負わせて平気な様子。スーパーでは騒いで駆け回る子供の足をさり気なく引っ掛けて転ばせているし・・こわっ!😱 
でも、湊が抱える苦しい思いを楽器を使って吐き出す術を教えてくれるのも彼女なの。田中裕子がすべてを諦めているような虚無感が漂う怪演で魅せてくれました。

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ハンターキラー 潜航せよ

2024年02月21日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2019年4月19日公開 イギリス 122分 G

ロシア近海で1隻の米海軍原子力潜水艦が消息を絶ち、捜索に向かったジョー・グラス艦長(ジェラルド・バトラー)率いる攻撃型原潜「ハンターキラー」は、現場付近に沈んでいたロシア原潜の生存者を捕虜にする。同じ頃、ロシア国内で世界を揺るがす陰謀が企てられていることが判明。ハンターキラーに陰謀阻止のための過酷なミッションが下される。その任務を達成するには、絶対不可侵のロシア海域へ潜航せねばならず……。(映画.comより)


小説家ドン・キースと米海軍潜水艦の元艦長ジョージ・ウォレスによる小説が原作。

ロシア近海で姿を消した米海軍原子力潜水艦タンパ・ベイ の捜索に、攻撃型原子力潜水艦アーカンソー“ハンターキラー”が向かいます。艦長ジョー・グラスは士官学校出ではない現場での実力だけで艦長まで上り詰めた男です。

海底に沈んでいるロシア原潜を発見しますが、艦は内部からの爆発で穴が開いていました。タンパ・ベイの攻撃によるものではないと考える中、ハンターキラーに気づいたロシアの潜水艦ヴォルコフの攻撃を受け、これを迎え撃って沈めます。その後、沈んでいるロシア原潜から音がしている事に気付いたグラス艦長は、原潜から3人のロシア人生存者を救出し捕虜とします。その中には原潜のアンドロポフ艦長 (ミカエル・ニクヴィスト)もいて、彼らはタンパ・ベイが攻撃してきたと信じていました。

ペンタゴンの作戦指令室では、統合参謀本部議長チャールズ・ドネガン(ゲイリー・オールドマン )指揮のもと、ネイビーシールズ精鋭部隊長ビル(トビー・スティーヴンス)率いる4人のチームがロシアで極秘偵察ミッションにあたっていました。
彼らはロシア国防大臣ディミトリ・ドゥーロフ( ミハイル・ゴア )がクーデターを起こしてザカリン大統領を拘束し部下たちを殺す現場を目撃します。報告を受けたドネガンは、ドゥーロフがアメリカとロシアの間で戦争を起こそうとしていると考え、これを迎え撃とうとします。これに反対する海軍の作戦を監督するジョン・フィスク少将(コモン)は、ロシアの国家自体が戦争を望んでいるのではなく首謀者はドゥーロフ1人だと考え、戦争を阻止するためザカリン大統領の救出をビルたちとハンターキラーに命じます。

グラス艦長は、海中をロシア船に気付かれないよう進むために、ロシアの海を知り尽くしているアンドロポフ艦長に協力を求めます。ロシア原潜がタンパ・ベイの攻撃ではなくドゥーロフが仕掛けた爆弾で内側から爆発していた証拠写真を見せられ、ロシアで今起きている状況を理解したアンドロポフ艦長は道案内を承諾し、ハンターキラーは機雷源を避けてロシア軍に察知されず移動する事に成功します。
この道行がなかなかスリリングでした。2人の艦長が国を超えてひとりの人間として互いに敬意を払い信頼して協力する姿はけっこう感動させられます。敵であるアンドロポフ艦長や、大胆過ぎるグラス艦長に不信感を抱いていた部下たちも次第に彼らを信頼していくのは、やはり2人の人間性によるものでしょうか。😀 

大統領救出ミッションにあたる中、新人スナイパーのマルティネリ隊員(ゼイン・ホルツ )が負傷します。彼を残して突入しようとした3人は、撃たれて海中に投じられた大統領の部下オレク( ユーリー・コロコリニコフ )と遭遇し、オレクも作戦に加わるんですね。目的のために手を組むわけ。😁 
救出は銃撃戦となり、大統領を何とか救出したものの、ホール隊員(マイケル・トルッコ)とオレクが犠牲になります。海岸でドゥーロフの部下の攻撃を受け絶体絶命かと思われた時、森に姿を隠していたマルティネリが応戦し、海中を泳いで救難艇に向かいますがジョンストン隊員(ライアン・マクパートリン )も被弾して失います。ビルは大統領を艇に乗せるとマルティネス救出に戻ります。森で敵に囲まれたマルティネスを助け出し、負傷した彼をかついで脱出するビル!カッコ良すぎ😍 彼らもまた強い信頼関係で結ばれていることがわかるエピソードです。(その意味では大統領を守り抜いたオレクも同じかな。)

ドゥーロフは駆逐艦ヤヴチェンコにハンターキラー撃沈を命令します。追い詰められたハンターキラーは海底の泥を舞い上げ着底。そこに魚雷が襲い掛かり大爆発が!

