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香港12人組ボーイズグループ「MIRROR」~香港経済と芸能カルチャーの希望

2021年11月27日 | エンタメの日記
いま香港では12人組の男子アイドルグループ「MIRROR」がものすごく人気があります。
彼らは香港オーディション番組「Good Night Show 全民造星」からデビューし、先日デビュー3周年を迎えました。
「Good Night Show 全民造星」は99名の男子が参加し、グループに分かれてパフォーマンスを競い合いながら勝ち抜いていくという、いわゆる「PRODUCE101」フォーマットの番組です。ただし、最終順位の上位1位から12位が「MIRROR」としてグループデビューしたわけではなく、期間限定グループでもありません。全員が同じ事務所(ViuTV)に所属しています。
MIRROR メンバー:Frankie、Alton、Lokman、Stanley、Anson Kong、Jer、Ian、Anson Lo、Jeremy、Edan、姜濤、Tiger
最年長のFrankieが1988年生まれ、最年少の姜濤(Keung To)とTigerが1999年生まれ。
デビュー:2018年11月3日「一秒間」でデビュー。 代表曲:「One and All」、「WARRIOR」「BOSS」など。


Mirror三周年記念曲として2021年11月3日にリリースされたEP「All In One」。


12人という大人数グループの「MIRROR」。グループの「顔」というべき存在が、オーディション番組で1位に選ばれた姜濤です。
姜濤(Keung To)愛称:姜B 1999年4月30日生まれ  グループの中では最年少のひとり。リードボーカル。
アルバム「One And All」発売時の壁紙画像


MIRRORのグループ曲はKPOPを意識した作りになっていますが、KPOPグループがアイドルとして完成形に近い状態でデビューしてくるのに対し、MIRRORは未成熟な状態でスタートしているので、日々成長していく姿をファンが目にすることができます。
2020年から2021年にかけてMIRRORは飛躍的に人気が上昇し、ダンスや歌などのパフォーマンスだけでなく、衣装やメイク、MVの映像なども大きく向上しました。

「香港版おっさんずラブ」のヒット Anson LoとEdanの人気
2021年はMIRRORにとって飛躍の年でしたが、人気アップに貢献したのが、MIRRORのメンバーであるAnson Lo(盧瀚霆)とEdan Lui(呂爵安)がドラマ香港版「おっさんずラブ」に出演したことです。
Edanが田中圭が演じた春田、Ansonが林遣都が演じた牧に相当する役を演じました。


「香港版おっさんずラブ」は2021年6月からViuTVで放送されたのですが、びっくりするほど忠実に日本版を踏襲しています
キャラクター設定、ストーリー展開、細かいエピソード、鍵になるシーンまで、ほぼ日本版をそのまま香港に置き換えています。吉田鋼太郎が演じた部長役は香港の俳優黃徳斌が演じていますが、ダンディなベテラン不動産マネージャーの雰囲気がそっくりです。春田役のEdan、牧役のAnson Loも役柄にぴったりはまっており、すごく人気が出ました。
香港版「おっさんずラブ」(『大叔的愛』)予告編:https://www.youtube.com/watch?v=An3k6Ppi0mE


”センター”の姜濤、ドラマで人気の出たEdan、Anson Lo の他にも、ボーカルのIanとJerも多くのソロ曲をリリースしています。Ianは高い歌唱力を持ち元バレーボール選手でもあります。他のメンバーも、グループ曲と並行してソロ曲のリリースが盛んです。メンバー同士のコラボも多く、12人もメンバーがいるので常に誰かが何かをリリースしている状態にあります。

「Warrior」「BOSS」などグループ曲はKPOPの影響が強く見られますが、ソロの楽曲やMVは香港テイストが強く表れています。もちろんコロナの影響もあり、香港から一歩も出ずに作ったため香港らしくなるのは当然ではありますが、香港独自のカルチャーや生活習慣、香港人が大切にしている風景がこまやかに描かれています。

