AN現代針灸治療

ANとは「にただあつし(似田敦)」のイニシャルです。現代医学的知見に基づいた私流の針灸治療の方法を解説しています。

膀胱炎には中極多壮灸

2006-06-11 | 泌尿・生殖器症状
1.膀胱炎の分類
 膀胱炎は急性膀胱炎と慢性膀胱炎に分類される。慢性膀胱炎はさらに、二次性膀胱炎、非細菌性膀胱炎、間質性膀胱炎に分類される。うち針灸治療にとって重要なのは、急性膀胱炎と慢性膀胱炎の中での非細菌性膀胱炎であろう。

1)急性膀胱炎
 膀胱の細菌感染症。主として大腸菌感染による。女性に多い。
 3大症状は、頻尿、排尿終了時痛、尿混濁(細菌尿による)。

2)二次性膀胱炎
前立腺肥大、前立腺ガン、神経因性膀胱などの基礎疾患の存在により生じた膀胱炎だが、原疾患による症状が 前面に出ているので、膀胱炎症状は相対的に重視されない。

3)非細菌性膀胱炎(膀胱三角過敏症)
膀胱三角の過敏状態による症状。膀胱三角とは左右の尿管と内尿道括約筋を結んだ三角形の領域で、尿量を捉えるセンサーがある。このセンサーの過敏により頻尿や残尿感を生ずる。センサー過敏になる原因としては、女性ホルモン分泌低下や血流減少などが考えられている。


4)間質性膀胱炎
主として中年女性にみられる原因不明の炎症性疾患とされるが、定義は不明瞭であり、慢性膀胱炎の範疇に入れる立場もある。 

2.膀胱炎の針灸治療
 急性膀胱炎で、排尿終了時痛や頻尿だけの場合ならば、膀胱平滑筋の伸展性低下や膀胱粘膜の過敏性改善目的に、陰部神経刺激を行う。陰部神経は体性神経で、シモの痛みと排尿排便の括約筋の開閉をつかさどっている。治療点には中極や大かくを刺激する。よく用いるのは症状消失するまで多壮灸する。その状態が続き免疫力か低下すると細菌感染して尿白濁(細菌尿)が出てくるが、こうなれば感染症なので抗生物質治療がよい。
 すなわち針灸治療は、自覚症状をとることと、細菌感染に至ることを防止するという役割がある。

 膀胱炎は治りやすい疾患であるが、ひとによっては慢性反復性膀胱炎になり、年に数回も膀胱炎症状が出てくることがあり、その度に抗生物質を使うことになりかねない。中極などへの長期自宅施灸(毎日半米粒大灸3~7壮)は、膀胱炎の予防に役立つ。ある患者に対して毎日3壮の灸では再発を防げず、7壮に変更してから
再発しなくなった例がある。
 冷えると膀胱炎になるという者がいる。これも膀胱の血流低下が関係しており、非細菌性膀胱炎のたぐいであろう。針灸の治療も同じでよい。
 


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