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「時代少年団」火力全開コンサート配信延期~「THE9」有観客ライブを開くことなく活動終了

2021年12月06日 | エンタメの日記
日本や韓国ではグループアイドルが次々と結成され大変な盛り上がりを見せていますが、中国ではグループアイドルの活動は非常に難しい状況にあります。
理由の一つはもちろんコロナウィルス流行の影響ですが、中国政府による政策的な規制の影響や中国芸能の構造的な問題もあり、グループアイドルの活動はいっそう難しくなっています。
政策的な規制の一つとして、2021年5月以降、中国では課金を伴うファン投票によりグループデビューを目指す形式のオーデイション番組(いわゆるPRODUCE 101系の番組)は禁止されています。当局が明文で批判したことにより、オーデション番組自体が社会悪のように扱われるようになってしまいました。よって、歴代のオーデション番組からデビューしたグループも、なんとなく後ろめたい存在となり、グループ活動に間接的な影響を及ぼしています。

中国にはもともとグループアイドルは少なく、オーディション番組により結成されたグループを除くと「時代少年団」くらいしかありません。
「時代少年団」は2019年にデビューした7人組のボーイズグループです。「TFBOYS」の後輩グループで、現在中国で活躍する唯一といってもいい正統派アイドルグループです。
時代少年団(Teens in Times、TNT) 2019年11月23日デビュー。
メンバー:馬嘉祺、丁程鑫、宋亜軒、劉耀文、張真源、厳浩翔、賀峻霖の7名。
最近リリースされた楽曲「哪吒」のキービジュアル


馬嘉祺、丁程鑫が2002年生まれで、今年大学受験を終えました。その他の5人は2004年生まれという若いグループです。
「時代少年団」の7名はTFBOYSの所属する事務所の第二世代のアイドルで、「TF家族」(練習生)としてデビュー前から多くの熱心なファンがついています。
時代少年団は現在「中国を代表するボーイズグループ」というポジションにあるはずなのですが、そんな彼らもグループ活動はかなり難航しています。時代少年団が2019年11月にデビューしてから、中国ではほどなくしてコロナが流行し始めました。有観客でのライブ開催は難しく、2020年11月のデビュー1周年記念コンサートも、二転三転した結果、最終的には無観客での配信ライブとなりました。
2021年に入ってからは、7月末に南京で「時代少年団・火力全開コンサート」を有観客で開催するはずでしたが、ちょうど南京でコロナの感染者が出たために中止となりました。何度も延期を繰り返した後、「火力全開コンサート」は結局有観客ライブを諦めてオンラインライブとすることが決まりました。その後、ファンの情報追跡によると、2021年の9月末頃に無観客の状態で、ある地方のスタジオでライブ収録を終えたと言われています。
そのファン待望の「時代少年団・火力全開コンサート」が、2021年12月3日18時からbilibili動画で有料会員向けに独占配信されることになりました。


数週間前から予告編動画も配信され、ファンは動画サイトの会員費も支払い、配信日を待つのみという状況の中、なんと前日になって配信延期が発表されたのです。配信延期が発表されたのは配信予定日の前日の夜です。
びっくりしました。収録済みのライブを配信するだけなのに、まさか前日になって配信が延期になるとは・・・。
配信延期になった理由は明らかにされていません。
ファンの推測では、時代少年代の所属事務所と配信プラットフォーム(bilibili動画)との間で何らからの意見不一致が生じたのか?事務所側が直前になって引き下げたのか?それとも政策上の規制に触れる部分があったのか・・・?などと言われていますが、本当の理由はわかりません。
有料会員向け配信ではありますが、新規会員割引が適用されると1ヶ月=9元(約150円)で、それほど高い金額ではありません。しかし、仲間同士でライブ鑑賞会を企画していたファンも多く、前日の夜になっていきなり延期が発表されたので、交通費や移動コスト、場所代などが無駄となったという人も少なくないはずです。何よりファンにとっては期待が裏切られたダメージが大きいです。
しかも、グループでのコンサートは配信すらままならないのに、メンバー個別ではしょっちゅうテレビ番組に出演しているし、商業イベント的なステージにはグループでも参加しています。
グループとしての作品、パフォーマンス、公演をないがしろにされると、彼らをグループアイドルとして応援しているファンは騙されているような気分になり、不満を抱かざるを得ません。

THE9卒業
中国ガールズグループ「THE9」(THE NINE)が2021年12月5日にデジタルEP「THE NINE」をリリースし、期間限定グループとしての活動を終えました。
THE9;劉雨昕、虞書欣、徐佳琪(Kiki)、喻言、謝可寅(Shaking)、安崎(アンチー)趙小棠、孔雪儿、陸柯燃
全体的にスレンダーで長身、大人っぽくかっこいいルックスのガールズグループでした。ユニセクシャルという点からみれば、KPOPを超える一面もありました。