ハンターキラーにいるザカリン大統領の死は、ロシア大統領をアメリカが誘拐して死亡させたと受け取られて世界を敵に回すことを意味しています。事態は悪化し、米国北大西洋艦隊とロシア連邦海軍北方艦隊が睨み合います。

ハンターキラーは魚雷の直撃を免れていました。浸水し負傷者が出たものの、乗組員もザカリン大統領も無事でした。しかしハンターキラーの真上にはヤヴチェンコが迫り絶体絶命です。グラス艦長はアンドロポフ艦長にハンターキラーへの攻撃停止を指示するよう協力を求めます。ヤヴチェンコの乗員たちを自ら育て上げたという彼への部下たちの圧倒的な信頼と人望を信じての決断でした。この狙いは当たり、ヤヴチェンコは攻撃を中止し、ハンターキラーは浮上します。ザカリン大統領もまた攻撃中止の大統領命令を出します。

これを見たドゥーロフは、自らハンターキラーへの対艦ミサイル発射を命令します。
米軍司令部は、ザカリン大統領の命を守るためグラス艦長に対艦ミサイルへの攻撃を命令しますが、戦闘配置を指示したものの攻撃は躊躇します。(攻撃したら戦争の口火を切ることになるからですね)

ミサイルがハンターキラーを直撃する寸前でヤヴチェンコが対艦ミサイルを撃ち落とします。さらにドゥーロフのいるポリャルヌイ司令部にミサイルを打ち込んで壊滅させました。

クーデターは失敗し、戦争の危機は回避されました。
ザカリン大統領からヤヴチェンコがハンターキラーを守るとわかっていたのかと聞かれ、ただ願っただけと答えるグラス艦長。アンドロポフ艦長の人望を信じた彼の勝利ですね。共に部下からの深い信頼を勝ち得た者のみの篤い思いが伝わるラストです。
ハンターキラーはビルとマルティネリを乗艦させ帰路につきます。

アンドロポフ艦長役の俳優さんは本作が遺作になったそうですが、津川雅彦さん似のお顔と「宇宙戦艦ヤマト」の沖田艦長を思わせる重厚キャラでした。
グラス艦長の経験に裏打ちされた計算力と大胆な決断力も見所で、こんな上司なら命預けられると納得です。✌






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水は海に向かって流れる

2024年02月18日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年6月9日公開 123分 G

高校に入学した直達(大西利空)は、通学のため叔父・茂道(高良健吾)の家に居候することに。しかし最寄り駅に迎えに来たのは、見知らぬ女性・榊さん(広瀬すず)だった。しかも案内されたのはシェアハウスで、会社員の榊さん、親に内緒で会社を辞めマンガ家になっていた叔父の茂道、女装の占い師・颯(戸塚純貴)、海外を放浪する大学教授・成瀬(生瀬勝久)ら、くせ者ぞろいの住人たちとの共同生活が始まる。いつも不機嫌そうだが気まぐれに美味しいご飯を振る舞ってくれる榊さんにいつしか淡い思いを抱くようになる直達だったが、彼と榊さんの間には思わぬ過去の因縁があった。(映画.comより)


田島列島の同名コミックの実写映画化です。

偶然なのか必然なのか・・・直達が下宿した叔父の家(シェアハウス)には父・達夫(北村有起哉)が10年前にW不倫で駆け落ちした相手の娘の榊千紗が住んでいました。
千紗が高校生の時に起きた事だったので、彼女は事情を知っていますが、まだ子供だった直達は全く知らずにいるんですね。いつも不機嫌そうな彼女は、母親や達夫に怒りを抱いていますが、直達や茂道は不倫とは無関係と割り切っています。母親のことで恋愛に対する拒否感情があるようです。

ペンネームの「ニゲミチ先生」と呼ばれている茂道は、直達の母方の叔父で、姉(直達の母)に頭が上がらない様子。会社員を辞めて漫画家になったことも隠していました。😁 直達は不倫騒動の当時、母の実家に預けられていて、その時叔父に遊んでもらって懐いていたらしい。茂道は義兄の不倫騒動は知っていたと思いますが、相手が千紗の母とは知らなかったようです。

