ラブコメ少女漫画の傑作「イタズラなKiss」はこれまでに日本、台湾、韓国でドラマ化されてきました。特にジョセフ・チェンとアリエル・リン主演で制作された台湾版は中華圏で大ブームとなり、台湾アイドルドラマ史に燦然と輝くヒット作です。日本では台湾版よりも早く1996年に柏原崇と佐藤藍子主演でドラマ化されていますが、2013年の春、再び日本でドラマが制作されました。
「イタズラなKiss~Love in TOKYO」 放送期間:2013年3月29日~7月19日(全16話)
放送局:フジテレビTWO(CSチャンネル) 主演:古川雄輝、未来穂香、山田裕貴

日本ではCSチャンネルで深夜に放送されていたので、必然的に視聴できる人が限られていたかと思いますが、このドラマは中国で大ヒットしました。2013年春季にちょっとした社会現象になるくらい流行りました。中国でこんなに日本のドラマが流行るのは本当に久しぶりです。
いまの中国の10代、20代の女の子のほとんどが台湾ドラマ版「イラズラなキス」(惡作劇之吻)を観たことがある、若しくはきちんと観たことがないとしても大体のストーリーを知っています。そのうえで、2013年版「イタズラなKiss~Love in TOKYO」は中国で大ヒットしました。
北京の新聞記事(2013年7月17日法制晩報)によると、ドラマ視聴サイト(愛奇芸網)では「イラズラなキス」全話合計クリック数が、4000万回を超えたと報道されています。(全16話で、この新聞記事が配信された当時は15話まで放送済み)
【ニュース】新版「イタズラなキス」中国で大人気。日本では純愛ドラマは流行らず。
http://www.fawan.com.cn/html/2013-07/17/content_445337.htm (2013年7月17日 法制晩報)
【概要】今週、日本の漫画原作ドラマ--2013年版「イタズラなKiss」(中国タイトル:一吻定情)が最終回を迎える。この10年間、何度もリメイクされてきた作品であるが、なおも多くの中国の少女たちを夢中にさせている。ここ最近ネットのドラマ視聴ランキングで1位の座を獲得し、中国国内の動画サイトのカウンターによると、最もクリック数が多かった回は126万クリックを突破している。
この記事の後半部分はドラマ制作関係者(日本人)へのインタビューを掲載し、新版「イタズラなキス」は日本ではそこまでの話題にはならなかったこと、日本では純愛ドラマより推理ものなどの方が人気を集めていること、現在の日本ドラマ界の傾向なども紹介されています。
「イタズラなKiss~Love in TOKYO」はなぜ中国でこれほどまでに流行ったのか・・・?
ドラマを実際に見てまず感じたことは、アジアの若い女の子に好まれそうな要素がたくさん入っているということです。
東京タワーをはじめとして、日本料理、振袖、おしゃれな制服、ファンシーな小物など、日本カルチャーのシンボル的なものがふんだんに取り込まれています。これらは、アジア圏の女の子たちが好み、また憧れる日本的要素です。主人公の琴子の身の回りのアイテムや服装、そして毎日変わる髪型なども注目を集めました。細かいビジュアル面が丁寧でリアル、かつ可愛らしく作られており、映像として魅力的です。中華圏や韓国で知名度の高いドラマなので、海外で放送することを念頭に入れて制作されていたのでしょうか。
原作の漫画を読んだことがないはずの中国の視聴者が、「漫画原作に忠実に作られている」とよく語っています。これは、ストーリーや設定が原作に忠実だという意味ではなく、マンガチックな雰囲気やコミカルなテンポがそのままドラマに反映されているという意味のようです。確かにカメラワークがアニメっぽい感じがします。アニメ監督が作っているのかと思ったほどです。
しかし、何ともいっても2013年版の人気の一番の原因は、主人公の「入江君」を演じた古川雄輝にあります。
このドラマが放送されるまでは古川雄輝は中華圏ではほぼ全く知られていない存在でした。新版「イタズラなキス」の制作情報が流れた当初は、見知らぬキャストだったのであまり期待されていませんでした。ところが放送が始まり、回を重ねるごとに古川雄輝の人気が上昇しました。古川雄輝は歴代の入江君にはなかったある武器を持っており、それが中国の少女の心を掴んだともいえます。もはや伝説のシーンとなっているのは第2話の「オン・パーパス」です。第2話の中に高校3年生の入江君が期末テストに向けて琴子に英語を教えるシーンがあります。登校中歩きながら入江君が英単語をつぶやき、琴子に意味を答えさせるというシーンなのですが、入江君が「on purpose」とネイティブの発音で言うと、琴子が聞き取れなくて「え?」と言います。そこで、カタカナ発音で「オン・パーパス!」と言い直すと、琴子が「わざと?」(on purposeの意味は「わざと」)と答えるというシーンなのですが、この一連のシーンが中国でものすごくウケたのです。古川雄輝の「on purpose」というキレイな発音とカタカナ英語のギャップによほど感じるところがあったらしく、何十万という少女が“萌えた”のです。
オン・パーパスは中国漢字で当て字表記すると「昂帕帕斯」となり、中国の古川雄輝ファンの代名詞ともなっています。
■bilibili動画「オン・パーパス」のカット(bilibli動画は中国の弾幕サイト。ニコニコ動画を倣って作られた)

