進化する魂

フリートーク
AKB48が中心。
気の赴くままに妄想をフル活用して語ります。

【AKB48】 AKB48を創った男

2011-12-29 18:21:26 | AKB48


tuneさんからのご期待にお答えして、WSJのもう1つの記事「AKB48を創った男」をお送りします。
個人的にはAKB48とGoogleのブラッドリー・ホロウィッツが並んでるのが、マエアツ・・ではなくムネアツです。

※その後、WSJに日本語訳があることに気づいたのですが、AKB48に着目する人間の方がうまく解釈できる部分もあるかなと思って最後まで訳してみました。


The Man Who Made AKB48(WSJ)
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2011/12/28/the-man-who-made-akb48/

ショービジネスに関わった40年の間に、秋元康はその全てを見てきた。
伝説的な演歌歌手、美空ひばりの最後のヒットソング「川の流れのように」から、オノ・ヨーコとニューヨークで製作した映画まで、55歳のポップ・プロデューサーはあらゆるものをカバーしてきた。

しかし、そんな秋元にとってさえ2011年は最高の当たり年になった。
彼の最大の創作物「AKB48」のおかげで。

現在、研究生含め合計92人のガールズ・グループは今年の記録を塗り替えまくった。
今年のCD販売ベスト5は全て秋元が作詞したAKB48の楽曲だ。
最近の3曲に至っては、リリース初日でミリオンセラーを達成した。
オリコンによると、AKB48は2011年に合計215万ドル(今日の為替で計算すると約167億円かな)売り上げた。

本誌WSJは東京帝国ホテルの一室で、ジャカルタや台北のような都市に姉妹グループを展開する海外戦略の方向性について、秋元に貴重なインタビューをすることに成功した。
彼は肩をすくめたが、それはAKB48に関する全てをコントロールするための多忙なスケジュールからくる疲労を表している。
秋元は、AKB48の起源や、はじめ僅か7人の観客から始まって、なぜこれまでの成功を手にすることができたのかについて、彼のプロジェクトを拡大するために忘れがちな見解、アメリカでのビジネスの可能性や、そしてどうやったら1日のうちにミリオンセールを成し遂げることができるのかについての質問について答えた。

インタビューを要約したものが下記だ。


Q: AKB48を知らないアメリカの読者にAKB48を説明してもらえないでしょうか?

A:
アメリカでは、パフォーマーは厳しいオーディションで選ばれる。
選ばれるためには、提供したいパフォーマンスを完成するために必要な厳しいレッスンとコーティングに耐えうる素晴らしい才能を持っていなければならず、そして完成しなければステージの上に立つことはできない。
しかし、AKB48の女の子たちは「未完成」なのだ。
換言すれば、彼女らは優れた歌手でもなければダンサーでもない。
ファンは、彼女らが完成するためにする成長を支援し、応援する。
これがAKB48の全てだ。

Q: AKB48と今日本で人気のあるK-POPアイドルグループの違いは何でしょうか?

A:
K-POPとの最も大きいな違いは、AKB48が「未完成」であることだ。
K-POPが「完成」しているという意味は、彼女らがデビュー前に十分な準備をしていることだ。
しかし、AKB48は未教育で、ファンは彼女らの成長過程を見ることができる。
これが違いだ。

Q: なぜAKBビジネスモデルはワークするのでしょうか?
いかにしてリリース初日にミリオンセラーを達成できたのでしょう?