シェアハウスの同居人もどこか変わった人揃い。
泉谷 颯は占い師で、仕事のときは女装しています。妹の楓(當真あみ)は陸上部で直達の同級生。兄のところに遊びに来るうちに直達を好きになりますが、鈍感な彼は彼女の想いに気付いていません。😓 
もう一人の同居人・成瀬 は教授で旅が多い人。千紗の父・榊 謹悟の友人で千紗を子供の頃から知っています。

ミスター・ムーンライト(愛称:ムー)は、河原に捨てられていた猫で男子中学生たちから虐待されていたところを颯が救出しシェアハウスで暮らすようになりました。ムーの愛くるしい様子がともすれば重くなりがちな話を和らげる緩衝材になっていました。とにかく可愛いので癒しになります。

教授と千紗の話を聞いてしまった直達は、千紗の気持ちに寄り添いたいと思うようになります。千紗と父が鉢合わせしたことに焦る彼の様子に誰かが彼に話したのではと疑う千紗に、直達は会話を聞いてしまったことを明かします。
達夫は千紗の母が戻っていないことを知って、探偵に彼女の居場所の捜索を依頼し報告書を千紗に送ります。直達は千紗と一緒に千紗の母・紗苗(坂井真紀 )を訪ねることにします。

達夫は千紗に罪滅ぼしをすることで自分のことをちゃんとした人間だと思いたかったらしいのですが、そもそも不倫で駆け落ちする時点でちゃんとしてないし😡 千紗のためじゃなく自分の罪悪感を減らしたかったという身勝手な理由はクズの言い訳にしか思えませんでした(怒)直達の母は、そんな夫を許したわけですが、彼が再び千紗の母に連絡を取ろうとしていると知ると激怒します。当然だよな!!彼女は子供のために離婚を思い留まったのかも。

二人が出かけた後、達夫がシェアハウスにやってきます。その途中でトーテムポールのある家(シェアハウス)を探している男性に声をかけられて案内するのですが、彼は成瀬を訪ねてきた千紗の父・榊謹悟(勝村政信 )なんですね。互いに相手を知らないまま和やかに会話する二人の姿を見た成瀬、ニゲミチ、泉谷は気が気ではありません。(このエピソードはブラックユーモアですかね。)

紗苗は達夫と駆け落ちするも一年で破局していましたが、家には戻らず、現在は再婚し連れ子の美由と幸せに暮らしていました。実は千紗は、駆け落ち後に一度だけ姿を見せた紗苗に酷い言葉を投げつけたことで母が戻って来れなくなったのかもという後悔を抱えていました。
紗苗に恨み言をぶつけた千紗に「ごめんなさい」と謝られても気持ちが収まりません。丁度帰ってきた美由に母をいじめていると誤解された二人は家を出ますが、そこに千紗の父から電話がかかってきて「辛い思いをさせたな」と謝られます。

二人が気晴らしにレストランで豪華な食事をしていると、紗苗たち家族がやってきます。楽し気な様子にいたたまれず席を立った千紗を追いかけようとした直達を紗苗が呼び止め謝ります。直達はお金を要求し、渡された現金をその場で募金箱に入れました。以前父親にもお金を要求しその金で大量の卵を買って帰ったことがある直達。これが彼なりの抗議なのでしょう。😁 

バスを逃して旅館に泊まり、持ち帰ってきた料理を食べた二人。千紗の怒りはずっとオレが覚えてるという直達に「約束だよ」と千紗。
翌朝、砂浜で子どものようにはしゃいで水を掛け合う二人。何か吹っ切れたのかな。

千紗がシェアハウスを引っ越すと知り、学校を飛び出して家へ向かった直達は、千紗に想いを告白しますが、彼女の答えは「バッカじゃないの」。
千紗にとって直達は恋愛対象にはならないし、楓の直達への想いも知っているので、まぁ当然の反応ですが、それでも彼の思いは千紗にちゃんと伝わっているのだと感じるラストでした。

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ふたりのマエストロ

2024年02月13日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年8月18日公開 フランス 88分 PG12

パリの華やかなクラシック界でそれぞれ指揮者として活躍する父フランソワ(ピエール・アルディティ)と息子ドニ(イバン・アタル)。ある日フランソワのもとに、世界最高峰のミラノ・スカラ座の音楽監督への就任を依頼する電話が掛かってくる。ドニはライバルでもある父の成功を素直に喜べずにいたが、翌日、今度はドニがスカラ座総裁から呼び出しを受ける。実は就任を依頼されたのはドニで、父フランソワへの連絡は誤りだったのだ。父に真実を伝えなければならず葛藤するドニだったが……。(映画.comより)