デジタルEP「THE NINE」2021年12月5日リリース。3曲入り、価格は9元(日本円で約15円)。QQ音楽、酷狗音楽、酷我音楽などのアプリでダウンロード可。
収録曲:1.馭舞者 2.Devil's song 3.我們啊
発売から約24時間のアプリ「QQ音楽」でのダウンロード枚数は約6万枚。


THE9はコロナの影響をもろに受けたグループでした。
日本では第1回目の緊急事態宣言が発令されていた2020年春に、中国ではオーディション番組「青春有你2」(Youth with You 2)を敢行し、そこから生まれたグループがTHE9です。活動期間が18ヶ月だったので、デビュー日から起算すると2021年11月30日が18ヶ月目にあたります。12月5日にリリースされたEP「THE NINE」がグループとしての最後の作品になります。
結局、デビューから卒業(解散)まで、コロナの影響により一度もオフラインでのコンサートができませんでした。
本当は2021年11月27日と28日の2日間、蘇州で「卒業コンサート」を開催する予定でしたが、中国各地でコロナが再発しているため「動態的ゼロコロナ」を採用する中国ではコンサートを中止せざるを得ませんでした。
本来予定されていたTHE9 卒業コンサートのポスター


「THE9」が誕生したのは、まだコロナのワクチンも開発されておらず、世界的にはマスクすら不足していた時期です。そんな中、オーディション番組を制作しデビューまでこぎつけました。
しかし、コロナの影響が長引き、中国芸能界の体質的な問題や政策上の規制もあり、グループとしての活動は充実していたとはいえず、ファンにとってはもどかしく不満が残るものだったかもしれません。

中国の政策的なファンダム規制
2021年に入り、中国芸能界は当局の政策とネット世論により様々な規制を受けています。その一つがファンダム(ファン活動)の規制で、具体的にいうと芸能人に関するネット上での「ランキング活動」が禁止されました。
中国人はランキングに夢中になりやすいです。ですが、それは日本人も韓国人も同じで、むしろ自分の応援するアイドルがランキングで1位または上位を取るために応援するのは当たり前のことです。
ただし、中国アイドルのファン活動はお金と直結しやすく、誰がいくらお金を出したかが見えやすいシステムでした(もちろん本名ではなく、ネット上でのID名でしか分かりません)。そして、「なんでこんなにお金があるのだろう」と不思議になるほどお金を持っている若い子が多いです。感覚的いうと、人民元30万元(日本円500万円くらい)をアイドル応援のためにポンと出せる人はいくらでもいると感じます。恐らく、日本や韓国、海外にもこのような「お金を出せる人」はいると思います。ただ、中国の場合は、お金を出す人の存在が見えやすく、お金を多く出せる人が他のファンを刺激し、ファンダムを過熱化させる存在になりやすいです。そして客観的にみると、ファンダムを通じて、極端な貧富の差とランキングを左右することで満足感を得ようとする中毒的な病態が浮き彫りになっています。

2021年の中国芸能に関する政策上の規制やネット世論による粛清は本当に過激で、短期的にみれば市場破壊を引き起こしていると思います。
規制しすぎると競争が成り立たなくなり、アイドルも競争のないところにブームは生まれません。一方で、生き残ったごく少数のアイドルに人気が一局集中すると、それはそれでいびつな状態になります。

時代少年団が広告キャラクターを務める米国スポーツシューズメーカーSKECHERS。去年まではWayV(威神V)が広告キャラクターでしたが「時代少年団」に変更されました。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
良いお年を ()
2021-12-29 18:35:47
 こんにちは。今年も終わりますね。更新ありがとうございます。私はトンペンなので、SMの他のグループを通じて中国の情報も入ってきます。今年は大きな動きがありましたね。どうなっていくのだろうと思います。
 今年は劇場もホールも一度も足を運ぶことが出来ませんでした。チケットを買っても緊急事態宣言が出てしまったり。公演自体はやっていても、行くのは躊躇われました。配信ばかり観ることにまりました。
 でも劇場の扉は開く。いつか大きく開く。そう信じています。
 今年も阿姐さんのブログを楽しく読ませていただきました。ありがとうございます。
 良いお年をお迎えください
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玲さん (上海阿姐)
2021-12-30 00:09:06
こんにちは!コメントありがとうございます!!
今年もあと僅かですね。中国は去年より今年の後半の方がコロナ対策が厳しく、コロナ以外の問題もあって、エンタメが宙に浮いたような一年でした。
コロナとコロナ以外の問題のせいで、ものすごく状況がよく変わるので、ブログに何か書くのも難しくなってきました。前からですが、、書いてから状況・情報が変わってもフォローできてないので、心苦しいです。

日本でも、いろいろな公演が中止になったりアーティストが活動をペースダウンしたりしていますが、エンタメ全体をみると、皆が止まったときに止まらずに活動を続けていたところが生き残り、ファンを増やしたような気がします。SHOW MUST GO ONといいますが、何事も「止まってはいけない」とつくづく思いました。これから第6波が来るかもしれないし、どうなるか分かりませんが、劇場はずっと開いていると思います。お客さんが自分で扉を開けて入ってきてくれるのを待っていると思います。
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