「古川雄輝版入江君の英語の発音はネイティブみたい」というところから、本人に対する興味が高まり、「帰国子女、慶応大学、理工学部出身・・・」というプロフィールが流れると、「リアル入江君ではないか」とますます古川雄輝本人に関心が寄せられるようになりました。
ついに、7月21日には上海で古川雄輝のファンミーティングが行われたのです。
日本人俳優が中国で大規模なファンミーティングを開催したのは史上初だと言われています。声優のファンミーティングは中国で何度も行われていますが、日本人俳優が中国でファンミーティングを開いたという話を聞いたのは初めてで、前例を思いつきません。
ファンミーティングが決定しチケットが発売されたのはかなりギリギリでしたが、最終回放送直後という抜群のタイミングで上海ファンミーティングが開催されファンを驚かせました。
日時:2013年7月21日 14時~/19時~
場所:上海浅水湾文化芸術センター チケット:580元/780元/880元
【ニュース】古川雄輝、中国で初めてファンミーティングを開いた日本人俳優。
http://ent.qq.com/a/20130722/012010.htm(騰訊娯楽 2013年7月22日)
【概要】日本の俳優古川雄輝が7月21日に上海でファンミーティングを開催した。中国でこの種のイベント活動を行った日本人俳優は古川雄輝が初めてである。ファンミーティングには1200名のファンが参加し、交流を楽しんだ。7月20日に上海に到着したときは1000人近いファンが上海虹橋空港に集まり、ホテルには300人近いファンが押し寄せていたことからも、その人気をうかがい知ることができる。
■ 騰訊娯楽 2013年7月22日のニュース記事の写真(写真出典リンク)

■中国のアイドル雑誌Easyの表紙に。2013年7月下半期号。

インタビュー記事(6ページ)

琴子を演じた未来穂香も同じ号に紹介されています。

入江君だけではなく、未来穂香の琴子も非常に好評でした。とても若い女優さんですが、可愛いし演技が上手いと思います。未来穂香の仕草や表情も、海外視聴者にとっては“萌え”要素が多分にあります。主役の人気だけに頼っているわけではなく、脚本や演出が丁寧かつテンポ良く作られており、ドラマとしてよくできています。特に前半の高校時代編が面白いです。すでにアジア、北米で放送されているそうですが、日本よりも海外で高い評価を受けるのではと思います。
「イタズラなKiss~Love in TOKYO」 放送期間:2013年3月29日~7月19日(全16話)
放送局:フジテレビTWO(CSチャンネル) 主演:古川雄輝、未来穂香、山田裕貴