イスラエルの映画「フットノート」を設定を変えてリメイクした作品で、指揮者の父子が最悪の依頼間違いをきっかけに互いの心と向きあう姿を綴ったヒューマンドラマです。

ドニの受賞する姿をテレビで見ていたフランソワはスイッチを消します。輝かしいキャリアを持つものの成功したとは言えない彼は、父を超える活躍をしている息子に微妙な気持ちを抱えていました。

ある日、オーケストラの練習をしていた彼にスカラ座でのオーケストラの指揮のオファーの電話がかかってきます。大喜びで帰宅したフランソワが、妻のや誕生日を祝いに来ていたドニに報告すると皆喜んでくれました。でも内心ドニは父に嫉妬していました。

ところが後日、ドニはスカラ座の総裁から呼び出され、秘書がドニと間違えてフランソワに依頼してしまったのでフランソワに間違いだったと伝えて欲しいと言われます。(いやいや、それはあんたの責任で伝えるべきだろ!!😡

ドニは喜び舞い上がっている父に言い出せずに手紙を書きますがこれも渡せずにいました。そんな父の様子を何かおかしいなと、高校生の息子マチュー(ニルス・オトナン=ジラール)が気付きます。この息子、祖父と父の間の緩衝材的存在でした。

同じくスカラ座に招聘されたソリストに挨拶に向かったドニは、フランソワと母ジャンヌ(パスカル・アルビロ)と鉢合わせをします。上機嫌でソリストに挨拶するフランソワに堪らなくなったドニはこっそりジャンヌに本当の事を伝えます。

ミラノへは行かないと言い出した妻の態度から真実を悟ったフランソワは、ドニの元を訪れ、全てをぶちまけます。ドニは妻の浮気で出来た子で、本当の息子ではなかったのね。😲 ドニも自分の想いの全てをフランソワにぶちまけ、父子は初めて本音をぶつけあいました。そこには指揮者としての在り方など共感し合うところもありました。

スカラ座の演奏会当日。客席にフランソワの姿はありません。
しかし最初の曲が始まると、舞台袖から指揮者の格好をしたフランソワが現れてドニの隣に立って指揮棒を振ります。初めは代わる代わるだった指揮はやがて一緒になり、戸惑っていた観客も大喜び。総裁秘書はこれも私のおかげと自慢気です。(だ~か~ら~お前が悪いんだぞ!って話。)

曲が終わり互いに抱擁し合った後、フランソワは舞台を降りドニは次の曲の指揮棒を振り上げます。

実際、二人の指揮者がいて演奏者は戸惑わないのか疑問も残りますが、音楽家として二人は指揮を通して互いを理解し尊重できたわけですね。

ドニは妻のエレーヌ(ミュウ=ミュウ)と離婚していて、バイオリニストのヴィルジニ(キャロリーヌ・アングラーデ)と暮らしているのですが、エレーヌは彼の仕事のマネージメントをしているようです。日本人ならドロドロの関係になりそうだけど、恋愛と仕事は別と割り切っているあたりはいかにもフランス映画という感じですね。😁 

作品の中で演奏されるクラシック音楽も聴きどころ。
・フランソワがオーケストラの練習で指揮するベートーヴェンの『交響曲第9番(Symphony No. 9)』 
・ドニが小澤征爾(鑑賞のタイミングで小澤の名前が出て来るとは😄 )が指揮するスカラ座の演奏を聴くシーンで流れるGiulio Cacciniの『Ave Maria』
・ ドニがスカラ座のソリストに招聘されたヴァイオリニストの演奏を聞くシーンでは、モーツァルトの『ヴァイオリン協奏曲第5番(Violin Concerto No. 5)』
・ そしてスカラ座で二人が指揮をするモーツァルトの『フィガロの結婚 序曲(The Marriage of Figaro Overture)』
・エンディングで流れたのはシューベルトの『セレナーデ(Serenade)』でした。


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MEG ザ・モンスターズ2

2024年02月07日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年8月25日公開 アメリカ 116分 G

潜水レスキューのプロ、ジョナス・テイラー(ジェイソン・ステイサム)は、海洋調査チームとともに地球でもっとも深いとされるマリアナ海溝へと潜り、人類未踏の約10キロの深海へと向かう。そこで彼らは謎の生命反応を探知し、触れてはならない恐怖を目覚めさせてしまう。それは見たこともない大きさとどう猛さで生態系の頂点に君臨する巨大ザメ=MEG(メグ)の群れと、さらなる巨大生物たちだった。それらはやがて深海からビーチにまで襲来し、テイラーたちは絶体絶命の危機に陥る。(映画.comより)