姜濤(Keung To)のソロ曲「蒙著嘴說愛你」2020年4月30日にリリース


この曲のMVはコロナの影響下にある香港の街並みが描き出されています。皆がよく知っている街角ですが、誰もがマスクをしています。
「蒙著嘴說愛你」は直訳すると「口を隠したままI love you」という意味で、コロナの中でマスクをつけたまま暮らす人々、また奮闘する医療関係者への励ましを伝える歌でもあります。
姜濤 Keung To 「蒙著嘴說愛你」オフィシャルMV


香港経済の救世主
MIRRORは「コロナ時代の香港経済を牽引する救世主」として語られることが多いです。彼らがイメージキャラクターを務める商品はよく売れて、イベントと絡めてショッピングモールへの客寄せ効果もあり、香港経済を牽引する存在になっていると言われています。
「この半年で150の広告案件を獲得」「香港の広告の7割を彼らが占めている」などと言われるほど、2021年の香港に活気をもたらしています。
11月にはCSL(香港移動通訊)5G×Mirrorコラボ企画で、メンバー12人分のSIMカードを発行するなど様々な業界が「MIRROR商法」を展開しています。

出典:https://hk.news.yahoo.com/csl-%E6%8E%A8%E5%87%BA-mirror-5g-%E8%A8%88%E5%8A%83-062225875.html

2021年9月にはサムスンGalaxy Z Fold3 5GのCMに起用され、海外からも注目されるようになりました。




香港芸能の底力
1980年代、90年代、芸能や映画が盛んな香港はアジアの中心として輝いていましたが、ここ最近は韓国芸能や中国大陸芸能に押されて、香港芸能は低迷傾向にありました。
しかし、本来香港には優れたミュージシャンや映像クリエイターがおり、Mirrorの楽曲やMV制作には香港制作陣の底力が発揮されています。
彼らの広東語ポップスの楽曲レベルは高く、MVも香港らしさが溢れていて個性的です。また、中国本土(大陸)の資本に頼らずに香港ローカルでカルチャーを作り出すことができるという証明にもなりました。

2019年は民主化デモにより香港全体が激しくゆれた一年でした。
香港は伝統的に「TVB」というテレビ局が強い力を持っており、長い間ほぼ独占状態にありました。TVBの独占を解消するために2016年に新たに開設されたのが「ViuTV」です。
TVBは中国大陸でも放送しているし、また、香港のメジャーな芸能人の多くは中国大陸でも仕事をしているため、民主化デモにおいて多くの香港芸能人が「板ばさみ」の状態に置かれました。政府側か反政府側か、どちらかの側につくことで、相手方からボイコットを受ける可能性があります。
そんな中、2018年11月に「ViuTV」からデビューしたMIRRORは、中国大陸とのしがらみのない新人として香港芸能界に現れました。そのことが、香港で多くの広告オファーを獲得することに繋がったと言われています。
ViuTVの誕生、オーディション番組ブーム、香港民主化運動、コロナウィルス流行・・・様々な偶然と社会的要因が重なって「MIRROR現象」が生まれました。

なお、MIRRORの派生グループとして生まれた4人組の「ERROR」も人気があります。
実力派ラッパーと193㎝のモデル出身の郭嘉駿(Denis Kwok)により構成される4人組で、Mirrorに負けない人気があります。
Erorrのデビュー曲の「404」はMirrorのデビュー曲「一秒間」と同じ楽曲で歌詞違いです。「I Promise」など一種の香港レトロブームを反映しており楽曲のクオリティが高いです。
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (はるみとまこ)
2021-12-06 12:43:00
阿姐さん!
ありがとうございます。
家に帰ってチェックしてみます。
香港で何が流行ってるか、全く追いかけてなかったので(汗)
お顔は?ですが、歌は聴いてみたいと思います。
香港に堕ちたのが1990年6月です。
あれから31年も経ってしまいました。
今はタイでしょうか?(汗)
友達は夢中になってます(笑)
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はるみとまこさん (上海阿姐)
2021-12-07 02:22:46
こんにちは!MIRRORは民主化デモ、コロナという時代だからこそ盛り上がったのかもしれません。
ショッピングモールの吹き抜けでイベントをやって歌ったりして、かなり楽しそうです。香港伝統の電飾ボードで応援してます。
ドラマに関していうと、タイの勢いが香港を完全に上回っていますね。
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