胸骨体下端(中庭穴)と臍(神闕穴)の間を8寸とし、その中点に中脘穴をとる。ところで、なぜ中脘との名前がつけられたのだろうか。筆者の学生時代、担当の先生から、胃の中央といった意味だと教えられたが、調べてみると「脘」といいう漢字に、胃や袋といった意味はなかった(10年前の話)。
漢和辞典によれば、脘には「平たく伸ばした肉」という意味がある。では、平たく伸ばした肉とは何か?
腹直筋をさすと思われる。したがって中脘とは、腹直筋の中央にある穴といった意味であろうと思う。同じように考えると、上脘は腹直筋の上方の穴、中脘は腹直筋下方の穴であろう。
最近、中脘の意味を漢和辞典で調べ直すと、今度は胃袋といった意味が追加されていた。「脘」という漢字が中国で使われ始めて、少なくtも二千年は経過しているのに、漢和辞典の内容の変化はどうしたものだろう。本来の意味からはずれ、少しずつ慣用的な使われ方が主流となったものではないか。間違って使う人々が多くなれば、その間違いも正しいことになってしまう。