巨大ザメ「メガロドン=メグ」の恐怖を描いた海洋パニックアクション「MEG ザ・モンスター」の第2弾です。

5年後。テイラーは不法投棄船の取り締まりや海洋環境を守る仕事をしながら、海洋研究センター「マ・ナワン」社で海底調査に携わっています。亡きスーイン(リー・ビンビン)の弟ジウミン・ジャン(ウー・ジン)は、「マナ・ワン」を引き継いで海底調査用のパワードスーツの製作などを手がけています。成長したスーインの娘のメイイン(ソフィア・ツァイ)は、親代わりのテイラーと叔父のジウミンに危険だからと潜ることを許可されず不満を感じています。幼魚からメグのハイチを育て躾けてきたジウミンにテイラーは「メグは人に懐かない」と懐疑的です。

さらなる海洋研究のため、大富豪ヒラリー・ドリスコル(シエンナ・ギロリー)と提携し資金援助を受ける中、二隻の潜水艇に乗り海底調査に向かったテイラーとジアミンでしたが、こっそり忍び込んでいたメイインに気付いたテイラーは引き返そうとします。しかし他の乗組員に説得されそのまま調査を続けることになった彼らの前に超巨大メグが現れます。その中にハイチの姿もありました。ライトを消しメグにばれないよう追跡するとマナ・ワンのものではない海洋ステーションを発見します。

ジウミンの技術を利用して密かに海底の資源を採掘していたドリスコルは、それを隠すために部下のモンテス(セルヒオ・ペリス=メンチェータ)に採掘現場の爆破を命じ、爆破に巻き込まれたテイラーたちの潜水艇が故障します。救援ボートも何者かに壊されていました。
マック(クリフ・カーティス)とDJ(ペイジ・ケネディ)は、マナ・ワン内部の裏切者を探し出そうとします。

テイラーたちは、パワードスーツを着用し海底ステーションに歩いて向かいますが、途中で正体不明の生物に襲われ、1人が亡くなり、トカゲ恐竜のような生物を撃退するために撃った銃の明かりでメグに気付かれ何とかステーションに辿り着きますが、もう1名犠牲者が出ます。
脱出ポッドを探して研究所のジェス(スカイラー・サミュエルズ)と通信が繋がりますが、彼女こそが裏切者でした。絶体絶命の窮地をテイラーが身を挺して救い、襲ってきたモンテスを振り払って海上浮上した一行は、マックとDJ と合流し、ボートで脱出します。

爆発で出来た穴からメグたちがやってきて、研究所の耐久ガラスを過信したジェスを飲み込み、テイラーたちを追ってきたドリスコルの部下 たちも襲われます。その隙に近くのリゾートアイランドに逃げ込んだテイラーたちは、観光客に危険を呼びかけますが相手にされません。そこにメグたちが現れ、陸ではトカゲ恐竜が人々を襲い始めます。(冒頭でこの恐竜がティラノに食われ、そのティラノがメグに食われる「食物連鎖」が描かれ、頂点にメグが置かれていることが示唆されていました)

テイラーは爆弾を付けた銛でメグに対抗しようとします。
海中からは巨大なタコ(クラーケン?)も現れ、テイラーに恨みを持つモンテスと三つ巴の戦いになるのが作品の山場です。サメVSタコ
も見所の一つかも。クラーケンって西洋人には悪魔的存在なんだなぁと再確認です。

巨大メグを沈めたテイラーとジウミンの前にもう一つの巨大な影が迫りますが、それがハイチだと気付いたジウミンが合図を送るとハイチは向きを変えて去っていきます。通じ合ってると喜ぶジウミンにテイラーは「イルカの群れを追っていっただけ」と答えました。

超巨大なメグを銛の数本で仕留めるというありえね~展開は今作でもパワーアップして展開され、ワンちゃんまたしても無事だし😜 
深海から浮上する際の圧力対策も無視、そもそもそんな圧力に耐えうるパワースーツ自体がフィクションだしなぁ😞 
とまぁ、突っ込んだら楽しめないので、そこはまるっと置いといて、純粋にステイサム様の雄姿を楽しみたいと思ったのでした。😁 

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古の王子と3つの花

2024年02月06日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年7月21日公開 フランス=ベルギー 83分