A:
私はちょくちょく言ってることなのだが、「刺さるコンテンツ」である必要がある。
その言葉の意味を簡単に言えば、人の心を掴むか、そうでないかということだ。
当初、AKB48劇場には7人の観客しかいなかった。
私はその7人がなぜ見に劇場へ足を運んだのか、とても知りたくなった。
もし、本当に彼らがAKB48のことが好きで心に残るものであるならば、私は観客数を7人からもっと大きな数字に成長させることができると思った。
AKB48が他の一般的なアーティストと異なるのは、ある種の感情を刺激することだ。
それが、AKB48の主な成功要因の1つだ。
(アメリカ人にわかりやすいようにたとえ話)
最も近いのは、熱狂的なベースボール・ファンだろう。
熱狂的なファンは何があっても重要な試合に足を運ぶ。
これはAKB48に対するファンの感情と同じだと思う。
好きな女の子にダンスが上達するように、歌が上手になるように教えてあげたり、外見を磨くのにショートヘアをお勧めしたりすることができる。
またファンはAKB48のプロダクション・チームの一部と言う事ができる。
ファン同士、同じチームに所属しているかのような連帯を感じることも出来る。
もちろん、いろんなタイプのCDをいっぱい持つことによっても、連帯を感じることはできるかもしれないが、しかし、それは多くのほかのアーティストもやっていることだから、それだけでCD販売を伸ばすことはできない。

Q: 多くのファンが推しメンのためにシングルCDを複数枚買いしています。
中には、これはAKB48のアーティストとしての成功とはいえず、一部のコア・ファンによって支えられている成功ではないかと言う人もいます。
この点についてどうお考えですか?

A:
シングルCDをミリオンセールスにするためには、複数枚買いをするコア・ファンのグループだけの力では十分ではない。
もちろん、そのコア・ファンは多くのシングルを買っている。
しかし、重要なことは、AKB48について何も知らない人々へ、如何にアプローチをするかだ。
それらの人々も、AKB48のことが好きになってシングルを買っている。

Q: あなたの「ショービジネスの鮫」というニックネームはどこからくるのですか?

A:
炎が最も強く燃盛る時、火花が走ると思う。
人々は、私がいつも最前線にいると思っていて、そして私のことをラッキーなやつだと思っている。
しかし、それは幸運でもなんでもない。
私は火花の中の1つでしかないし、一度点火したら、私は全てをコントロールしようともしていない。
風は常にその方向を変化させていて、私はその時の状況に合わせて動かして、広げて、仕向けているだけだ。

Q: なぜ秋葉原なのですか?

A:
最初は、私は渋谷や原宿でやろうと思っていたが、そこには劇場に適した場所がなかった。
秋葉原にいいところがあると聞いたし、ちょうどその時、秋葉原はオタク文化の発祥地としてその価値が認められ始めていたので、選んだ。
当初、私はメンバーの数を今みたいに大勢にすることは考えていなかった。
もし、毎日公演をする劇場をつくったら何が起こるか見てみたかった。
名前もいろいろ考えたけれど、例えば「チェリーパイ」というアイディアもあった。
AKB48は開発中だったので、車の開発コード"AZ-9"みたいな、無機質な名前にしようかなと思った。
(そうだったのか・・)

Q: AKB48の日々の活動にどの程度関与しているのでしょうか?
楽曲を作ったり、歌詞を書いたり、スタジオにいることもあるのでしょうか?

A:
私は全てに関与している。
毎日、多くの曲を聴くし、楽曲をどのようにアレンジするかも考える。
歌詞を書いて、楽曲をどうプロモートするか考えたり、テレビ番組をどうするか考えたり、オンラインゲームやグッズなんかをどうするかを考えたりする。
それら全て私がしている。

Q: あなたはビジネスマンですか?それともアーティストですか?

A:
私はプロデューサーだ。
AKB48のプロデューサーだ。
プロデューサーは、建築家のようなものかもしれない。
壁の色をどうするかとか、窓の形をどうするかとか、照明もね。
家具をどこに置くべきかとかね。
もちろん、様々な形での専門家を巻き込んで、助けてもらいながら、建築する。
しかし、私は全てを注意深く観察して「その窓は駄目だな」とか「そのカーテンは駄目だ」とか言う。

Q: AKB48フォーマットのアジアへの展開についてどういった開発をしてますか?

A:
今、JKT48やTPE48のようにアジアの地域の女の子をオーディションする予定だ。
自分たちの言葉で、観客もその国の人々だから、確実に人気が出る。
JKT48が台北で活動したり、TPE48がジャカルタで活動したり、彼女らはアジアのいろんな地域に訪れることになる。
そして最終的には、選抜総選挙のアジア版をやることも可能だ。
(アジアから選抜されたメンバーでAKB48のCDを出すので、アジアの人々がCDを買うのだ)
その時、アメリカやイギリスの人々はアジアでトンデモないことが起きていると気づくだろう。

Q:何が、誰があなたのインスピレーションになっていますか?