日本ではCSチャンネルで深夜に放送されていたので、必然的に視聴できる人が限られていたかと思いますが、このドラマは中国で大ヒットしました。2013年春季にちょっとした社会現象になるくらい流行りました。中国でこんなに日本のドラマが流行るのは本当に久しぶりです。
いまの中国の10代、20代の女の子のほとんどが台湾ドラマ版「イラズラなキス」(惡作劇之吻)を観たことがある、若しくはきちんと観たことがないとしても大体のストーリーを知っています。そのうえで、2013年版「イタズラなKiss~Love in TOKYO」は中国で大ヒットしました。
北京の新聞記事(2013年7月17日法制晩報)によると、ドラマ視聴サイト(愛奇芸網)では「イラズラなキス」全話合計クリック数が、4000万回を超えたと報道されています。(全16話で、この新聞記事が配信された当時は15話まで放送済み)
【ニュース】新版「イタズラなキス」中国で大人気。日本では純愛ドラマは流行らず。
http://www.fawan.com.cn/html/2013-07/17/content_445337.htm (2013年7月17日 法制晩報)
【概要】今週、日本の漫画原作ドラマ--2013年版「イタズラなKiss」(中国タイトル:一吻定情)が最終回を迎える。この10年間、何度もリメイクされてきた作品であるが、なおも多くの中国の少女たちを夢中にさせている。ここ最近ネットのドラマ視聴ランキングで1位の座を獲得し、中国国内の動画サイトのカウンターによると、最もクリック数が多かった回は126万クリックを突破している。
この記事の後半部分はドラマ制作関係者(日本人)へのインタビューを掲載し、新版「イタズラなキス」は日本ではそこまでの話題にはならなかったこと、日本では純愛ドラマより推理ものなどの方が人気を集めていること、現在の日本ドラマ界の傾向なども紹介されています。
「イタズラなKiss~Love in TOKYO」はなぜ中国でこれほどまでに流行ったのか・・・?
ドラマを実際に見てまず感じたことは、アジアの若い女の子に好まれそうな要素がたくさん入っているということです。
東京タワーをはじめとして、日本料理、振袖、おしゃれな制服、ファンシーな小物など、日本カルチャーのシンボル的なものがふんだんに取り込まれています。これらは、アジア圏の女の子たちが好み、また憧れる日本的要素です。主人公の琴子の身の回りのアイテムや服装、そして毎日変わる髪型なども注目を集めました。細かいビジュアル面が丁寧でリアル、かつ可愛らしく作られており、映像として魅力的です。中華圏や韓国で知名度の高いドラマなので、海外で放送することを念頭に入れて制作されていたのでしょうか。
原作の漫画を読んだことがないはずの中国の視聴者が、「漫画原作に忠実に作られている」とよく語っています。これは、ストーリーや設定が原作に忠実だという意味ではなく、マンガチックな雰囲気やコミカルなテンポがそのままドラマに反映されているという意味のようです。確かにカメラワークがアニメっぽい感じがします。アニメ監督が作っているのかと思ったほどです。
しかし、何ともいっても2013年版の人気の一番の原因は、主人公の「入江君」を演じた古川雄輝にあります。
このドラマが放送されるまでは古川雄輝は中華圏ではほぼ全く知られていない存在でした。新版「イタズラなキス」の制作情報が流れた当初は、見知らぬキャストだったのであまり期待されていませんでした。ところが放送が始まり、回を重ねるごとに古川雄輝の人気が上昇しました。古川雄輝は歴代の入江君にはなかったある武器を持っており、それが中国の少女の心を掴んだともいえます。もはや伝説のシーンとなっているのは第2話の「オン・パーパス」です。第2話の中に高校3年生の入江君が期末テストに向けて琴子に英語を教えるシーンがあります。登校中歩きながら入江君が英単語をつぶやき、琴子に意味を答えさせるというシーンなのですが、入江君が「on purpose」とネイティブの発音で言うと、琴子が聞き取れなくて「え?」と言います。そこで、カタカナ発音で「オン・パーパス!」と言い直すと、琴子が「わざと?」(on purposeの意味は「わざと」)と答えるというシーンなのですが、この一連のシーンが中国でものすごくウケたのです。古川雄輝の「on purpose」というキレイな発音とカタカナ英語のギャップによほど感じるところがあったらしく、何十万という少女が“萌えた”のです。
オン・パーパスは中国漢字で当て字表記すると「昂帕帕斯」となり、中国の古川雄輝ファンの代名詞ともなっています。
■bilibili動画「オン・パーパス」のカット(bilibli動画は中国の弾幕サイト。ニコニコ動画を倣って作られた)

「古川雄輝版入江君の英語の発音はネイティブみたい」というところから、本人に対する興味が高まり、「帰国子女、慶応大学、理工学部出身・・・」というプロフィールが流れると、「リアル入江君ではないか」とますます古川雄輝本人に関心が寄せられるようになりました。
ついに、7月21日には上海で古川雄輝のファンミーティングが行われたのです。
日本人俳優が中国で大規模なファンミーティングを開催したのは史上初だと言われています。声優のファンミーティングは中国で何度も行われていますが、日本人俳優が中国でファンミーティングを開いたという話を聞いたのは初めてで、前例を思いつきません。
ファンミーティングが決定しチケットが発売されたのはかなりギリギリでしたが、最終回放送直後という抜群のタイミングで上海ファンミーティングが開催されファンを驚かせました。
日時:2013年7月21日 14時~/19時~
場所:上海浅水湾文化芸術センター チケット:580元/780元/880元
【ニュース】古川雄輝、中国で初めてファンミーティングを開いた日本人俳優。
http://ent.qq.com/a/20130722/012010.htm(騰訊娯楽 2013年7月22日)
【概要】日本の俳優古川雄輝が7月21日に上海でファンミーティングを開催した。中国でこの種のイベント活動を行った日本人俳優は古川雄輝が初めてである。ファンミーティングには1200名のファンが参加し、交流を楽しんだ。7月20日に上海に到着したときは1000人近いファンが上海虹橋空港に集まり、ホテルには300人近いファンが押し寄せていたことからも、その人気をうかがい知ることができる。
■ 騰訊娯楽 2013年7月22日のニュース記事の写真(写真出典リンク)