第一話「ファラオ」
クシュ王国の王子はナサルサとの結婚を認めてもらうため、エジプト遠征の旅に出て、神々に祈り祝福されながら戦わずして国々を降伏させ、上下エジプトを統一、最初の黒人ファラオとなり、無事ナサルサと結ばれる。

第二話「美しき野生児」
 中世フランスの酷薄な城主に追いやられた王子は、地下牢の囚人を逃がした罪で森に追放されるが、数年後美しき野生児として城主に立ち向かい、お金持ちから富を盗み貧しい人々に分け与え囚人の娘と結ばれる。

第三話「バラの王女と揚げ菓子の王子」
モロッコ王宮を追われた王子はバラの王女の国へと逃げ込み、雇われたお店の揚げ菓子を通じて国から出た事がない王女と出合い、2人は秘密の部屋で密会し、宮殿を抜け出し自分たちで生きていくことを決意する。
 (公式HPより)


「キリクと魔女」のアニメーション監督ミッシェル・オスロが、異なる都と時代に生きる3人の王子が知恵と勇気で自らの運命を切りひらいていく姿をエキゾチックな映像美で描いたアニメーション作品です。

せがまれて3つのお話をするという形で始まりますが、話の継ぎ目や語り終えた後に何かあるわけではなかったです。どの話も親の束縛や伝統への反発が盛り込まれていました。😁 

「ファラオ」は娘の母である王妃から結婚を反対された王子がエジプトに向かう途中途中での善行が神や現地民に認められ慕われて無益な戦いをせずにファラオになって愛するナサルサと結ばれるお話です。王妃は娘が結婚することで自分の権力を喪うことを恐れて王子に難題を吹っ掛けたのです。娘に対しても女が文字を覚える必要はないとか魚を獲るなど王女のやることではないとか文句をつけて彼女の行動を制限しようとします😔 王子は持ち前の勇気と優しさで、王女は彼を信じる心を持ち続けて二人は結ばれるのでした。

「美しき野生児」の王子の父王は強欲で我が子にも冷淡な悪人として描かれます。
囚人を逃がした息子に対して死罪を言い渡すなど父親としてあり得ね~😡 
王子に同情した家来は彼に食べ物や武器を与えて森に逃がします。成長した王子は義賊となり、王に反旗を翻した公爵(王子が逃がした囚人)に協力し、彼の娘と結ばれるのです。

「バラの王女と揚げ菓子の王子」では、謀反で国を追われた王子が、かつて肖像を貰ったバラの王女の国に行きます。揚げ菓子職人の弟子になった彼の作った揚げ菓子が縁で王女と恋に落ちます。父王にバレて処刑されそうになりますが、抜け道を通って逃げ出した二人は隊商に紛れて国を出ます。盗賊から隊商を守り感謝された二人は豪華な衣装と宝石を身につけて旅を続けます。

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キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩

2024年01月29日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年7月7日公開 ウクライナ=ポーランド 122分 G

1939年1月、ポーランドのスタニスワヴフ(現ウクライナ、イヴァーノ=フランキーウシク)にあるユダヤ人が住む母屋に店子としてウクライナ人とポーランド人の家族が引越ししてくる。ウクライナ人の娘ヤロスラワは音楽家の両親の影響を受け歌が得意で、特にウクライナの民謡「シェドリック」=「キャロル・オブ・ザ・ベル」は、歌うと幸せが訪れると信じ、大事な場面でその歌を披露する。第2次大戦開戦後、ソ連による侵攻、ナチス・ドイツによる侵攻、再度ソ連によって占領される。ポーランド人とユダヤ人の両親は迫害によって離され娘たちが残される。ユダヤ人の娘ディナ、ポーランド人の娘テレサの3人の娘たちをウクライナ人の母であり歌の先生でもあるソフィアが必至に守り通して生きていく。
 戦況は悪化し、子どもたちを連行しようとソ連軍が家探しを始めるが、ソフィアが機転を利かせて最悪の事態は免れる。ナチスによる粛清によってウクライナ人の父の手に及び処刑されてしまう。残されたソフィアは、ウクライナ人である自分の娘、ポーランド人の娘、ユダヤ人の娘に加えて「この子には罪はない」と言ってドイツ人の息子を匿うことになるのだった…。(公式HPより)