A:
一番大切にしているのは、新しいものに感動することだ。
人は歳をとると、驚くものが少なくなっていくが、子供はいつも驚く心を持っている。
成長するにしたがって感動することは少なくなっていく。
だから、AKB48のように、常に新しいことに挑戦するようにしているし、いつもとは違うものに感動できるようにしている。
それが自分の仕事だからかもしれないが、子供のように感動する心を常に持っていたい。


ぎゃーーー!!!!!
残りどのくらいかなと思ってスクロールしたら、な、なんと日本語訳へのリンクがっ!
おーまいがっ!
アイキャントビリーブザット


・・でも日本語訳の方を読んでみたら、どうやら訳元の記事が違うようですね。
その情報はどこにも書いてないというネタがあるので、どうも英語で配信されたのはまとめたもので、その元になったテキストを元に翻訳しているようですね。

まぁでもやるだけやり切るか・・


Q: 尊敬する西洋のアーティスト、もしくはコラボしたい人はいますか?

A:
レディー・ガガがいいですね。
歌や歌詞がどれだけ良くても、それだけではCDは売れない。
流行をどう定義できるかだ。
レディー・ガガが来日した時、彼女はエルメスのバーキンを持ってきた。
これは面白いことだ。
伝統的なものに反抗的である人が、クラシックで保守的なバッグを持っているのだ。
しかし彼女は日本のファンにマーカーペンで日本語のメッセージをバックに書かせ、そのバッグを持ち歩いた。
私は、これは実にクールだと思った。
高価な伝統的なバッグに落書きをさせるなんて・・。
このアイディアを考えたのがプロデューサなのかレディー・ガガなのかはわからないが、時代というものを本当によく理解している。
良い音楽であるということは、必要十分条件ではない。

Q: AKB48の広告は男性をターゲットにしているように見えるのですが、男性をターゲットにしているのでしょうか?

A:
それは全くない。
AKB48をはじめた時にはターゲットが必要だったが、火がついてからはそれを焼き捨てた。
今は風の吹くままだ。
特別にターゲットを絞ろうなんてことはやっていない、たとえそれが有効だとしても。
AKB48が広告に出るだけでは不十分だと思っている。
何か新しいインパクトを生み出せるかどうか、これが判断材料だ。
AKB48の火がより大きく燃えるような燃料となれるかどうか、これが重要だ。

Q: では、当初はどのような人々がターゲットでしたでしょうか?

A:
もちろん、アイドルを好きな人をターゲットにしていた。
それは、秋葉原で小さな劇場をつくるからだった。
若い女の子が歌って踊ることに興味関心や楽しみを見出せる人がターゲットだった。
確かに最初はそれらの人々がCDを2,3枚買っていた。
しかし重要なことは、AKB48のファンの95%は、AKB48劇場に来たことが無い人なのだ。
彼らが劇場に行きたいと思っていても、行けていない人たちだ。
まるで、エルサレムに訪れることができないクリスチャンが、近くの教会に礼拝に行くことのように。
それは、ジャカルタのJKT48や台北のTPE48なのかもしれない。
彼らは秋葉原にある総本山に行きたいと思うかもしれない。
そこで、彼らはそれぞれの地域に素晴らしい地域バージョンを持とうと思って、それをサポートすることになるのかもしれない。

(これは面白い話だ。そして、私の予想と同じだ。)

Q: 多くのAKB48のファンは男性のように思いますが、このグループを特段ターゲットとしてみているのでしょうか?
(ターゲット男性でしょ?と言いたいのかな?この記者は。)

A:
私は誰もターゲットにしていない。
40年間やってきたが、そういうターゲットを絞ることなどできないとあなたに教えたい。
ごり押ししても、人々が望んでいなければ意味が無い。
重要なことは、点火すること。
私はコントロールしない。
私はただそれらがどのように動くかを観察するだけだ。
AKB48は全方位にアピールしていく。
そこに偏見を持たない。
少年たちは女の子がかわいくて恋に落ちる。
成人男性の何割かは、妹や娘のように、彼女らを応援したくて支援したいのだ。
女の子は、AKB48のようになりたくて、同じステージに立ちたくて好きになる。

Q: アメリカでは、AKB48はちょっと変わって見えると思います。
多くの女の子は、若い女の子がミニスカートや学生服を着ているのを見ても、何か得るものがないような。
この点についてどう思いますか?

