肖戦(シャオジャン)主演のドラマ『夢中的那片海』(梦中的那片海/直訳:夢の中のあの海)が6月1日から放送スタートしました。このドラマは1970年代後半の北京を舞台とするドラマです。
「梦中的那片海」(原題直訳:夢の中のあの海) 英語タイトル「The sea in the dream」 全38話 放送開始日:2023年6月1日
主演:肖戦(シャオジャン)、李沁(リーチン)、劉芮麟、曹斐然、趙昕 放送媒体:テンセントビデオ、中央電視台(CCTV-8)、東方衛視 撮影期間:2022年2月から6月

中国ドラマは撮影が完了してから放送されるまでの間にタイムラグがあります。
スムーズであれば撮影完了から1年以内に放送されますが、事情によっては放送までに2年、3年とかかってしまうことも珍しくありません。
肖戦(シャオジャン)は2019年の夏に放送されたブロマンスドラマ『陳情令』で一躍有名になり、その後出演作が何本か放送されていますが、それらはいずれも『陳情令』が放送される前にキャスティング・撮影された作品です。
~2022年までに放送された肖戦の主な出演ドラマ~
『狼殿下-Fate of Love-』:王大陸(ワン・ダールー)×李沁(リーチン)のドラマ。2017年に撮影されたドラマで肖戦のキャリアの中ではかなり初期に出演した作品。撮影時期は『陳情令』よりも前。
『慶余年~麒麟児、現る~』:端役(スパイ言氷雲役)として出演していますが『陳情令』がヒットする前にキャスティング・撮影されたものです。『慶余年』は続編(第2部)の撮影が最近始まりましたが、肖戦は続編には出演しません。
『斗羅大陸 ~7つの光と武魂の謎~』:肖戦主演のファンタジードラマ。2019年に撮影されたドラマで『陳情令』放送前に作られた作品。
『これから先の恋』:現代もの恋愛ドラマ。楊紫(ヤン・ズー)と共演。肖戦は若きイケメン医師役。撮影期間は2019年8月~11月で『陳情令』放送前にキャスティングされた作品。
「夢の中のあの海」は「陳情令」が放送されて肖戦が大人気となった後に撮影されたドラマです。
このドラマで肖戦は1970年代後半の北京に住む青年・肖春生役(主役)を演じており、この役柄のために北京訛りの台詞回しをマスターしています。
肖戦が演じる肖春生は軍幹部の父を持つ青年で、軍関係者とその家族たちのための独立したコミュニティ・”北京(部隊)大院”の中で暮らしています。そこは特殊な階級に属する人々の世界であり、そこでの暮らしは物質的・文化的に普通よりも明らかに恵まれています。
ドラマの舞台となっている「北京(部隊)大院」は実際に存在したもので、ここで暮らす人々は軍や政治機関の関係者で政治・権力に近い位置におり、最新の情報に触れるチャンスも多かったため、現実の話として1970年代の「北京大院」で育った若者たち(北京大院子弟)の中から多くの社会的成功者が生まれました。
成功者たちが「北京大院子弟」の文化・暮らしを自伝や小説としてロマン主義的に述懐したことから、一種の文学ジャンルにもなっています。
日本でも1960年代、70年代の米軍基地の町が文学の題材になったことがありますが、特殊な空間の中で形成される独特の文化や人間関係、歴史的な意義はドラマの素材としても魅力を放っています。
「夢の中のあの海」の第1話から第3話あたりまでは当時の時代背景を描くために敢えて組み込まれているシーンや台詞が多く、関連知識を補わないと分かりにくいかもしれません。
第1話では肖戦ら軍人家庭の子弟たちで構成されたグループが冬のスケート場で他の青年たちと衝突しますが、なぜ彼らが初対面なのに衝突するのか、その対立感情が何なのかピンとこないかもしれません。
什刹海、鼓楼といった地名とその位置付け、「四九城」などの概念、「司令」など人民解放軍の役職や階級、「燕京大学」など歴史の荒波を受けて消えていった物事に対する知識を補足しないと、脚本の意図を把握しにくいのではと思います。
ただし、第5話くらいまで進むと主人公たちの恋愛、友情、家族愛や、時代の変化に振り回されつつ夢や理想に向かって勇敢に進んでいく若者たちの青春が主軸となり、話が分かりやすくなってきます。
肖戦(シャオジャン)は主人公・肖春生を好演しています。肖春生はまっすぐで闊達な性格で仲間たちのリーダー的存在。義理堅く仲間思い。皆から慕われているが、父親の問題で入隊できる年齢をとうに達しているのに軍に入隊できずにいる。