ウクライナ民謡をもとに生まれたクリスマスソング「キャロル・オブ・ザ・ベル」をモチーフに、ウクライナ、ポーランド、ユダヤ人の3家族が戦火に翻弄されながらも子どもたちを守り抜こうとする姿を描いた戦争ドラマ。
監督は、ウクライナ出身のオレシア・モルグレッツ=イサイェンコ。(映画.comより)
映画自体は2022年2月24日以前に撮られているので、今回の戦争に対する政治的プロパガンダっではないようですが、作品中のソ連兵の無慈悲で残虐な描写はつい現実に重ねてしまいそうです。😱 

1939年。ユダヤ人一家が暮らすアパートにウクライナ人とポーランド人の家族が引っ越してくるところから物語が始まります。
ウクライナ人のソフィアは歌の先生、夫のミハイロは演奏家で、娘のヤロスラワも歌が得意で皆が幸せになる歌”キャロル・オブ・ザ・ベル"が得意です。彼女の透き通るような歌声は本当に素晴らしかった✨
初めはぎくしゃくしていた3家族も、ヤロスラワの歌がきっかけで次第に打ち解けていきます。

戦争が勃発し、ソ連軍が侵攻してきたある日、ソ連兵によりポーランド人のワンダが連行されます。(軍人の夫は既に・・・と推察されます。)たまたまソフィアの家で眠っていた娘のテレサは、ソフィアが自分の娘だと嘘をついて守られます。ワンダが隠したテレサの出生証明書を見つけ、以後は自分の姪と偽ることになるの。

1941年。ナチスが台頭してくるとユダヤ人一家は出頭を命じられます。
ミハイロから「出頭したユダヤ人のバンドマンは帰ってきていない」と聞かされた夫婦は、娘のディナとタリヤを預けて夫婦で出頭し帰ってきませんでした。

ドイツ兵がやってくると、ユダヤ人のディナとタリヤは部屋に据えられた時計の裏の棚に隠れて息を潜めます。ミハイロは棚を取り除いて空間を広げてやります。
ソフィアは4人の子供たちに家の外に出ることを禁じますが、幼いタリヤが「外で遊びたい」と部屋を出てしまいます。タリヤを探しに出たヤロスラワ がドイツ兵に見つかって部屋に入って来られる場面では、ドアの影で息を潜めるディナに心臓バクバクです。無事に切り抜けたものの、タリヤがネズミに噛まれ、その傷がもとで亡くなってしまいます。夜間外出禁止令の出ている中、医者の家の扉を叩いて往診を求めるミハイロでしたが、すげなく追い返され、帰った時にはタリヤは・・・彼がレジスタンスに身を投じたのはこの頃からだったのかな?

アパートにはドイツ人の夫婦が越してきます。ドイツ人一家に『キャロル・オブ・ザ・ベル』を歌って「殺さないで」と頼むヤロスラワ。いや~それはダメだろ!と冷や冷やしましたが、ウクライナ語を解しなかったため事なきを得ます。
ドイツ人から貰ったお菓子を投げ捨てきつく叱るソフィアでしたが、子供たちはそのお菓子を拾って食べちゃうの。甘いお菓子なんて久しぶりだろうし何と言っても子どもだものね~。ヤロスラワの歌の上手さに感心したドイツ人の妻は息子のハインリヒの歌の練習をソフィアに頼みます。ドイツ人なんて大嫌いだけど背に腹は代えられないので引き受けるものの夫に愚痴るソフィア😁 

ある日、記念日を祝うため久しぶりに劇場に出かけたソフィアとミハイロでしたが、突然ドイツ兵が現れて女性は外に出るように言われ、男性は皆連行されます。翌朝、ミハイロは政治犯として処刑(射殺)されてしまいます。

処刑を目撃したソフィアは家に戻ると服を脱ぎ、子供たちのも脱がせて洗濯をします。何かしていないとどうにかなってしまいそうなソフィアの悲しさ・憤りが伝わってくるようでした。娘たちの存在が彼女の唯一の慰めになります。

再びソ連が侵攻してきて、ドイツは撤退します。
ドイツ人一家も逃げるようにアパートを立ち去るのですが、ボロボロになったハインリヒがソフィアの家のドアを叩きます。おそらく彼の両親は殺されてしまったのだと察したソフィアは彼も引き取ることにするのです。反対するディナに「子供に罪はない」と諭すソフィア。

町はまたまたソ連の支配下に置かれ、ソフィアは政治犯の妻として連行され子供たちは施設に入れられることになります。この時、逃げようとしたハインリヒは射殺されてしまうの。ソフィア自身も政治犯と決めつけられてシベリアに送られそこで亡くなったように描かれていました。

冒頭とこの場面の少し前に数十年後のNYが登場し、大人になったディナとテレサらしき女性が出て来るので娘たちは無事なんだなと安堵させられましたが、あれ?ヤロスラワは?

