2回で終わりにするつもりが、書きたいことがたくさんあり過ぎて
なんと今日で4回目の「学長ばなし」となりました。
何が何でも今日で最後にしなければ
たくさんたまっている他のことが書けませんよ(笑)。
ワシントン大学マイケル・ヤング学長の
任期半ばにしての寝耳に水の辞職
そしてテキサスA&M大学への就任は
彼の手腕が実績をあげ、今後も活躍を期待されていただけに
多くの人たちに衝撃を与えることとなりました。
超多忙のヤング学長とお会いするのは
たいていはキャンパスの一角にある
眺めの良い、静かで洗練されたレストランでした。
決まって一番奥のコーナーです。
いつも入り口を背にし、窓に向かってお座りになります。
こうすればプライバシーを保てますから
束の間のランチタイムでも
プレジデント・ヤングからマイケルに戻ることができたのでしょう。
そんな時のマイケルは本当にくつろいで
眉間の皺が素敵な笑い皺にとって代わりました。
差し障りのない範囲で今回の辞任騒動の経緯をお話しすれば
昨年11月末から12月初めにかけて密かにテキサスA&M大学からのコンタクトがあり
↓
テキサスA&Mの総長がシアトルに飛んできてヤング学長に会い
↓
ヤング学長夫妻がテキサスに飛び、A&Mを視察し
↓
自分の理想を実現できる大学であることを確認し
↓
先方からは全米でもトップクラスの年棒を提示され
↓
1月に移籍を決意する。
こう書けば、まるで新聞が書くように「ヤング移籍の最大のベネフィットはテキサスサイズのサラリーを得ることだ。」に繋がりそうですが、彼の真意はたぶん別のところにあったのだと思います。
こんなことをおっしゃっています。
「私の決断はお金ではありませんよ。お金でしたら、これまでいくつものローファーム(法律事務所)からそれを上回るオファーがありましたからね。」
実際、彼はハーバードのロースクール出身の有能な弁護士でもありました。
それでは何が彼の心をテキサスへと向けたのでしょうか。
テキサスA&M大学には110億ドルという膨大な資産があります。
1兆円をはるかに超える途方もない「テキサスサイズ」です。
かたやワシントン州のワシントン大学は28億ドル。
テキサスの4分の1です。
組織のトップに立つ者が良き理想を実現するために必要なのは
個人が持つ高額な財と、組織が持つ高額な財のどちらでしょうか。
多くを語ることはできませんが、成し遂げたいことをあきらめなければならなかった者が、それを叶えられるかもしれない場所に移るのはある意味、当然のことだったのかもしれません。
ところでヤング学長、いえマイケルは本当にチャーミングです。
シアトルを発つ前のランチで、夫が手洗いに立った合間に
彼にゆっくりと「たいへんですね。」と日本語で話しかけてみました。
すると堰を切ったように彼が日本語で話し始めました。
「そうなんですよ。来週、再来週の引越しならば考える暇もなくてかえって楽なんでしょうが、ほら、テキサスへ移るまでにはちょっと時間があるでしょう?これは持っていこうか、あれはどうするか、などと考え始めちゃうものですから時間がかかって大変なんですよね。」
と、流暢な日本語で楽しそうに言うのです。
若い時に少しばかり日本に住んでいたことがあるとは聞いていましたが、まさかこれほどの日本語をお話しになるとは驚きでした。そしてそれを日本人のメイおばさんに対してずっと隠していらしたこともまた驚きでした。
統率力も決断力も実行力も語学力もあって
国際法の学者としても超一流なのに
謙虚で茶目っ気のあるチャーミングな方です。
もし、ほとんど年も一緒な彼と若い時に日本で出会っていたならば
夫には内緒ですけれど、メイおばさん、絶対に一目惚れしちゃってますね(笑)。
読んでくださってありがとうございます。
どうぞ今日も良い日でありますように。
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