AN現代針灸治療

ANとは「にただあつし(似田敦)」のイニシャルです。現代医学的知見に基づいた私流の針灸治療の方法を解説しています。

中脘穴の語源

2010-07-11 | 経穴の意味

胸骨体下端(中庭穴)と臍(神闕穴)の間を8寸とし、その中点に中脘穴をとる。ところで、なぜ中脘との名前がつけられたのだろうか。筆者の学生時代、担当の先生から、胃の中央といった意味だと教えられたが、調べてみると「脘」といいう漢字に、胃や袋といった意味はなかった(10年前の話)。

漢和辞典によれば、脘には「平たく伸ばした肉」という意味がある。では、平たく伸ばした肉とは何か?

腹直筋をさすと思われる。したがって中脘とは、腹直筋の中央にある穴といった意味であろうと思う。同じように考えると、上脘は腹直筋の上方の穴、中脘は腹直筋下方の穴であろう。

最近、中脘の意味を漢和辞典で調べ直すと、今度は胃袋といった意味が追加されていた。「脘」という漢字が中国で使われ始めて、少なくtも二千年は経過しているのに、漢和辞典の内容の変化はどうしたものだろう。本来の意味からはずれ、少しずつ慣用的な使われ方が主流となったものではないか。間違って使う人々が多くなれば、その間違いも正しいことになってしまう。