ソ連の施設に送られた3人でしたが、ヤロスラワは『キャロル・オブ・ザ・ベル』を歌ったことで別の施設に送られてしまいます。ディナとテレサは自由を与えられ(追放ともいう)ますが、それを伝える施設長?の無慈悲な酷薄さがたまらなく醜悪です。

ポーランド人のテレサは有名な歌手になっているようです。空港でディナと会い、2人でヤロスラワを待ち3人が再会して抱き合い、そこに子供時代の3人の姿がオーバーラップします。やっと彼女たちの中で戦争が終わったのだと感じられるラストでした。

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丘の上の本屋さん

2024年01月27日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2023年3月3日公開 イタリア 84分 G

イタリアの風光明媚な丘陵地帯を見下ろす丘の上にある、小さな古書店。店主のリベロ(レモ・ジローネ)はある日、店の外で本を眺めていた移民の少年エシエン(ディディー・ローレンツ・チュンブ)に声を掛ける。好奇心旺盛なエシエンを気に入ったリベロは次々と店の本を貸し与え、エシエンは、リベロが語る読書の素晴らしさに熱心に耳を傾ける。本の感想を語り合ううちに、2人は年齢や国籍を超えた友情を築いていく。(映画.comより)


ユニセフ・イタリアが共同製作として参加していて、「イタリアの最も美しい村」と言われるチビテッラ・デル・トロントが物語の舞台です。幕間のように挿入される美しい景色に癒され、老人と少年の年齢や国籍を超えた本を通しての交流に心温まります。

小さな古書店の店主リベロは、隣のカフェ店員のニコラ(コッラード・フォルトゥーナ)と毎朝挨拶を交わし、ちょっと風変わりな客たちを迎える毎日を送っていました。
ある日、店の外に置かれた本をじっと見つめる移民の少年エシエンに気付いて声を掛けたリベロは、「本は買えない」と言う彼に「貸してあげるから明日返しにおいで」と好きな本を選ばせると、彼はミッキー(ディズニー)のコミックを一冊持っていきます。
翌日約束通りに本を返しにきたエシエンは、本に興味津々の様子。彼を気に入ったリベロは今度はコミックではなく「ピノキオの冒険」の物語を貸します。
その後も、リベロは次々と店の本をエシエンに貸し与えます。
本を返しにきたエシエンに読んだ本の感想を聞きながらその内容を読み解くリベロにエシエンは熱心に耳を傾け、いつしか二人は友情で結ばれていきます。

リベロが貸し与えたのは「イソップ寓話集」「星の王子さま」「白鯨」「シュヴァイツァーの伝記」「アンクル・トムの小屋」「白い牙」「ロビンソン・クルーソー」「ドン・キホーテ」などコミックから始まり、児童文学、小説とジャンルは広がっていきます。

エシエンは「ピノキオ」の感想を聞かれてキツネたちが面白くコオロギは煩わしいと答えましたが、これはとても子供らしい視点の感想です。「イソップ」では肉を落とした犬の話が面白いと言ったり・・本の感想を通して、リベロは善と悪の存在や、困難に立ち向かう智恵や勇気、自由を求めて差別と闘う人々 の存在を教えていきます。彼らの関係は友であると同時に師弟のようにも映りました。

古書をゴミ箱から捜し出して売りにくる男性(せどり屋みたいな感じ?)に、 今では絶版になっている自分のかつての著書を探し求める大学教授や、革命に傾倒している客、古書の収集家(モーニ・オヴァディア )など、店には様々な人がやってきますが、リベロはどの客にも穏やかに対応していました。

何やら病気を抱えている様子のリベロは、最後に「世界人権宣言」をエシエンに贈ります。閉店を告げる張り紙を見つめるエシエンに声をかけたのは二コラです。

二コラもまたリベロの大切な友人でした。いつもリベロを気遣い、彼に恋の相談をもちかける、いかにも陽気なイタリア男です。彼の恋するキアラ(アナマリア・フィッティパル)は金持ちの家の家政婦をしていて、二コラの求愛を婚約者がいると嘘をついて逸らしていましたが、それは彼の愛情が本物かどうかを試していたわけで・・ちょっと小粋な恋物語も挿入されていました。

特に何かが起こるわけでもなく、淡々とした日常の中でのリベロとエシエンの本を通じた交流がさりげなく描かれるだけなのですが、とても穏やかな気持ちにさせられます。それでいて、本を読むことで人生が豊かになっていくことをこの作品はしっかり伝えてもいます。

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