ヒロイン・佟暁梅を演じるのは李沁(リーチン)。高級軍人の父を持つが本人は医学の道を志す。内省的で物静かだが芯の強い女性。

もう一人のヒロイン・賀紅玲を演じるのは曹斐然。度胸がある気の強い美人。バイオリン奏者になることを夢見ている。音楽一家の出身だがそれゆえに一家が迫害された過去を持つ。

冬になると北京市内にある「什刹海」という人口湖はスケートリンクになり、当時の人々の青春を象徴しています。
「夢の中のあの海」はテーマとしてはNHKの朝ドラに通じるような立志伝中的な物語で、肖戦が演じる主人公・肖春生は最終的には実業家として医療機器の分野で社会に貢献します。
中国の1950年代から2000年代あたりまでを描く「年代ドラマ」は近年かなり流行していますが、「夢の中のあの海」は当時の良い部分をロマン主義的に美しい映像で表現しています。現実には理不尽に虐げられたり犠牲になった人も多いはずですが、社会や政策を直接批判したり、権力者を非難するような表現はありません。

肖戦(シャオジャン)はブロマンスドラマ「陳情令」をきっかけに他に例を見ない速さでスターの座に上り詰めました。
「陳情令」放送から4年が経っていますが、「夢の中のあの海」が放送されたことで肖戦はやっと新しいステージに進むことができたのではと思います。「陳情令」の大ヒットに伴い発生したファン同士のネット暴力事件(肖戦227事件)の影響で、肖戦はリスクを抱えたスターとして扱われてきました。
「夢の中のあの海」ではこれまでとは全く違う役どころですが、特有の華やかさと美しい切れ長の目は変わりなく、実年齢はもう32歳ですが相変わらずのイケメンぶりを発揮しています。
ブロマンスドラマの美形俳優というフィルターがなくなると、演技力に対してより厳しい目が向けられるかもしれませんが、「夢の中のあの海」が俳優として大きなキャリアになることは間違いないと思います。
「梦中的那片海」(原題直訳:夢の中のあの海) 英語タイトル「The sea in the dream」 全38話 放送開始日:2023年6月1日
主演:肖戦(シャオジャン)、李沁(リーチン)、劉芮麟、曹斐然、趙昕 放送媒体:テンセントビデオ、中央電視台(CCTV-8)、東方衛視 撮影期間:2022年2月から6月