A:
アメリカの人々には、AKB48はアメリカでは成功しないと言われる。
しかし、私は、そう言われることが逆にチャンスだと思っている
彼らは既存のフレームで物事を見ているのだ。
エルビス・プレスリーの時も初めはよく思っていなかった。
みんながこれはうまくいかないと思っている時こそ、成功を手にすることができる。
ビジネスマンはリスクを考えるかもしれないが、私はビジネスマンではない。
私はクリエーターだ。
私は大きなチャンスだと思っている。

Q: AKB48は3.11の被災者に対してチャリティー・コンサートを開催したりしている。
日本の復興についてあなたの考えをお聞かせください。

A:
まず、日本は東北と供に立たなくてはならない。
われわれは、痛みを遠ざけるべきではない。
その一方で、痛みを忘れるべきでもない。
日本が、この痛みを抱えながら、どうやってもう一度立ち上がるか。
AKB48は一つのアイドルグループかもしれない。
AKB48が日本を救うなどとこれっぽっちも考えていないが、しかし、AKB48にできることはあると思っている。
だから、ビジネスマンや日本人も彼らにできることを考えなければならない。



訳者のまとめ:
『米ウォールストリートジャーナル AKB48のビジネスモデルを認める』の方で訳した記事を作るにあたって、WSJは秋元康にインタビューをしており、その内容をまとめたのが、本記事になるようです。
ネット上では時事通信の配信記事を基に中身のない議論が多かったのですが、WSJの記事を読むとなかなか内容の濃いものであることがわかります。
さらに面白いのは、WSJの記者が「ターゲットは(複数枚買いをする)男性ですよね?」としつこいくらいに繰り返し質問していることです。
おそらく、WSJの記者はAKB48に関する事前調査をしており、日本国内でのAKB48批判の多くを知っていると思われます。
それを加味して考えると、WSJの1面にAKB48の記事が載ったということは、WSJは調査した結果、AKB48のビジネスモデルには評価するだけの価値があることを認めたと言えるのではないでしょうか。
少なくても、その可能性を認めたとは言えると思います。

私は、インタビュー中の秋元康の言葉にはっとしました。
「その時、アメリカやイギリスの人々はアジアでトンデモないことが起きていると気づくだろう。」

先のエントリでも書きましたが、「こうした新しいビジネスモデルを構築しようとする挑戦者が現れないことが日本の経済が低迷する根本的な理由」なのだと思います。

今後もAKB48に注目していきたいと思います。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
世界最先端ビジネス (advanced_future)
2011-12-29 21:25:30
>tuneさん
いつもコメントありがとうございます。

いえいえ、翻訳することで、いつもはさらっと読むところをじっくり解釈する機会になりました。
むしろ、ありがとうございます。

>秋葉原・エルサレム化計画

宗教も同じですが、ブランドによる市場化ですよね。
TPPなんぞに頼らんでも、ソフトの力で国境を越えた市場を創り出すつもりなんですよ。
これはすごい大きなスケールの、しかも哲学的な挑戦でもありますよね。

注目していきたい、というより、先回りしたいですねこれは。
返信する
Unknown (tune)
2011-12-29 20:44:09
日本語訳があることに気づかず、ホントに申し訳ない泣

ブログ主さんの訳のほうが簡潔で、意図が読みとりやすいな、と感じました。ホントにありがとうございます!!

秋葉原・エルサレム化計画、すごくおもしろかったです。アイドルオタク観光客という巡礼者たちで賑わうといいですね!
返信する

コメントを投稿