雲は完璧な姿だと思う。。

いつの日か、愛する誰かが「アイツはこんな事考えて生きていたのか、、」と見つけてもらえたら。そんな思いで書き記してます。

耽美

2021-07-16 00:03:00 | 初めに、タイトルの話
音楽作品に関わるアートワークを詰めていったりする際に
「コンセプトを明確化する」
ということが必要な時があります。
特に、年単位で継続的に進めていくアーティストや
プロジェクトなどに関しては、
最初にソノ中心となる「軸」をある程度定めておかないと、
毎回、何やらバラバラな印象を与えるモノとなってしまったり、
表現者の個性が茫洋としたものとなってしまったり、
本来リアクションされるはずの無いユーザー層に
商品が向かっていってしまったり......と。
そんな部分をしっかりと、
行きたい軌道に乗せるためにやる作業とでも言いましょうか。
音楽そのものを作るのは勿論、
パッケージ全盛のいにしえの時代においては、
この辺の作業もとても大事なものであったりしました。
このブログのタイトルの元となった13歳の少女詩人
螢(ほたる)」
に関しても、
メジャーデビュー前に同様の作業を行っていたことがあるのですが、
その時に、僕は彼女に

「君の好きなものは何?」

という質問を徹底して聞いていました。
ある晴れた日の午後。
東京、恵比寿にあるオフィスビルの会議室。
アートワークに関する作業なので、当然、
敏腕アートディレクターであり、
デザイナーでもある「ちーさん♀」も一緒。
床から天井まである大きな窓から差し込んでくる太陽の光の元で、
三人でのそんな会話は進んでいきます......



「......ふんふん。
なるほろぉぉーーー。
絵画だとその辺が好きなのね。ほたるわ。ふーーん。。
......他に何かある?
螢の好きなモノって」

「くすもとさん」

「???
なに?
なんて?ほたる?」

「楠本まき」

「????(o゜ー゜o) チンプンカンプン」

怪訝そうな顔をしている僕の横で、

「あーーーー。
そこね。
わかる。
螢っぽいわ。うん」

と答えるデザイナーのちーさん。

「ちーさん知ってるの?
なによ?
楠本まきって?
知らん」

「漫画家よ。
少女漫画系だからUZMETは知らないと思うけど、
最近人気なのよ。
ね。螢」

「うん。
私好きなの」

「へーーー。。。」

「黒が好き。
あと、死の匂いがするとこ」

「ほーーーー。。。
どの辺のものが良いの?
今から買いに行ってくるよ。読んでみる」

「えーーーと、、、、
絶対読んで欲しいのは
“ KISS×××× ”

“ 致死量ドーリス ”
他も、読めたら全部」

「りょーかい!」

「でも、私はマンマではないよ。
好きなだけ」

「うん。うん。
わかった。とにかくまずは読んでみるわ。
じゃないと話にならんからな。
ちーさん、この後、
本買うの付き合ってもらってよい?」

「いいわよ」





1990年代の後半頃だったでしょうか。
「ゴスロリ」
という言葉が世間にチラホラと出だしていました。
「ゴスロリ」とは
「ゴシック・アンド・ロリータ(Gothic and Lolita)」
の略称で、ファッションやポップロック音楽世界を中心に、
一部のカルチャーシーンに強烈な影響を与えていました。
一般的にわかりやすいロックバンドさんだと

MALICE MIZER(マリスミゼル)
L'Arc〜en 〜Ciel(ラルク アン シエル)
PENICILLIN(ペニシリン)
GLAY(グレイ)
LUNA SEA(ルナシー)
Plastic Tree(プラスティック トゥリー)

......などなど。
今は「ビジュアル系」などとも言われている方々でしょうか。
そして、その辺の人達に話を聞くと、
勿論、全部では無いですが、かなりの確率で、
必ずと言ってよいほど出て来ていた方の名前が
「楠本まき」
シーンでは教祖とも仰がれる?ような漫画家さんでした。
蜷川実花(にながわみか)さんや、
萩尾望都(はぎおもと)さんも賛辞を送っているような方。
僕は、最初は螢に言われて読むこととなったのですが、
その世界観や美意識にはとても感じ入り、
シビレルものがあったことを記憶しています。
ジャンルというか、哲学的には
「耽美主義(たんびしゅぎ)」
と言われるものの中にあるものでしょうか。
そんなモノが、
「マンマではない」
と話してくれた螢の言う通り、
僕とちーさんが彼女のアートワークの裏に
認識できないスパイスの様に振り込んでいたもの。



「この絵の意味は美そのものだ。
存在することだけが、この絵の存在理由なのだ」



耽美主義を語る際に必ず出て来る
アルジャーノン・チャールズ・スウィンバーン
(Algernon Charles Swinburne)さんの有名な言葉。
とても潔い(いさぎよい)、良い言葉だなぁ、と。
そんなふうに覚えています。



実質、螢のメジャー唯一のアルバムとなる「わにがらヘビ」
片目が違う仕様。
下は、関係者のみに配られた貴重な!?
プロモーション専用ディスク。非売品。



このブログは2012年の7月14日から記し始めました。
最初はこのブログのタイトルの由来の話であって、
少女詩人「螢」にまつわるお話。
今回の記事は、それ以来、
9年を超えて10年目へと向かうものとなります。
よくもまぁ、続いているものだ、と。
思えば遠くにきたもんだ、と。
なぜか、とても他人事の様な気持ちなのですが、
スタートの時から見てくれている皆さんとの約束ですので。
1年毎のマイルストーン記事として、
今回も螢と過ごした時間の四方山話をそっと置かせてもらいました。
この後、10年!?続けられるかどうかはわかりませんし、
世知辛い世に出て働いている以上、立場上!?
書けることと書けないこととが半々ぐらいであったりもしますが。
これからも、ぬるく、軽く。
ぽよぽよとイイカゲンに頑張ってみます。
いつもクダラナイ記事を見続けてくれている皆さん、
本当にありがとうございます。
心から感謝しております。(^^)


☆「初めに、タイトルの話」カテゴリー記事リンク☆
雲と螢
雲と螢 2
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おちあがるように
平原の丘
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コメント (14)
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