中国ドラマは撮影が完了してから放送されるまでの間にタイムラグがあります。
スムーズであれば撮影完了から1年以内に放送されますが、事情によっては放送までに2年、3年とかかってしまうことも珍しくありません。
肖戦(シャオジャン)は2019年の夏に放送されたブロマンスドラマ『陳情令』で一躍有名になり、その後出演作が何本か放送されていますが、それらはいずれも『陳情令』が放送される前にキャスティング・撮影された作品です。
~2022年までに放送された肖戦の主な出演ドラマ~
『狼殿下-Fate of Love-』:王大陸(ワン・ダールー)×李沁(リーチン)のドラマ。2017年に撮影されたドラマで肖戦のキャリアの中ではかなり初期に出演した作品。撮影時期は『陳情令』よりも前。
『慶余年~麒麟児、現る~』:端役(スパイ言氷雲役)として出演していますが『陳情令』がヒットする前にキャスティング・撮影されたものです。『慶余年』は続編(第2部)の撮影が最近始まりましたが、肖戦は続編には出演しません。
『斗羅大陸 ~7つの光と武魂の謎~』:肖戦主演のファンタジードラマ。2019年に撮影されたドラマで『陳情令』放送前に作られた作品。
『これから先の恋』:現代もの恋愛ドラマ。楊紫(ヤン・ズー)と共演。肖戦は若きイケメン医師役。撮影期間は2019年8月~11月で『陳情令』放送前にキャスティングされた作品。
「夢の中のあの海」は「陳情令」が放送されて肖戦が大人気となった後に撮影されたドラマです。
このドラマで肖戦は1970年代後半の北京に住む青年・肖春生役(主役)を演じており、この役柄のために北京訛りの台詞回しをマスターしています。
肖戦が演じる肖春生は軍幹部の父を持つ青年で、軍関係者とその家族たちのための独立したコミュニティ・”北京(部隊)大院”の中で暮らしています。そこは特殊な階級に属する人々の世界であり、そこでの暮らしは物質的・文化的に普通よりも明らかに恵まれています。
ドラマの舞台となっている「北京(部隊)大院」は実際に存在したもので、ここで暮らす人々は軍や政治機関の関係者で政治・権力に近い位置におり、最新の情報に触れるチャンスも多かったため、現実の話として1970年代の「北京大院」で育った若者たち(北京大院子弟)の中から多くの社会的成功者が生まれました。
成功者たちが「北京大院子弟」の文化・暮らしを自伝や小説としてロマン主義的に述懐したことから、一種の文学ジャンルにもなっています。
日本でも1960年代、70年代の米軍基地の町が文学の題材になったことがありますが、特殊な空間の中で形成される独特の文化や人間関係、歴史的な意義はドラマの素材としても魅力を放っています。
「夢の中のあの海」の第1話から第3話あたりまでは当時の時代背景を描くために敢えて組み込まれているシーンや台詞が多く、関連知識を補わないと分かりにくいかもしれません。
第1話では肖戦ら軍人家庭の子弟たちで構成されたグループが冬のスケート場で他の青年たちと衝突しますが、なぜ彼らが初対面なのに衝突するのか、その対立感情が何なのかピンとこないかもしれません。
什刹海、鼓楼といった地名とその位置付け、「四九城」などの概念、「司令」など人民解放軍の役職や階級、「燕京大学」など歴史の荒波を受けて消えていった物事に対する知識を補足しないと、脚本の意図を把握しにくいのではと思います。
ただし、第5話くらいまで進むと主人公たちの恋愛、友情、家族愛や、時代の変化に振り回されつつ夢や理想に向かって勇敢に進んでいく若者たちの青春が主軸となり、話が分かりやすくなってきます。
肖戦(シャオジャン)は主人公・肖春生を好演しています。肖春生はまっすぐで闊達な性格で仲間たちのリーダー的存在。義理堅く仲間思い。皆から慕われているが、父親の問題で入隊できる年齢をとうに達しているのに軍に入隊できずにいる。

ヒロイン・佟暁梅を演じるのは李沁(リーチン)。高級軍人の父を持つが本人は医学の道を志す。内省的で物静かだが芯の強い女性。

もう一人のヒロイン・賀紅玲を演じるのは曹斐然。度胸がある気の強い美人。バイオリン奏者になることを夢見ている。音楽一家の出身だがそれゆえに一家が迫害された過去を持つ。

冬になると北京市内にある「什刹海」という人口湖はスケートリンクになり、当時の人々の青春を象徴しています。
「夢の中のあの海」はテーマとしてはNHKの朝ドラに通じるような立志伝中的な物語で、肖戦が演じる主人公・肖春生は最終的には実業家として医療機器の分野で社会に貢献します。
中国の1950年代から2000年代あたりまでを描く「年代ドラマ」は近年かなり流行していますが、「夢の中のあの海」は当時の良い部分をロマン主義的に美しい映像で表現しています。現実には理不尽に虐げられたり犠牲になった人も多いはずですが、社会や政策を直接批判したり、権力者を非難するような表現はありません。

肖戦(シャオジャン)はブロマンスドラマ「陳情令」をきっかけに他に例を見ない速さでスターの座に上り詰めました。
「陳情令」放送から4年が経っていますが、「夢の中のあの海」が放送されたことで肖戦はやっと新しいステージに進むことができたのではと思います。「陳情令」の大ヒットに伴い発生したファン同士のネット暴力事件(肖戦227事件)の影響で、肖戦はリスクを抱えたスターとして扱われてきました。
「夢の中のあの海」ではこれまでとは全く違う役どころですが、特有の華やかさと美しい切れ長の目は変わりなく、実年齢はもう32歳ですが相変わらずのイケメンぶりを発揮しています。
ブロマンスドラマの美形俳優というフィルターがなくなると、演技力に対してより厳しい目が向けられるかもしれませんが、「夢の中のあの海」が俳優として大きなキャリアになることは間違いないと思います。
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