■中国のアイドル雑誌Easyの表紙に。2013年7月下半期号。

インタビュー記事(6ページ)


琴子を演じた未来穂香も同じ号に紹介されています。


入江君だけではなく、未来穂香の琴子も非常に好評でした。とても若い女優さんですが、可愛いし演技が上手いと思います。未来穂香の仕草や表情も、海外視聴者にとっては“萌え”要素が多分にあります。主役の人気だけに頼っているわけではなく、脚本や演出が丁寧かつテンポ良く作られており、ドラマとしてよくできています。特に前半の高校時代編が面白いです。すでにアジア、北米で放送されているそうですが、日本よりも海外で高い評価を受けるのではと思います。
私は2年前のキム・テヒとテギョンが出た日本のドラマで初めて知りました。
背が高くて小顔で、可愛い!と思い毎回古川くん目当てで見てました(爆)
昨年市村くんとたぁたんの出た舞台「エンロン」で生・古川くんを見ました。
やはりスタイルが良くて素敵でした。
イタキスはCSだけなんでしょうか?
見てません(涙)
あの外見に素晴らしいプロフィールなら、これからが楽しみですね(はぁと)
阿姐さん!
古川君の記事をありがとうございました!(笑)
BSで9月から放送されるんですね~7月に上海でファンミがあったのですが、8月は香港にプロモーションに行くらしいですよ。日本でもイベントとかやるんですかね。国内の俳優はあんまりファンミとかやる習慣ないですね・・・・。
古川くんは声がいいと思います。実年齢よりかなり下に見えますね。制服違和感ないです。
イタキス2013年版、面白いですよ。頭数話の高校編がとくに面白いですよ~
今過去記事を読ませていただいてます。すごくおもしろいし、なるほどね~と思います。KPOPからドラマや映画、宝塚にコスプレまで・・・阿姐さんって守備範囲が広いですね。どんな方なんでしょうか。アジアに行きたくなりました。
音楽ですが、中華圏のPOPSは、楽曲自体はJ-POPや洋楽に近いです。J-POPのカバーも非常に多いです。
お薦めは定番ですが、男性だとジェイ・チョウ(Jay Chou、周傑倫)です。基本的にはR&Bなのですが、中国風の楽曲、世界観(歌詞的に)を取り入れたPOPSを作っていて、中華圏で非常に人気があります。アルバム「七里香」が評価が高いです。
女性は、中華的な要素をもつPOPSは少ないですね。もちろん現代民謡みたいな音楽はたくさんあるのですが、民謡系・伝統音楽系は1、2曲聴くのはいいですが、長く聴くのはツライと思います。中華風ではないですが、女性ではこれも定番ですが、梁静茹(フィッシュ・リョン)とかしっとりしたラブソングが多いです。いずれもYoutubeでほとんどのMVが見れると思いますよ
海外視聴者が萌えるポイントって意外なところにあるんですね~! 面白~い!
「半沢直樹」は中国でもウケているのですね!
同じく日本の高視聴率番組「あまちゃん」は中国では放送されているのでしょうか。
わたしもこのドラマに大ハマリしていて、毎日のささやかな楽しみとなっています。笑
C-POPは楽曲やアレンジより歌詞や歌唱力を重視する傾向があります。全然中華っぽくないですが、五月天(Mayday)、陳奕迅(イーソン・チャン)とかもいいですよ。
上海も暑いです。毎日にように40℃超えです~
あまちゃん流行ってますね・・!朝ドラ15分形式のドラマは中国ではそれほど注目されないですね。NHK大河ドラマはけっこう知っている人が多いのですが・・・。
中国の場合、テレビで放送するわけではなく、すべて動画サイトでの視聴になるので、放送時間帯もテレビ局も何も関係なく、作品の内容・キャスト・口コミで観る観ないが決まります。なので、CS放送だった新イタキスも、放送枠・放送時間帯のハンデなく、多くの人に視聴されました。